プロ野球だけじゃない!ソニーでできるFA宣言
「え?プロ野球?」ソニーに社内FA制度があると知った時、率直にそう思いました。調べてみると本当にプロ野球そっくりで、優秀な社員にFA権が付与され、権利を行使すると、多様な部署と自ら異動交渉できるらしい。なんて興味深い制度なのだろう。でも、どのような制度なのか?どのような考えでこの制度を導入したのか?この疑問を解消するため、担当者の鈴木さんにお話を伺いました。
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- 鈴木 謙太郎
- 久藤 颯人
そもそも社内FA制度とはどのような制度なのか?
社内フリーエージェント(FA)制度
優秀な社員にフリーエージェント(FA)権を付与し権利行使者の情報をグループ内で広く共有することにより新たなフィールドに活躍の場を広げていくことのできる、プロ野球型の社内FA制度です。
個人の意志を起点に歩めるキャリア
—社内FA制度はユニークな制度だと思うのですが、どのような狙いや考えがあったのでしょうか?
1つ目は、社内で活躍されている方にもっと専門性の幅を広げ、様々なキャリアを積んでいただきたいという狙いです。2つ目は、社員の意志を起点とした制度を作りたいという想いです。自分で自分のキャリアを築くための制度として、ソニーでは1960年代から社内人材を公募する「社内募集」制度を運用していますが、あくまでも募集ありきのため、求人情報を出している職場にしか挑戦することができません。個人の意志を起点にして、より可能性を広げられる職場を発掘し、挑戦したいという社員の想いを実現するために、この制度を作りました。
—なぜ社内で活躍されている方に焦点を当てたのですか?
活躍されている方のキャリアは固定されがちです。職場からしても、優秀で活躍している方を手離したくなかったり、逆に社員本人の立場からしても、自分が高く評価されている環境からなかなか出なかったりという面がありました。あくまで異動を推奨する目的ではなく、そういった方々に、改めて自分の意志を見つめなおし、キャリアを考えるきっかけを与えたいという想いで社内FA制度を導入しています。
ただ、優秀層のみに自分の意志を起点にキャリアを考えてほしいわけではありません。社員全体を対象とした「Sony CAREER LINK」(*)も用意していて、すべての社員が自分の意志でキャリアを見つけていけるような環境を整えています。
*社員自ら自身のプロフィールを登録することで、スキルや経験に合致する求人がある場合、求人中の職場や人事から声がかかる仕組み。
社内FA制度から見えるソニーの文化
—優秀な社員が異動すると、私だったら「ちょっと待って」と思ってしまいます(笑)。やはり反対の声はあがるのではないですか?
もちろん困るなあと思う上司もいると思います。ただ、皆さんが思うほど反対されることはないというのが実態です。「自分のキャリアは自分で築く」という言葉が実際かなりソニーには根付いていて、上司自身も社内募集制度などを活用しながら思い切って挑戦し、成長して、キャリアを築いてきた方が多いです。自分がそうしてキャリアを築いてきたのだから、やはり部下にもソニーの中で思い切った挑戦をさせて成長させたいという想いを持っている方が多いのが理由だと思っています。
—ところで私は最近就職活動を始めたのですが、どの企業も「君の理想のキャリアを築ける!」と言っているような気がして、正直違いが分からなくなってくる時があります。その中でソニーが際立っているのは、どのような特徴だと思いますか?
ソニーの場合、創業時からのDNAとして本当に根付いていると思います。有名な話ではあるのですが、創業者の一人である盛田さんが当時から入社式で「ソニーに⼊ったことをもし後悔することがあったら、すぐに辞めなさい。⼈⽣は⼀度しかありません。そしてソニーで働くと決めた以上は、お互いに責任があります。あなたが、いつか⼈⽣の終わりを迎えるときに、ソニーで過ごして悔いはなかった、と思ってもらうことを⼼から願っています」と言っています。これは会社と社員が対等な関係であることをまさに表していて、会社が社員を選んで、会社がキャリアを与えるのではなく、社員自身が会社の中で自分の人生を選択していく必要があるという意味だと思っています。そして、その選択肢が多いほど社員の可能性は広がるわけですが、事業や職種のフィールドという点でも、使える制度という点でも、ソニーには多くの選択肢がある、というのは大きな特徴だと思っています。
新しい働き方の選択に対応していきたい
—ソニーには社内FA制度を始め、様々な制度があると思うのですが、新しい制度の展望はありますか?
様々なデータや技術を活用することで、今まで以上に社員のキャリア形成に貢献していくことに挑戦したいです。社内募集制度にしても社内FA制度にしても、数多くの選択肢の中で自分に一番合っているものを探すのは、簡単なことではありません。その選択をするための情報提供をもっと充実させていくことが、一人ひとりのより良いキャリア選択に繋がると考えています。
—よりオーダーメイドなキャリア選択を可能にしたいということですか?
そうですね。もっと言うと、枠組みを取っ払ってフレキシブルにキャリアを選択できる環境を作りたいと思っています。やはり制度なので、この条件に該当すれば応募できますよというように、縛りがどうしてもあります。現在は多様性がどんどん進んできていて、いろいろな働き方の可能性が開けてきています。今後新しい働き方を選択したいという声が出てきたときに、制度がないからできないではなくて、どうしたらその働き方を実現できるか社員と共に考えていく環境を作りたいですね。
<編集部のDiscover>
今回のインタビューは、「社内FA制度は新しくて面白そう。一度話を聞いてみたい!」という想いから始まりました。目新しさに惹かれましたが、実際に鈴木さんに話を聞かせていただくと、その裏には脈々と受け継がれているソニーのDNAが隠れていました。個人のキャリア選択が多様化する今、届いたオファーがきっかけとなり、自分では思いつかなかった仕事に出会えることも魅力的ですね。