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報道資料
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2005年9月6日

世界最小0.61型 フルHDディスプレイデバイス『SXRD』実用化

 ソニー株式会社は、プロジェクター用ディスプレイデバイスとして、世界最小を実現した『0.61型フルHD(207万画素)SXRD (Silicon X-tal Reflective Display)※1』を開発し、今秋より発売予定の家庭用ビデオプロジェクター「VPL-VW100」に搭載します。
 本デバイスは、当社従来の0.78型フルHD SXRDに比べ、面積比で約40%小型化しながらも、高画質に不可欠なコントラストを5000:1、反射率を74%に向上し(従来は3000:1、65%)、業界最高レベルの性能を実現しています。これにより、暗い映像の表現力がさらに向上すると同時に、小型でも従来と同等以上の輝度を確保しました。また、液晶パネルながらも極めて速い2.5ミリ秒の高速応答性を維持しており、動きの早いシーンでも残像の少ないキレの良い映像表現が可能です。

0.61型 フルHDディスプレイデバイス 『SXRD』 0.61型 フルHDディスプレイデバイス 『SXRD』

 本デバイスは、「VPL-VW100」以外にも、米国においては、50型・60型プロジェクションテレビに搭載され、今秋発売を予定しています。
 ハイビジョン放送やブルーレイディスクなどの普及、家庭用ビデオカメラのハイビジョン化で、ますます映像の高精細化が加速する中、当社は、ソニーとして進めているHD( High Definition )ワールドにおける大型ディスプレイ用フルHD対応デバイスとして、SXRDを今後も進化させ、展開してまいります。

  • ※1X-tal=Crystalの意味

SXRDとは?

 SXRDは、2003年2月にフルHDディスプレイデバイスとして開発したソニー独自の反射型液晶ディスプレイデバイスで、「高精細」のみならず、従来難しいとされていた「高コントラスト」「高速応答」も兼ね備えていることが特長です。今回開発した0.61型SXRDデバイスは、小型ながら「高コントラスト」「高速応答」をさらに進化させ、ディスプレイデバイスとして最高レベルの性能を実現しています。これにより、ビデオプロジェクターによる60〜150型クラスの大画面スクリーンへの映像投影においても高画質の表示が可能となります。また、本デバイスの小型化により、映像を作りだすプロジェクターの光学系をも小型化できるとともに、SXRDの持つ優れた量産性をさらに向上させています。

開発のポイント

 デバイス性能を維持・向上させながら小型化を実現するのは、非常に難しいとされています。ソニーは、下記の取り組みにより、小型化と高画質の両立を可能にしました。

SXRD断面外略図 図1 SXRD断面概略図

【小型化にあたって】

 画質の高解像度化は、デバイスの中により多くの画素を配列することで実現されます。解像度を落とすことなく小型化するためには、いかに画素を小さくするかがカギとなります。本パネルには、これまでの9μmから7μmに小型化した世界最小の画素サイズを採用しています。画素の小型化にあたっては、画素の駆動素子設計を最適化することに成功し、7μmという極小画素サイズを実現しました。(図1参照)
 さらに、画素の小型化にあたって、隣り合う画素間で発生する信号干渉を防止するための「液晶駆動技術」や「新しいレイアウト設計」を開発し、採用しています。
 以上の取り組みにより、ソニーは解像度を落とすことなく小型化を実現しました。

【反射率、コントラストなどの性能向上にあたって】

新しい反射膜構造採用で反射率向上
 小型化すると、面積が少なくなる分、画素の開口率(配線部分などを除いた光を反射させる面積と、画素全体の面積比率)が低下するため、一般的に反射率が低下します。ソニーは、反射率を向上させるため、反射膜構造を新規に設計し、反射率を現行より約10%向上させ、搭載セット製品の高輝度化に貢献しています。

反射膜構造および成膜プロセスの最適化でコントラスト向上
 新しい反射膜構造は、同時に液晶の配向※2乱れを減少させることも可能にしました。さらに、液晶を配向させる膜の成膜プロセスを最適化することで、液晶配向を精度良く制御することが可能となり、現行比で約65%のコントラスト向上(5000:1)を実現しています。

  • ※2液晶配向=液晶分子の向きをある方向に揃えること。液晶パネルはこの液晶の配向により画面内で均一な映像を表示している。垂直配向とは、基板と垂直方向に液晶分子を配向させること。

今後の展開

・0.61型SXRD向け新ラインの設置

 SXRDは、2003年開発当初から、独自の「ウェハ一括重ねプロセス」※3を開発し、高い生産技術を確立してきました。「ウェハ一括重ねプロセス」により、基板間へのダストの進入を大幅に軽減できるため、均一な明るさのデバイスを実現できます。また、これまで難しいとされてきた垂直配向液晶材料の採用と、画面内にスペーサ(液晶の厚みを均一にするための柱に相当するもの)を使うことなく2μm以下という超狭セル厚構造を実用化する生産技術を確立し、高画質・高速応答性で優れたデバイスの量産性を可能としました。
 そして今回、さらなる進化をとげた0.61型フルHD SXRDでもその高い生産技術を継承し、生産体制のさらなる強化をしてまいります。この度、ソニーセミコンダクタ九州(株)熊本テクノロジーセンター(代表取締役社長 大久保清・熊本県菊池郡)には、従来の0.78型のラインに加え、0.61型の新ラインを設置しました。2005年中には、全世界向けに年間生産能力100万台体制を整える予定です。

・商品展開

 ソニーは、高画質を支えるデバイスとして、フルHD普及をリードするディスプレイデバイス『SXRD』の開発を今後さらに進めてまいります。デジタルシネマ用に向けて開発したフルHDの4倍の解像度の885万画素技術をベースに、ハイビジョンを超える解像度のデバイス開発も行っていきます。引き続き、安定したデバイス品質・生産体制でソニーのディスプレイ商品・ビジネスを強力に推進してまいります。

SXRDの商品ロードマップ
  • ※3通常、パネル化プロセスでは、液晶セル厚の均一化のため、小片に切り出した後にパネル化する手法をとるとともに、スペーサといわれる“柱”に相当するようなものを液晶内に入れ、セル厚の制御を行う。本手法は、「シリコン駆動素子の平坦化技術」や「均一な配向膜の成膜技術」を開発することで、2μm以下というセル厚でもウェハ単位でパネル化できるプロセス。

「0.61型SXRD」の主な仕様

ディスプレイ素子 SXRD
(Silicon X-tal Reflective Display)
表示サイズ 対角1.54cm (0.61型)
画素数 1920H×1080V画素
反射率 74%
コントラスト(デバイスとして) 5000:1
画素ピッチ※4 7μm
画素間スペース 0.35μm
応答速度 2.5ミリ秒(立上り・立下りそれぞれ)
液晶モード 垂直配向
配向膜 無機配向膜
駆動素子 0.35μm MOSプロセス
液晶セルギャップ 2μm以下
  • ※4画素ピッチ=画素の大きさ + 画素間スペース

ご参考

【SXRD搭載製品(既発表)】

・0.78型フルHD(1920H×1080V・207万画素)「2K SXRD」(2003年2月開発発表)

家庭用ビデオプロジェクター「QUALIA 004」(日本・米国・カナダ・豪州・欧州)
家庭用プロジェクションテレビ「QUALIA 006」(日本・米国・カナダ)

・1.55型 4K(4096H×2160V・885万画素)「4K SXRD」(2004年5月開発発表)

デジタルシネマプロジェクター 「SRX-R110/R105」 (日本・米国)

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