報道資料
ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
検索日と情報が異なる可能性がございますので、 あらかじめご了承ください。
2003年10月28日
ソニーグループ経営方針「トランスフォーメーション60」
最強のコンスーマーブランド確立に向けて
ソニーは、21世紀においても、魅力的な商品、コンテンツ、サービスをお客様に提供する最強のコンスーマーブランドであり続けるために、グループ全般に渡る抜本的な変革プランである「トランスフォーメーション60」を開始しました。
「トランスフォーメーション60」は、
-
事業の場の明確化と技術、リソースの集中による成長戦略の実行
-
事業収益構造の変革
-
を中核とし、2006年度に営業利益率10%(金融を除く)を達成することを目指すとともに、2006年度以降の新たな価値創造と更なる飛躍の基盤を築きます。
これらのポイントは以下の通りです。
-
事業の場の明確化と成長戦略の実行
-
エレクトロニクス事業の融合
ホームエレクトロニクスとモバイルエレクトロニクス、そしてそれを支える半導体技術をエレクトロニクス事業の中核領域と定義し、「技術のソニー」の基盤を再強化します。
-
エンタテインメント事業の融合
映画、音楽、ゲームなどソニーグループの保有するさまざまなコンテンツアセットの融合を促進するとともに、エレクトロニクス事業との連携も強化し、グローバル・メディア&コンテンツカンパニーを目指します。
-
金融事業の融合
ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行の3社を傘下におく中間金融持株会社を2004年 4月を目処に設立し、グループ内における金融事業の最適な経営体制を構築し、金融事業の一層の強化を図ります。
-
事業収益構造の変革
-
抜本的にソニーの収益構造を変革させるため、エレクトロニクス、エンタテインメント事業等、グループ横断的に第2次構造改革を実施します。
戦略事業への集中、製造部門の変革加速、間接および販売部門を中心としたスリム化、 非生産材の調達改革などを通じて、2006年度までに、固定費を連結で約3,300億円削減します。(2002年度比)これにより連結営業利益率を4%改善する効果を見込んでいます。
現在の実質営業利益率4%に、上記の固定費削減効果およびその他の構造改革効果を加え、エレクトロニクスの商品力強化等により、2006年度に連結営業利益率10%(金融を除く) 以上の達成を目指します。
各項目の詳細については、次ページ以降をご参照ください。
「トランスフォーメーション60」の詳細
事業の場の明確化と成長戦略の実行
また以下の施策により、半導体/キーデバイスの内製化率を高めることで、ホームエレクトロニクス、モバイルエレクトロニクス製品において付加価値の取り込みを進めます。
-
最先端プロセッサーをベースとした、デジタルCE機器のロードマップの確立
-
フラットパネルに関しては、LCDパネル生産合弁会社の設立により、調達力を強化
-
次世代ディスプレイデバイスについては、開発体制を強化し、自社開発を加速
-
イメージング・デバイス世界No.1の地位を堅持するとともに、CCDに加えCMOSイメージャーを強化
-
次世代テレビの開発
-
フラットパネル化の更なる加速
-
高画質・高品位・大画面の追求
-
デジタル化・ブロードバンドネットワーク化
-
強力なメディア・プロセッサーの導入
-
エレクトロニクス/ゲーム技術の融合領域における新市場の創造
-
リアルタイム画像処理技術と、イメージング・デバイスの融合
-
『UMD』等の次世代高密度光ディスク技術を、映画・音楽・ゲームなどを楽しむ新たなメディアプラットフォームとして広範に活用
-
『PSX』を皮切りに、家庭における様々なメディアを快適に楽しむ事のできる環境を展開。 将来のCELLをベースにしたホームサーバーへ発展
-
HDワールドの加速
-
スーパーリアリティーの更なる追求
-
次世代パッケージメディアとしてBlu-ray Discを積極的に推進
-
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(SEMC)と共に、通信、イメージング、AV、コンピュータを融合した新たなモバイルエレクトロニクス市場を創造
-
内製キーデバイスの強みを生かし、ソニーが得意とするビデオカメラやデジタルスチルカメラ等のデジタルイメージング領域でのNo.1ポジションを堅持
-
ソニーが開発した非接触ICカード技術FeliCa(フェリカ)をソニーの広範な商品群へ積極的に展開するとともに、携帯電話を利用したサービスプラットフォームの実現にむけて、株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモとの合弁会社を設立(2003年10月27日発表済み)
-
次世代技術の強化
-
次世代ブロードバンド無線通信
-
情報セキュリティ、著作権保護や認証などのネットワーク技術
-
人工知能(AI)やセンシング技術を利用した使いやすいインターフェースの確立
ご参考
ソニーグループでは、2003年度からの3年間で総額1兆円を、研究開発および商品力強化のための投資と位置づけています。
具体的には、今後大きな成長が見込まれるCELLや撮像素子などの半導体の設備投資に約5,000億円(2003年度はそのうち約1,850億円)、エレクトロニクス分野のR&D投資*として商品力強化を目的としたキーデバイスを中心に総額約5,000億円(2003年度はそのうち約1,500億円)を投資します。
-
多様なディストリビューション手段の出現に合わせ、エンタテインメント事業とエレクトロニクスやネットワーク事業の融合による新しいビジネスモデルを更に構築していく。その一環として、米国、欧州、日本において、それぞれの地域に適した新しい音楽配信サービスを推進する。
-
PSPに採用する新メディアUMDに対応する映画、音楽ソフトの開発導入を進めるとともに、Blu-ray Discによる高画質映像ビジネスの構築を目指すなど、ソニーの技術をベースとした新しいパッケージメディアビジネスの展開を図る。
-
ブロードバンドや携帯通信が高度に発達し、コンテンツの多様化が最も進んでいる日本において、日本をベースとした様々なコンテンツおよびディストリビューションサービスの融合により、エンタテインメントビジネスの総合戦略を展開する。
第2次構造改革の概要
1.戦略事業への集中
エレクトロニクス事業を戦略カテゴリーと成熟カテゴリーに峻別し、フラットパネルテレビ、 ホームサーバー、モバイル機器などの戦略カテゴリーに設計・開発リソースを集中します。トリニトロンブラウン管テレビ、アナログビデオシステム、アナログ・パーソナルオーディオなどの成熟カテゴリーについては、ソニーEMCS(株)の設計機能を強化し、市場が縮小する中でも利益を最大化します。
2.グローバルEMCS/製造部門の変革加速
-
付加価値創造の役割強化
-
商品競争力を支える重要な要素である設計・製造技術力をグローバルに強化し、より付加価値の高い生産体制を整える。 一部製造事業所については、従来からの設計、生産、カスタマーサービスに加え、物流機能を統合することで、より高度なサプライチェーンマネジメントを確立する。 これにより、従来の製造事業所を「カスタマーフロントセンター(CFC)」に転換する。
-
全世界における各市場内生産を前提とした従来の体制を見直し、各地域の特性を重視した設計・生産体制を構築します。
日本 :最先端技術開発拠点(組立中心からキーデバイス・半導体プロセスへの 重点シフト、高付加価値デバイス・半導体製造能力強化および実装工程との 融合、最先端商品生産)
中国 :急成長する中国本土市場向け商品の供給に加え、コスト競争力のある量産、 デバイス・モジュール生産
アジア:競争力重視の量産に加え、CFC機能を順次追加
-
欧米については、市場のニーズに合わせた現行の単一カテゴリー量産機能に、CFC 機能を加えて地域の製造販売を強化
製造事業所での継続的生産革新活動と物流業務との連携により、製造物流サービス拠点の削減(2002年度比約3割)と、スペースの効率化(2002年度比約3割)を進めます。
3.グループ人員の最適化と国内人事制度改革
各部門における下記施策を通じて、2003年3月末の連結人員数(金融除く)154,500人を3年間で約20,000人(国内で約7,000人)削減します。
本社を含む間接部門および販売部門
-
複数組織/拠点にまたがる間接機能の共通プラットフォーム化
-
ロケーション集約による効率性向上
-
欧州:エレクトロニクスとエンタテインメントのシナジーを促進する観点から、AV関連のマーケティング機能を英国に一元化し、オペレーションの効率化を図るとともに、カスタマーへの利便性の向上を目指す
-
米国:東西に分散するエレクトロニクス部門のマーケティング機能や本社機能の大半を西海岸に集約し、間接部門の効率化や設計・製造・販売機能の連携を強化する
-
事業/カテゴリーの統合・縮小によるスリム化
製造部門:製造/物流/サービス拠点の集約に伴う直接・間接機能のスリム化
また上記人員最適化施策と並行し、日本国内においては、Contribution=Compensationの更なる徹底や人材構成・雇用形態の多様化などの人事施策を通じて、「会社と個人の新しい関係」を構築していきます。
4.非生産材/生産材調達の変革
非生産材:グループ横断的に、技術業務委託コスト、一般購買/リースレンタルコストなどの非生産材関連の固定費を2002年度比約12%削減します。具体的には、グループを横断した調達管理の強化、集中購買システムの効率化の徹底、業務の外部委託窓口の統合などを実施します。
生産材:下記施策を通じて、戦略的コストダウンおよび設計・開発業務の効率化を行い、更なる品質改善を推進します。
-
部品標準化:現在の約84万点の登録部品数を2005年度末までに約10万点に削減。そのうち約2万点をソニー指定標準部品と認定し、全社共通で利用する。
-
サプライヤー:部品や原材料のサプライヤーを、法令遵守、グリーン調達、e-Procurementなどの観点で現在の約4,700社から2005年度末までに約1,000社に集約し、戦略的なコストダウンを共に遂行できる体制を築く。
以上の結果、第2次構造改革費用として3年間で約3,350億円(うちエレクトロニクスで約3,000億円)を計上し、高効率・高付加価値オペレーションの実現と質的転換を図ることで、2006年度までに年換算約2,000億円(うちエレクトロニクスで約1,600億円)のコスト削減効果を見込みます。これらに、主に非生産材(業務委託費等)のコスト削減効果を加え、2006年度までに2002年度比年間約3,300億円(うちエレクトロニクスで約3,000億円)の固定費削減を実現します。
なお、2003年度は約1,400億円(うちエレクトロニクスで約1,300億円)を構造改革費用として計上し、2004年度より年換算約780億円(うちエレクトロニクスで約680億円)の継続的効果を見込みます。