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報道資料
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2005年9月22日

ソニーグループ 中期経営方針(2005年度〜2007年度)

〜 エレクトロニクス事業復活を軸に経営体質強化 〜

ソニーはエレクトロニクス、ゲーム、エンタテインメントの三つをコア事業と位置づけ、競争力向上と経営体質強化に向け以下の施策を実行します。特にエレクトロニクス事業の復活を最優先課題として、機構改革を実施し、構造改革と成長戦略を推進します。これにより、2007年度に連結営業利益率5%(エレクトロニクス4%)、連結売上高8兆円以上のグループ企業になることを目標とします。(※1

今回の改革の重点項目としてエレクトロニクス事業の組織を大幅に改組し、重要分野の意思決定権限をエレクトロニクスCEOに集中する体制とします。これに伴い、現行のカンパニー制を廃止し、各事業本部が相互に連携しながら、それぞれの事業領域に集中できる体制を確立します。また、商品戦略、技術、資材調達、生産、販売・マーケティングの重要領域において、横断的な連携の仕組みを強化し、製品分野を超えた意思決定の迅速化、全体最適化を図ります。また共通ソフトウェアの開発、設計や商品開発での重複の排除、研究開発投資の効率化を実現します。

これらに加え、構造改革により2007年度末までに2,000億円のコスト削減を実現します。この構造改革は不採算事業・非戦略事業の収束、モデル数の削減、製造拠点の統廃合などを軸に推進し、全世界で1万人のグループ人員を削減します。また、保有する不動産や株式、非戦略資産等を見直し、2007年度末までに1,200億円相当を売却します。
これら構造改革の進捗については四半期ごとに開示します。

成長戦略においては、エレクトロニクス事業のリソースをHD関連商品群、モバイル商品群、およびこれらの商品の差異化につながる先端半導体、デバイスの開発・製品化に集中的に投入し、競争力強化と収益性向上を目指します。加えて、Cellプロセッサを活かした新しい技術、商品、アプリケーション開発を行うための組織をCEO直轄組織として新設します。

当社は、これらの施策実施によりエレクトロニクス事業を強化し、ゲーム事業、映画事業、音楽事業、そして高いブランド認知度など、グループ内の強力なリソースを最大限に活かし、世界をリードするエレクトロニクス・エンタテインメント企業として、より魅力的な商品・サービスを提供してまいります。

  • ※1構造改革費用計上前

各施策の具体的内容は以下の通りです。

機構改革

エレクトロニクス事業組織の再編

  • 前述の通り、現行のカンパニー制を廃止し、特定製品分野へ直結した事業本部を中心とした組織とします。
  • 担当執行役が明確な責任範囲のもと、商品戦略、技術、資材調達、生産、販売・マーケティング等、部門を越えた横断領域を監督し、エレクトロニクスCEOを直接補佐します。
  • これにより、リソースの集中配分を阻害する縦割り組織の弊害を除去し、連携のとれた効率的かつスピードある意思決定を促進します。
  • さらに、R&Dの優先順位を明確化し、成長領域へリソースを投入するとともに開発における重複を省きます。研究体制の再編もあわせて実施します。

収益構造の改革(構造改革)

1.構造改革によるコスト削減

2007年度末までに2,000億円のコスト削減を実施します。これは事業の絞り込み、モデル数の削減、製造拠点の見直し、ならびに組織・ビジネスプロセス重複排除による間接部門の効率化等の施策により実現します。具体的には以下の通りです。

  • 15の特定ビジネスカテゴリーを抽出し、収束、縮小、他社とのアライアンス、事業売却などを実行します。
  • 製品モデル数を2005年度比で20%削減します。
  • 製造拠点数を65から54へ11拠点削減します。

これらの施策により、2007年度末までに全世界で10,000人(本社・間接:5,000人、直接:5,000人/国内:4,000人、海外:6,000人)のグループ人員削減を行い、オペレーションの効率化を図ります。

構造改革費用として2,100億円を計上します。その回収は2008年度末までに完了の予定です。

2.不動産・株式・非戦略資産の売却

保有する不動産や株式、非戦略資産等を見直し、2007年度末までに1,200億円相当を売却します。

現行エレクトロニクス事業の強化

  • テレビ、デジタルイメージング(ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ)、ビデオレコーダー、携帯型オーディオを重点カテゴリーと位置づけ、各市場におけるリーディングポジション確立に向け注力します。これと並行して、商品差異化の核となる半導体やデバイスの強化も行います。
  • 特にテレビ事業に関しては製造拠点の見直し、内製化率向上、設計体制の集中等の推進により収益性改善に注力し、2006年度下期黒字化を目指します。

エレクトロニクス事業の成長戦略

エレクトロニクス事業のリソースをHD関連商品群、モバイル商品群、及びこれら商品の差異化につながる先端半導体/デバイスの開発・商品化に集中的に投入することにより、競争力強化を実現します。

1.「HDワールド」を収益の柱へ

ソニーは既にHD分野で世界をリードしており、コンスーマー領域でのHDシフトが加速化するのに伴い、その強みを十分に発揮できるポジションにあります。放送業務用から民生用に至る幅広いHD機器、ならびに業界ナンバーワンのHDデジタルコンテンツを、共に提供できる世界唯一の企業として、HD関連ビジネスを収益の柱とします。業界における広範な支持に支えられた次世代大容量ディスクフォーマットであるブルーレイディスクを今後のHDビジネス拡大のドライバーと位置付け、来春発売予定の「プレイステーション3」に搭載することを手始めに、2006年度より商品化とHDコンテンツの普及を加速していきます。

2.インテリジェントにつながる製品群への集中

デジタルAV機器が通信・ネットワーク環境下で活用される中、新しいアプリケーションの提案が可能となります。具体的には、個人のコンテンツを個人で楽しむだけでなく、ネットワークを介してコンテンツを共有し、感動を共有すること、自動的に個人の嗜好に基づきコンテンツをアレンジすることなど、様々な楽しみ方の用途が今後拡大していきます。これを新たな成長領域と捉え、ネットワークとの親和性を高め、「共感」=「感動を共有する」商品・アプリケーションを強化していきます。

3.成長戦略を支える技術開発の強化

製品の差異化と付加価値の核となる半導体/デバイスの開発にエンジニアリングリソースを集中します。特に半導体事業についてはゲーム/イメージャー関連の製品開発に集中します。また、ブルーレイディスク関連デバイスに加えシステムLSI、次世代ディスプレイ等、強力なコアテクノロジーを開発し、商品力強化と収益性向上につなげます。具体的な重点施策は以下の通りです。

  • ホーム/モバイルプラットフォームの構築
    今後ますます拡大するHDコンテンツに対応する高性能なハードウェアを実現するために、汎用性のあるホームCE機器用システムLSIの開発を積極的に展開します。
    また、モバイル機器における高性能化・低消費電力化を実現するため、汎用性を持ったモバイルCE機器用システムLSIを開発します。
    これらシステムLSIの開発により、商品開発スピードの加速や設計効率化を併せて実現します。
  • 半導体・デバイスへの集中投資
    A) ブルーレイディスク関連デバイス/イメージャー/Cell
    HDワールド実現のコアとなる青紫レーザーダイオードをはじめとしたブルーレイディスク関連デバイスや、既に高い競争力を誇るCCD/CMOS等を引き続き強化します。
    また、Cellに関してもCE機器への搭載の開発を加速します。
    B)「有機EL」を次世代ディスプレイの中心と位置づけ、開発を加速します。エレクトロニクスCEO直轄のディスプレイデバイス開発本部を新設します。
  • ソフトウェア開発体制の強化
    エレクトロニクス製品において相互運用性と優れたユーザーインターフェース等を実現するためにミドルウェア、アプリケーション、codec(圧縮・伸張)、DRM(デジタル著作権管理技術)等のソフトウェア開発を強化します。そのために技術開発本部を新設、世界的なリソースを効果的に活かせる体制を確立し、米国や中国などでのソフトウェア開発を強化します。

グループ融合戦略

「モバイルエンタテインメント」の追求

携帯型オーディオ領域でのリーディングポジションを確立するとともに、今後音楽のみならず映像、ゲーム、書籍などのコンテンツがネットワーク上に展開していく中で、ウォークマン、携帯電話、プレイステーション・ポータブルなど操作性の高いモバイル機器とアプリケーションソフト、豊富なコンテンツを備えたサービスを開発し、ソニーグループの総合力を活かしたビジネスの立ち上げを目指していきます。

Cellデベロップメントセンターの新設

急速なブロードバンドネットワークインフラの普及を背景とし、Cellプロセッサの先進性及び汎用性を活かした新しい技術・商品・アプリケーション開発を行う組織を、CEO直轄組織として新設します。

各グループ事業戦略

ゲーム

ソニーグループ全体を一層強化し、コンピュータエンタテインメント市場をさらに発展させる「プレイステーション3」の来春の市場導入を最優先事項として推進します。また、「プレイステーション・ポータブル」の市場での地位をさらに確固たるものとします。自社ソフト開発を拡充し、エレクトロニクス、エンタテインメントとの連携も強化します。

エンタテインメント

  • 映画:劇場公開に加えテレビのライセンスビジネスやDVD等、収益源が多様化する中で、業界ナンバーワンのデジタル映画ライブラリを活用し、映画ビジネスの更なる成長と安定化を図ります。UMDやブルーレイディスク等、新メディアの普及に伴い、今後デジタルライブラリの価値がさらに高まることが予想され、新たな収益源となることが期待されます。また、MGMのライブラリのデジタル化を加速させ、MGMコンテンツの独占配給権を持つSPEの収益力をさらに高めていきます。
  • 音楽:ソニーBMGの合弁効果を発揮しさらなる経営体質強化につとめるとともに、携帯やインターネットによるデジタル音楽配信事業を積極的に拡大します。またブルーレイディスクやUMD等、新たなフォーマットによるパッケージメディア販売にも注力します。

携帯電話

グループ内のエンタテインメント資産を有効活用しながら、ユニークで魅力的な端末開発に注力します。

金融

金融サービス部門はソニーグループ内で最も高い利益率を維持し、グループ全体の業績に貢献しています。なお、以前ご案内した2006年度中の株式公開の計画については2007年度以降に延期します。

ネットワークサービス事業、その他リテール事業

  • ソニーコミュニケーションネットワーク(株)(SCN)については、今年4月にご案内の通り、当年度中の株式公開で独立性を高め、独自の運営形態、成長戦略で企業価値を向上させます。
  • リテール事業群については、その資産価値の最大化に向け、他社とのアライアンスを含めたオプションを検討します。

注意事項

この発表文に記載されている、ソニーの現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しです。将来の業績に関する見通しは、将来の営業活動や業績、出来事・状況に関する説明における「確信」、「期待」、「計画」、「戦略」、「見込み」、「予測」、「予想」、「可能性」やその類義語を用いたものには限定されません。口頭または書面による見通し情報は、広く一般に開示される他の媒体にも度々含まれる可能性があります。これらの情報は、現在入手可能な情報から得られたソニーの経営者の判断にもとづいています。実際の業績は、様々な重要な要素により、これら業績見通しと大きく異なる結果となりうるため、これら業績見通しのみに全面的に依拠することは控えるようお願いします。また、新たな情報、将来の事象、その他の結果にかかわらず、常にソニーが将来の見通しを見直すとは限りません。実際の業績に影響を与えうるリスクや不確実な要素には、以下のようなものが含まれます。(1)ソニーの事業領域を取り巻く経済情勢、特に消費動向、(2)為替レート、特にソニーが極めて大きな売上または資産・負債を有する米ドル、ユーロまたはその他の通貨と円との為替レート、(3)継続的な新製品導入と急速な技術革新や、エレクトロニクス、ゲーム、映画分野および音楽ビジネスで顕著な主観的で変わりやすい顧客嗜好などを特徴とする激しい競争の中で、顧客に受け入れられる製品やサービスをソニーが設計・開発し続けていく能力、(4)ソニーがエレクトロニクス分野および音楽ビジネスで人員削減やその他のビジネス事業再編を成功させられること、(5)ソニーがエレクトロニクス、映画、その他分野および音楽ビジネスにおいてネットワーク戦略を成功させられること、映画分野および音楽ビジネスでインターネットやその他の技術開発を考慮に入れた販売戦略を立案し遂行できること、(6)ソニーが主にエレクトロニクス分野において研究開発や設備投資に充分な経営資源を適切に集中させられること、(7)生命保険など金融商品における顧客需要の変化、および金融分野における適切なアセット・ライアビリティー・マネジメント遂行の成否、および(8)ソニーと他社との合弁、提携の成否、などです。ただし、業績に影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。

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