ソニーグループの夏フェスとは?Family Dayから見る、社員思い・家族思いなカルチャー
2023年8月23日から9月30日の間、国内ソニーグループの社員とその家族のための夏フェス「All Sony Festival」が開催されました。その中でもメインイベントは、家族の職場参観日「Family Day(ファミリーデー)」。ソニーグループの各拠点で数多くの企画が行われました。
創業当時から、社員とその家族を大切にしてきたソニーグループ。今回はそのカルチャーに迫るべく、国内ソニーグループの社内イベントの企画運営に携わる鈴木さんにお話を伺います。エンジニアとして長年、ポータブルオーディオの設計から量産に携わってきた鈴木さん。どのような思いを持ってイベントの企画運営に取り組んでいるのでしょうか。
「All Sony Festival」開催!会社とのつながりを感じるきっかけに
──今年は久しぶりに対面イベントも行ったと聞きました。いかがでしたか。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年からの3年間はオンラインで夏の社内イベントを実施していたのですが、今年は4年ぶりに対面でのイベントを復活させました。実は対面イベントの復活を望む声がとても多かったのです。一方、全国のソニーグループ社員やそのご家族にも体験してもらうために、一部の企画については、オンラインも活用して実施しました。例えば、ソニーミュージックグループに所属するアーティストが出演したライブイベントは、実際の会場とオンラインによるライブ配信の両方で実施しました。この数年、オンライン環境でイベントを行う中で培ったノウハウを大いに生かせたと思います。
──実際にイベントに参加した社員やご家族からは、どのような反応がありましたか。
アンケートでは「良かった」「感動した」などの喜びの声を多くいただきました。中には「入社したもののコロナ禍で、テレワークで仕事を進めることが多く、なかなか会社やチームメンバーとの一体感を持てずにいたが、このイベントで会社やチームとのつながりを感じた。社員のことをよく考えてくれている会社だと思った」という声もありました。このイベントの目的の一つは、ソニーグループ全体のエンゲージメント向上につなげることでもあるので、そのきっかけをつくれたのではないかと思っています。
──今回特に人気だった企画が気になります。
アーティストがレコーディングをする「ソニーミュージックスタジオ東京」で、自分の歌声を収録する体験ができる企画です。今回体験は子ども限定でしたが、多くの著名なアーティストが利用しているスタジオで歌えるのは貴重な機会で、大人の皆さんからもぜひ体験させてほしいという声が出たほどでした。初めての企画でしたが、満足度が一番高かったようです。まさにソニーグループ内のアセットを活用して実現できた企画といえます。
社員の家族を大切にする。創業時から受け継がれるソニーのカルチャー
──メインイベントでもある「Family Day」について教えてください。
Family Dayは、2007年から始めた家族の職場参観イベントです。社員の家族が職場を訪問できるだけでなく、プログラミングや工作など子ども向けの体験や、ソニー仙台FCによるサッカー教室など、毎年さまざまな企画を用意しています。実際に参加した社員からは「子どもたちにとって、将来の夢や目標にもつながる体験だったと思う」という声や、参加した社員の子どもからは、「こんな経験をさせてくれるお母さんの会社に感謝の気持ちでいっぱい」という声をいただくほど、今年も大盛況でした。
──「社員の家族を大切にする」というカルチャーはどのように生まれたのでしょうか。
「家族を大切にする」というソニーのカルチャーは、ファウンダーの一人である井深大さんの思いから始まっているのではないでしょうか。特に社員の子どもが小学校に入学する際にランドセルを贈る「ランドセル贈呈式」は、開始から60年以上経った今でも続いています。Family Dayも含め、このようなイベントに関わっていると、社員の子どもたちがワクワクしている様子を間近で見たり、「ソニーって良い会社だね」という子どもの声が私の耳にも入ってきたりします。こちらも嬉しくて、胸が熱くなる瞬間です。
──イベントを企画するにあたってのこだわりはありますか。
過去にとらわれないことです。多様な事業を展開しているソニーには、多くのネタがあります。イベントでは、その時に旬な製品やサービス、コンテンツなどを、社員とその家族に体験して楽しんでもらえるよう、日頃からアンテナを張ることを心がけています。また、イベントだからこそのメリットは、「これとこれを組み合わせると、もっと面白そうだよね」というアイデアを実現しやすいことです。例えば、イベントでのコラボ企画がきっかけとなって、実際の研究につながったという話もあります。
エンジニアから一転して総務へ。ものづくりとイベントづくりの共通点
──鈴木さんご自身はイベントにどのように関わっているのでしょうか。
私が所属するコミュニティデザイン室は、1年を通して最も大きなイベントであるAll Sony Festivalをはじめ、さまざまな社内イベントを手掛けています。私は各イベントの企画構想の段階から、グループ会社との調整、運営準備にまで広く携わっており、その中でもここ数年はプロモーション活動やウェブ制作を中心に担当してきました。今回のAll Sony Festivalにおいても、より多くの社員にイベントを知ってもらうための施策づくりに一番注力しましたし、苦労した点でもありました。
──鈴木さんはもともとエンジニアだったと聞きました。エンジニア時代のことを教えてください。
幼い頃から電気製品の分解が好きで、中学生のとき偶然出会ったウォークマン®に感激し、「将来はソニーに入る」と心に決めていました。その夢が叶い、ソニーに入社後はメカ設計者として、カセットテープやCD、MDなど、ポータブルオーディオ一筋で、多くの機種の設計から量産までを担当しました。世界最小・最軽量かつ頑丈で、かっこいいデザインの製品をつくるために日々奔走していましたね。正直とても大変な仕事でしたが、好きで就いた仕事でしたし、あの時の経験があったからこそ今があると思います。
──エンジニアから総務の仕事へ異動するきっかけは何だったのでしょうか。
エンジニアとしてマネジメントになり、業務内容が人や時間、場の管理へと変わっていきました。その頃、思いがけず当時の上司から「総務という立場でソニーグループ全体に横串で関わってみないか?」という話をいただきました。最初は驚きましたが、一つの事業組織の枠を超え、グループ会社と広く連携することにやりがいを感じられそうだと考え、異動を決めたんです。職種は大きく変わりましたが、私自身、もともとイベント好きで、たまたま自分の興味や、やりたいことともうまくマッチしているので、ご縁があったようです。実際にイベントづくりに関わってみると、テストやリハーサルを重ねて、細かい部分を調整しながら本番を迎えるというプロセスは、ものづくりと共通していると感じます。総務の仕事の中で多くのグループ会社の人と知り合い、人脈が広がったことも私の財産になっています。
ソニーが大好き。社員の皆さんにも、もっとソニーを好きになってほしい
──鈴木さんがイベントづくりにかける思いを、ぜひお聞きしたいです。
「楽しかった」だけで終わらないイベントをつくりたいです。All Sony Festivalが、ソニーの多様な側面を知り、体験することで、新たな魅力を発見したり、コミュニティの創出につながったりするきっかけになればうれしいです。また、単刀直入に言うと、結局のところ私自身、ソニーが大好きなんです。だからこそ、せっかくソニーに入社した社員の皆さんにも、その家族にも、ソニーをより好きになってほしい、というのが私の強い思いです。
──今後のイベントづくりにおいての展望を教えてください。
イベントと一口で言っても、さまざまな形があります。今後の展望の一つとして、対面とオンラインのハイブリット形式による実施は、イベントごとに合わせた形で継続していきたいと思っています。また、体を動かすような新たなイベントにも挑戦してみたいですね。
何より私は、イベントが終わり参加した皆さんが笑顔で帰るのを自分の目で見ていると「イベントをやってよかったな」と実感します。そんな、皆さんが笑顔になれるイベントをこれからもつくっていきたいです。
<編集部のDiscover>
「私自身、ソニーが大好きなんです」と、にこやかに話す鈴木さんがとても印象的でした。ソニー創業時からの、社員や家族を思うカルチャーが、こうして一人ひとりの社員に受け継がれていくことは素晴らしいなと感じます。また、偶然な要素も生かしながら、自ら、自分の「好き」を仕事につなげていくところを、私もぜひ見習いたいと思いました。