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報道資料
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2005年2月24日

高温ポリシリコンTFT液晶パネルの配向膜無機化に成功

〜耐光性が従来比約4倍に向上(当社比)〜
あわせて新テクノロジー導入で、開口率、コントラストなど画質性能も向上

 ソニー株式会社は、フロントプロジェクター用高温ポリシリコンTFT液晶パネルにおいて困難とされていた配向膜の無機化に成功し、その製造技術を確立しました。

 液晶を挟む2枚のガラス表面上の配向膜<sup>※1</sup>は、フロントプロジェクターの光源(ランプ)から長時間にわたる光の照射をうけます。フロントプロジェクターの高輝度化が進むほど強い光を受けるため、配向膜の耐久性向上はパネルの信頼性を確保する重要な要素のひとつです。
 ソニーは、従来配向膜に使用していた有機材料にかわり、光による経年変化の影響を受けにくい無機材料を使うことで、従来比(当社従来比、以下同)約4倍の耐光性<sup>※2</sup>値を実現しました。

 併せて、今回あらたに、液晶パネルの水平1ラインごとに電圧をかけて液晶を駆動する業界従来方式にかわり、液晶パネルの1フィールド※※3</sup>ごとに電圧をかけて液晶を駆動させる新規駆動方式「フィールド反転方式」を採用しています。新方式では、フィールドごとに電圧をかけるため、従来起きていたラインごとの電圧差による液晶の配向乱れを抑えることができ、コントラストや開口率のさらなる向上が可能となりました。

 さらに、今回の新規駆動方式とともに高精細加工技術を併用することで、従来比10%増の高輝度化と、従来比約5倍の高コントラスト化、11.5μm画素ピッチという高精細化を達成しています。小型サイズでも、明るく、質感表現の豊かな高画質液晶パネルの商品化が可能となりました。

●パネル断面図

パネル断面図

 ソニーは、耐光性を向上させる「配向膜の無機化技術」、開口率、コントラスト、精細度を向上させる「新規駆動方式」「高精細加工技術」を核とする新世代テクノロジー「Bi:NATM6(ビーナシックス、当社開発名称)」をフロントプロジェクター用パネルに搭載し、06年春より順次、パネルの商品化を図っていく予定です。

  • 【開発背景】
     フロントプロジェクター市場は、企業におけるプレゼンテーションの増加や教育現場での採用、ホームシアターの普及等により、需要が年々拡大しております。高温ポリシリコンTFT液晶パネルは、明るく、自然で、目に優しく、質感のある映像を生み出すことが特長で、プロジェクター用途において最も採用されているパネルです。(2005年2月現在、当社調べ)
     今回の配向膜の無機化は、自社開発および量産化している反射型構造LCOS方式(Liquid Crystal On Silicon)のSXRDTM(Silicon X-Tal Reflective Display)における配向膜無機化技術ノウハウを参考に技術検討を行ってまいりました。その結果、透過型構造の高温ポリシリコン方式に適した新液晶材料開発と無機配向膜成膜プロセスの最適化を実現し、業界他社に先駆けて開発の成功にいたりました。また、従来の配向膜成膜プロセスで必要であったラビング工程※4をなくすことができるため、更なる高画質化を達成することができます。
     当社は今後も、フロントプロジェクターのさらなる高性能化を求めるお客様や、ユーザーの皆様の期待に応えるべく、高温ポリシリコンTFTの技術開発・商品化を進めていきます。
  • ※1液晶分子群を一定方向に配列させるための膜。
  • ※2配向膜がフロントプロジェクターの光源であるランプから長時間にわたる光の照射をうけた際の、光に対する耐久性を「耐光性」という。
  • ※3水平ラインを画面の上から下まですべてをひとかたまりにとらえて1フィールドという。
  • ※4配向性をもたせるためにこする工程。

●新世代テクノロジー『Bi:NATM6』の主な特長

1.配向膜の無機化により、耐光性が約4倍に向上

試作開発において、従来比4倍以上の耐光性の値を獲得。無機化により配向膜のラビング工程が不要となり、さらなる高画質化を達成することができます。

2.新規駆動方式と高精細加工技術により、開口率、コントラスト、精細度を向上

液晶パネルの水平1ラインごとに電圧をかけて液晶を駆動する業界従来方式にかわり、液晶パネルの1フィールドごとに電圧をかけて液晶を駆動させる新規駆動方式「フィールド反転方式」を採用。新方式では、フィールドごとに電圧をかけるため、従来起きていたラインごとの電圧差による液晶の配向乱れを抑えることができ、コントラストや開口率のさらなる向上を実現。
さらに、新規駆動方式とともに高精細加工技術を併用することで、下記のように性能を向上しています。

  • (1)開口率:従来比10%増
    従来比10%増で、フロントプロジェクターを高輝度化し、さらに明るくなります。
  • (2)コントラスト:従来比5倍
    映像の立体感や質感を向上し、高画質になります。
  • (3)高精細:11.5μm画素ピッチを達成(従来12.5μm)
    パネルのさらなる小型サイズ化が可能になります。

●フロントプロジェクター実写画像比較
(左は無機配向品コントラスト2000:1 右は従来品同500:1)

フロントプロジェクター実写画像比較
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