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報道資料
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1998年11月30日

不正なコピーを防止する「暗号処理回路搭載i.LINK LSI」を開発

日米5社共同提案のコピープロテクション技術を採用

ソニーは、デジタル機器間での不正なコピーを防止するコピープロテクション技術※1に対応した「暗号処理回路搭載i.LINK※2(IEEE1394※3インターフェース)LSI」を開発をしました。1999年春を目処に製品化を進めてまいります。

デジタルAV機器やIT(Information Technology)機器の台頭とともに、映画産業をはじめとするエンタテインメント業界、エレクトロニクス業界、放送業界など様々な分野で、デジタル接続時におけるコンテンツの不正コピー防止の仕組み作りやデバイスの開発に大きな関心が寄せられています。
これに対応すべく当社では、株式会社 日立製作所、インテル コーポレーション、松下電器産業 株式会社、株式会社 東芝と5社共同で、1998年2月CPTWG(Copy Protection Technical Working Group)にi.LINKに対応したコピープロテクション技術を提案、不正コピー防止のための仕組み作りを進めてまいりました。この提案は、AV機器とパソコン間やホームネットワークなどにおける不正なコピーを防止する手段として、関係業界から大きな期待が寄せられています。

本LSIは、5社共同でCPTWGに提案されたコピープロテクション技術をもとに開発されたもので、その技術の核となるi.LINKでのMPEGストリームなどの暗号化および復号回路を内蔵しています。その他、i.LINKに必要なデータのみを配信するPIDパーサー機能やパケットインサーション機能など、デジタルAV機器を多機能化し利便性を高めるための機能も搭載されています。

本LSIの開発により、デジタルセットトップボックス(STB)をはじめ、DVDプレーヤー、パソコン、デジタルビデオレコーダー、デジタルTV、さらに将来の登場が予想されるホームサーバーなどの様々なデジタル機器において、i.LINKでの信頼性の高い不正コピー防止が実現可能となります。当社では、関係業界の期待に応えるべく、1999年春を目処に本LSIの量産・製品化を進めてまいります。

「暗号処理回路搭載i.LINK LSI」の主な特長

  • 1. 5社共同提案のコピープロテクション技術に基づく暗号処理回路を内蔵
    コピープロテクション技術の核となるMPEGストリームの暗号化および復号処理回路を内蔵しています。ハードウエアで処理を行うことで、CPUに負担をかけることなく、動画などのMPEGストリームを高速で暗号化および復号することが可能です。高度な暗号技術によりデジタルコンテンツの不正なコピーを防止します。
コンテンツデータは、LSIで暗号化され、デジタルSTBからi.LINKに出力される。 録画を1世代行うことが認められたコンテンツの場合、コピープロテクション技術に対応したデジタルビデオレコーダーに本LSIのような暗号・認証回路付きLSIが搭載できるので、暗号を解くことが可能になり録画できる。 コピープロテクション技術による著作権保護の仕組みに対応していないデジタルビデオレコーダーは、暗号・認証回路付きLSIを搭載できないため、正しく記録できない。 コンテンツには「コピー禁止」「1世代コピー可」「コピー可」の3種類の著作権信号があります。
  • 2. 必要なプログラムを選択するPIDパーサー機能、パケットインサーション機能
    デジタル放送などでは、複数の番組データがPID(Program ID)とともに送信されています。PIDパーサー機能は、ユーザーが選択した番組データだけをPIDをもとに選択、i.LINKを通して出力します。
    また、パケットインサーション機能は、EPG(Electronic Program Guide)などを含むSIP(Service Information Packet)から、PIDパーサーで取り除かれた番組のEPGデータなどを一部変更し、再挿入する機能です。これにより、i.LINKには、選択されたプログラムデータとそれに付随するSIPのみが配信されることになり、デジタル放送と同等のサービス性を、ネットワーク上でも得ることが可能になります。
デジタル放送のデータストリームには、多数の番組やEPGなどのデータが流れている。 PIDパーサー、パケットインサーションでユーザーが必要とするデータのみを選択する。
  • 3. 2つの同時アイソクロナス(Isochronus)転送が可能
    1つのアイソクロナス転送※4を送信しながら、別のアイソクロナス転送を受信する同時アイソクロナス転送が可能です。ホームサーバなどが実現すると、蓄積されたデータを送信しデジタルテレビで再生しながら、同時にデジタルSTBなどからデータを受信して記録することが可能になります。
1つのi.LINKで、2つのアイソクロナス転送を同時に受信することができる。
  • 4. 主な特長
    • ・DV方式デジタルビデオやパソコンなどで実績のある、IEEE1394-1995規格に準拠。
    • ・最大転送速度200Mbpsに対応。
    • ・電源電圧3.3V / パッケージ144ピンLQFP。
    • ・IEC958のオーディオトランスポートに対応。
    • ・CIPヘッダの自動添付/検出。
    • ・大容量FIFO Isochronous Transmit/Receive FIFO
      Asynchronous Transmit FIFO
      Asynchronous Recieve FIFO
      960x32bitx2ch
      512x33bit
      512x33bit
    • ・68000系CPUインターフェース搭載。
  • ※1:コピープロテクション技術暗号鍵を用いてデジタルコンテンツを暗号化する技術や、機器の認証システムなどから成る、不正なコピーを防止するための技術。デジタルコンテンツの流通拡大に伴い、その著作権保護のシステムが重要性を増している。本技術は、IEEE1394インターフェースでの著作権を保護し、不正なコピーを防止することを目的に開発された。
  • ※2:i.LINKi.LINKは、IEEE1394-1995仕様およびその拡張仕様を示す呼称で、商標です。
  • ※3:IEEE1394高速シリアルインターフェース。最大400Mbpsの転送速度が規格化されている。非常に速い転送速度を持つため、動画像などの大容量データを送受信することが可能。また、最大63台までの機器を接続できるネットワーク機能も持つ。
  • ※4:アイソクロナス転送映像や音声などの連続的データは、一定の時間内に次のデータが転送されないと、途切れてしまう。そこで、このようなデータを、一定期間内に優先的に転送するように定めた転送方式。等時転送とも言う。
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