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報道資料
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2004年5月18日

フル HDTVの4倍もの高精細を実現
超高精細液晶ディスプレイパネル「4K SXRD」を開発

〜 デジタルシネマ用プロジェクターに展開 〜

 ソニー株式会社は、フルHDTVを超える885万画素(4096H×2160V)の解像度、4000:1の高コントラストを実現した超高精細プロジェクター用液晶ディスプレイデバイス『4K SXRD (Silicon X-tal Reflective Display)※1』を開発しました。

 当社は、昨年フルHDTV(1920H ×1080V・200万画素)の液晶ディスプレイデバイス「2K SXRD」の開発に成功し、既に家庭用初のフルHDTVフロントプロジェクター「QUALIA 004」に搭載しています。今回開発した『4K SXRD』は、その4倍の解像度(プロジェクターとして世界最高)とさらに高いコントラストを実現し、絹のような滑らかさ、引き締まった黒色再現を可能とし、高品位な映像を作り出すことができます。
 プロジェクターへの搭載にあたっては、映像を構成する基本3原色のRGB(赤・緑・青色)ごとに本デバイスを使用し、2655万画素の映像表現が可能な超高精細ディスプレイが実現します。

 当社は、この超高精細液晶デバイスを、デジタル化の動きが加速している映画業界へ導入し、映画館やその他大画面用途のプロジェクターとして2004年度中の商品化に向けて検討しております。
 さらに、既開発の「2K SXRD」を、ますます加速する高画質・高解像度のコンテンツを大画面で楽しむ家庭用リアプロジェクションテレビへの展開も視野に入れ進めて参ります。

【開発の背景】
映画は、フィルムを用いた従来のシステムからデジタル技術を利用したデジタルシネマの方向に移行する動きを見せています。デジタルシネマは、映画の「制作」「配信」「上映」において、従来のフィルムを用いたシステムでは考えられなかった柔軟なオペレーションや高画質が可能になります。ソニーはデジタルビデオによる映画制作システム「CineAlta(シネアルタ)」を商品化し、1999年6月には世界初のデジタルビデオによる「スター・ウォーズ エピソード2」が、ソニーのシステムにより撮影・制作され、高い評価を受けています。
 一方、「上映」においては、フィルムに劣らない高いクォリティのプロジェクターが求められています。本デバイスは、プロジェクターとして世界最高の解像度を量産化レベルで実現しており、デジタルシネマ用プロジェクターの世界標準としてデジタルシネマイニシアティブ(DCI)の推進仕様である「4K(4096H×2160V)」を満した初めてのディスプレイデバイスになります。

※1
・4K(4096H×2160V):ハリウッドの映画スタジオのメンバーで構成される「デジタルシネマイニシアティブ(DCI)」が推進している仕様。
・SXRD:(Silicon X-tal Reflective Display)。X-talは Crystal の意味。
2003年2月に対角0.78インチで200万画素(9µmピッチの画素を世界最小の画素間スペース0.35µmで配置)液晶ディスプレイデバイスとして開発に成功。

「4K SXRD」の主な特長

1.従来フルHDTV比 4倍の高解像度、高輝度、高いコントラスト比で高品位映像を実現
【超高解像度: 885万画素 (4K: 4096H×2160V)】

 高解像度化の実現は、画素内の駆動回路設計の最適化により、従来9µmであった画素ピッチを、画素間スペースは従来の0.35µmのまま8.5µmに縮小し、画素面積を10%低減させました。これにより885万もの画素を1.55インチ対角のサイズ内に集積することが可能になりました。さらに、従来難しいとされていたフルHDTVの4倍以上にあたる885万個もの画素の駆動を、シリコン基板上で精度良く行ない、滑らかな映像をつくりだす"駆動素子の設計技術"や"独自の信号書き込み技術"を確立しました。これにより、300インチを超えるスクリーンサイズでも固定画素特有のメッシュ感を感じさせず、超高精細かつ高品位な映像を実現しています。

【高輝度: 従来比4倍】
 プロジェクターの輝度はランプの照明光量が同じならばパネルのサイズに概ね比例します。今回従来の0.78インチよりパネルサイズを1.55インチに大きくした結果、照明面積が約4倍になることにより高輝度が実現できるようになりました。さらに、光の反射率を従来パネル65%よりも高い72%に向上させました。
 これらにより、映画館用の高輝度を要求されるプロジェクターにおいても、充分実用的な明るさを提供することが可能となりました。

【高コントラスト:4000:1】
 SXRDは、ソニー独自仕様の垂直配向液晶材料、薄い液晶セル厚のデバイス構造及び無機材料の液晶配向制御技術の採用により高いコントラストが実現できています。さらに今回は、配向膜の成膜技術の最適化により、既に得られている高い耐久性を損なわず、デバイスコントラスト4000:1を実現しました。(従来「2K SXRD」は3000:1)

2.高い品質と量産性の実現
【大型パネルにおいてもウエハ単位パネル化プロセスを開発、高い品質・量産性を確保】

 一般的には、シリコン駆動基板と対向電極基板を個々のパネルに分断した後に張り合わせして液晶セルを組み立てる製造プロセスを用いますが、ソニーのSXRDでは、8インチのシリコンウエハを一括で張り合わせた後に分断してパネル化するプロセスを実現しています。
 さらに今回は、パネルサイズが1.55インチとプロジェクションデバイスとしては大きなサイズにおいても、従来と同様に2ミクロン以下の極めて狭いセル間隔を、スペーサーを使わずに※2パネル面内で均一に作製できるウエハ単位パネル化プロセス技術を確立しました。これにより、パネル化プロセス中で非常に問題となるダストの進入を大幅に軽減でき、高い量産性を確保しています。同時に、ダストやスペーサーによる画像ノイズが全くない、またパネル面内において非常に均一な明るさの、極めて高画質な映像を得られるようになりました。

  • ※2一般的には、セル間隔を保つために液晶セル内にガラスビーズスペーサーやポストスペーサーが用いられています。

「4K SXRD」の主な仕様

ディスプレイ素子 SXRD
(Silicon X-tal Reflective Display)
表示サイズ 対角1.55インチ
画素数 4096H×2160V画素
反射率 72%
コントラスト比(デバイスとして) 4000:1以上
画素ピッチ 8.5µm
画素間スペース 0.35µm
応答速度 5ミリ秒
液晶モード 垂直配向
配向膜 無機配向膜
駆動素子 0.35µm MOSプロセス
液晶セルギャップ 2µm以下
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