クリエイティビティとテクノロジーを資産に変え、その価値を最大化する。ソニーの知財業務の魅力に迫る!
ゲームや音楽、映画などのエンタテインメント事業、カメラやテレビ、オーディオ、スマートフォンなどの製品を含むエンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージセンサーなどのイメージング&センシング・ソリューション、金融などさまざまな事業を、世界中で展開しているソニー。多様な事業をもつソニーにおいて、知的財産を扱う業務に携わることの魅力ややりがいについて、第一線で活躍する4名の社員に話を聞いてみました。
幅広く事業を展開しているソニーならではの、さまざまな分野の知財スペシャリスト。
── まず、皆さんが現在携わっている仕事について簡単に教えてください。
西田:半導体分野を主に担当していて、AI・IoTを利用したプラットフォームの立ち上げに向けた知的財産に関わる業務に携わっています。具体的には、イメージセンサーを活用したシステムに関する発明の発掘から出願、権利化などを行っています。
川村:私は半導体分野のライセンス・契約担当として契約のサポート、特許ライセンスやアライアンスに関する交渉、知財におけるデューデリジェンスに関わっています。西田さんが担当されている領域にもライセンス契約等の担当として関わっていて、その他さまざまな開発案件を進めるため知財の観点からアドバイスを行っています。案件によっては法務部門と協働することもあります。
西村:私も西田さんと同じく半導体分野に入社から5年ほど携わっていましたが、昨年からはXR(AR/VR/MRの総称)やエンタテインメント領域を担当しています。具体的には、XR関連の新規事業の立ち上げにあたっての情報分析や、それに基づく出願や契約のサポートを行っています。
── XRやメタバースなど、形のあるプロダクトではないものの特許とはどのようなものが対象になるのでしょうか?
西村:XRについてはメカ(ハードウェア)部分を対象にした特許もありますが、例えばヘッドマウントディスプレイに、現実物体と仮想物体を処理負荷のないように混在させてどのように反映するかなどのシステム処理、メタバース空間を実現するためのシステム構成・情報の組み立てなども対象になります。
── ハードウェアだけでなく、ソフトウェアに関する知財も扱うのはソニーならではですね。では、最後に小山さんもお願いします。
小山:私も川村さんと同じくライセンス・契約担当として、主にオーディオコーデック(音声圧縮)技術について、他社の技術をソニー製品に搭載する場合などに必要となるライセンスの交渉や、契約書作成業務を担当しています。また、ソニーがライセンサーやライセンシーとして参加しているパテントプールで行われる議論を、ソニーに有利な方向に持っていく交渉業務も行います。
ソニーの主な特徴は、多様な事業、海外売上比率の高さ、裁量の大きさ。
── 若い年次から交渉など大きな仕事を任せてもらえるんですね。ソニーの知財ならではの魅力や特徴としてはどのようなことが挙げられるでしょうか?
西田:今日のメンバーでは私が唯一の経験者入社なのですが、まず「多様な事業」、次に「海外売上比率の高さ」が挙げられると思います。それに伴い知財活動もさまざまな技術分野で、そしてグローバルな規模で行う必要があります。もう一つの特徴は、組織文化として小山さんが挙げていたように「任される裁量の大きさ」ですね。
多様な事業
── ではソニーの「多様な事業」から聞いてみたいのですが、これは皆さんにとってはどのような魅力があるのでしょうか。
西田:特許を例にとっても、技術分野に応じて特許の出願・権利化や知財活動の進め方など方法はかなり異なります。西村さんは半導体を経験後に別の事業を担当しているので良い例ですが、キャリア形成の面からも、さまざまな分野の業務を経験できることは大きな魅力だと感じます。
西村:イメージセンサーからXRやメタバースへと扱う技術が変わったことで、ハードウェアとソフトウェアでは特許の取り方が大きく異なることを実感しています。こうした「違い」を同じ会社にいながら経験できるのは、ソニーならではだと思います。
また、扱う技術の事業フェーズによって、特許の活用の仕方が変わることも学んでいます。特許を出願し、事業を守るだけではなく、知財分析の結果などをもとにどのように事業をつくっていくかという視点でエンジニアをサポートすることもあります。このように、さまざまな事業のあらゆるフェーズに関わることができる点も面白いと感じます。
── 同じ領域にとどまることなく、さまざまな経験ができる点が魅力なのですね。
西村:もちろん一つの領域に特化して専門性を磨いていくこともできますが、さまざまな分野の業務を経験して専門性のシナジー効果を創出したいというキャリアに対する考えもあり、自ら手を挙げてハードウェアを中心とした技術からソフトウェアも扱う技術分野へ異動しました。
小山:幅広い経験ができるという点は、私も大きな魅力だと感じていますね。新規事業立ち上げ段階における知財サポート業務なども行っていますが、最近ではソニーグループ内の事業間での連携案件も増えています。一つの案件に技術のみではなく、コンテンツやデータまで、知的財産が多岐にわたって関与していますので、それらをどのように保護していけるか、特許、商標、意匠、著作権、データ保護など、幅広い視点から整理し、可視化しながら事業戦略に役立ててもらうためにサポートする役割も担います。一人の知財担当者がこうした幅広い領域、業務に横断的に関わることができるのは、ソニーならではだと思います。
川村:事業間での連携案件といえば、私も経験があります。以前、オーディオコーデック関連技術のライセンスを担当していたときに、あるプロジェクトが立ち上がりました。そのプロジェクトは、知財担当者と、技術を採用しているさまざまな製品カテゴリの事業担当者の議論の中から生まれたものでした。複数の事業や組織をまたぐプロジェクトの推進は、それぞれの視点が異なり大変なところもありますが、「ソニーのために」という共通の目的を意識することで違いを乗り越えることができました。今でも思い出深い案件です。
海外売上比率の高さ
── 続いて「海外売上比率の高さ」ですが、どのような点が魅力的なのでしょうか?
西田:海外特許を担当できるのは、日本で同分野における権利化業務の経験を少なくとも2~3年積んでからという企業も多いと聞きます。ソニーの場合は、グローバルに事業を展開しているため、比較的早いタイミングで海外の案件に携わることができると思います。
西村:海外の現地にいる代理人と直接会話することは日々の通常業務の中でも行っていますが、私は今年、知財内の海外事務所派遣プログラム(※)を利用して米国の特許事務所に3か月滞在しました。特許権利取得の質を上げるための議論を現地で集中的に行い、実務的なスキルアップはもちろん、現地代理人の考え方なども深く知ることができ、貴重な経験になりました。
(※)海外事務所派遣プログラム(米国)
担当者個人のスキルアップや現地代理人とのコネクションを広げることを目的に、米国特許事務所で特許権利取得に伴う業務を実施。派遣期間は3か月。四半期ごとに2名の人員を派遣(実施されない場合もあり)。
裁量の大きさ
── 任される裁量の大きさの点では、小山さんが紹介してくださったように、若手でもソニーの代表として海外で大きな会合に参加できることですね。
小山:はい。それも度胸試しではなく、自分で手を挙げれば機会を得られることもあります。また、常に周囲に相談できる先輩方がいて、サポート体制がしっかりしているからこそ、若手社員でも手を挙げやすい環境になっている点がポイントだと思います。
西村:振り返ってみると私も、早い段階からさまざまな経験を積ませてもらえたと思います。入社2年目のときには中国の事務所に初出張し、現地代理人と登録特許の質の評価に関する議論を経験しましたし、4年目のときには他社とのクロスライセンス契約における技術議論、5年目では訴訟案件を担当しました。場合によっては多額の損害リスクのある案件を経験することで、緊張感はありつつもやりがいを感じますし、なにより自分自身の成長につながっていると思います。
── 他にもソニーの知財ならではの特徴や魅力はありますか?
西田:私は半導体の中でもイメージセンサーに関わっています。イメージセンサーは、ソニーが世界で金額シェアトップを誇るビジネスです。世界の競合企業がひしめく中でトップのポジションを堅持していくのは、組織に対しても社会に対しても大きな影響力を感じます。こうした緊張感や責任感を持って働くことができるのも、ソニーならではだと思います。
川村:他にも、横の連携が強いことはソニーの知財の特徴の一つですね。元々知財の仕事は文理や、事務系・技術系などの垣根があまりないのが特徴ですが、部や組織の枠にとらわれず、一つの案件を担当する「チーム」として動いています。チームとしてお互いの知識や経験など強みを持ち寄り、ソニーの事業にどう貢献していけるか話し合いながら進めていきます。
── チームワークを高めるような取り組みや雰囲気づくりは、日頃から行っているのでしょうか?
小山:食事など職場を離れた交流の機会もよくあります。そういった場で他の部のメンバーとも関係性を深め、その後仕事の相談がしやすくなるなど、良い関係性を構築できています。日頃のコミュニケーションを活発に行っていることで、お互いの強みを発揮して、チームでパフォーマンスを高めていくための積極的な議論ができるのだと思います。
ソニーは、知的好奇心を刺激するテーマに溢れる環境。
── ベースにある関係性の良さが横の連携を生み、チャレンジングな仕事につながり、知財としての仕事の質を高めているのですね。では最後に、どのような方と一緒に働きたいか、どのような方に適した職場なのか教えてください。
川村:知的好奇心旺盛な人が向いていると思います。私自身、優秀で個性的なソニーのエンジニアから興味のあることを聞き出し、その実現に向けて一緒に考えていくことは、この仕事の中でも一番ワクワクするところだと思っています。
西田:まさに、知的好奇心旺盛な人にはぴったりですね。ソニーはグローバルに多様な事業を展開していて、そこに知財としてさまざまな関わり方ができます。むしろ、ソニーには知的好奇心を満たしてくれる軸がたくさんあり、自分のキャリアを選ぶことが難しいくらいぜいたくな職場だと思います。
西村:ソニーには、チームでフラットにさまざまな議論ができる企業文化があります。そうした中で自分の考えをしっかり発信しながらプロジェクトを前に進められる人が向いていると思います。
小山:現在私は、管理部門、経理部門、財務部門、海外知財担当や外部の弁護士など本当に多くの方々とコミュニケーションをとって案件を進めています。担当案件を自分たちのプラン通りに遂行するために、さまざまなステークホルダーとの利害関係を調整するプロジェクトマネジメントスキルも重要かもしれません。
── そのようなスキルは入社してから身につけたり磨き上げたりできるのでしょうか?
西田:はい。私の場合、ソニーに入社してから身につけた部分が大きいと感じています。ソニーでは手を挙げた人が責任を持って主体的に取り組み、周りがそれをサポートするという仕事の進め方が根付いています。私も最初は「そこまで自分がやっていいのか?」と驚きや戸惑いもありましたが、何度か経験を重ねるうちに周囲を巻き込むスキルも磨かれていると思いますし、何よりもさまざまなことにチャレンジすることへの抵抗が少なくなってきます。そのように気持ちの面での成長も大きく感じられると思います。
── 社外からの入社を考えている方にとっても心強いコメントですね。ありがとうございました。
編集部のDiscover
知財については、どちらかと言えば「一人ひとりが専門領域を持って、個人でコツコツ進める仕事」というイメージを持っていたため、インタビュー中に何度も出てきた「チーム」という言葉は意外でしたし、皆さんの関係性の良さも大変印象的でした。知財の皆さんにはこうした関係性のベースがあるからこそ、グローバルに多様な事業を展開するソニーのビジネスに、高い専門性を生かしてチームで連携して知財活動ができるのかと、話を聞いていて納得感がありました。