報道資料
ここに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
検索日と情報が異なる可能性がございますので、 あらかじめご了承ください。
2007年4月5日
動画でも残像感の極めて少ない映像表現を可能にしたプロジェクター向け
ハイフレームレート対応0.61型 フルHDディスプレイデバイス 『SXRD』開発
ソニー株式会社は、プロジェクター用ディスプレイデバイスとして、『0.61型ハイフレームレート フルHD(207万画素)SXRD (Silicon X-tal Reflective Display)※1』を開発しました。
本デバイスは、従来の0.61型フルHD SXRD(当社2005年9月開発)に比べ、液晶駆動速度を2倍の240Hzに向上させ、120Hzフレームレート表示を実現しました。従来からの特長である非常に速い液晶応答性(2.5ミリ秒)と併せ、動画においても残像感の極めて少ない高精細な映像表現を可能にしました。ここ数年、テレビの大画面化が進むとともに、家庭向けビデオプロジェクター市場も成長を続けております。これら大画面環境では特に、スポーツやアクションシーンなど動きの速い映像に対して、ブレやボヤケのない鮮明な画質への要求が高まります。当社は本デバイスにより、そうした要求に応えていきます。
0.61型 フルHDディスプレイデバイス 『SXRD』
ハイフレームレートの効果を分かりやすく説明するためのイメージ
■開発上の主なポイント
-
新規シリコン駆動基板開発によるハイフレームレート表示対応
従来の60Hzフレームレート表示に対し、2倍速の120Hzハイフレームレート表示を可能にするため、シリコン駆動基板を新規に開発しました。
フルHD(207万画素)の解像度を維持しつつ、120Hz表示に対応するためには、デバイス内において通常の2倍の大容量データ転送が必要となります。一般的に大容量データ転送を行った場合、映像信号に数ミリボルト程度の微小ノイズが増加し、その僅かなノイズが画質に影響を及ぼします。この課題に対しては、映像信号線間の干渉を低減させる回路を新規に設計することで、書き込み信号の電圧安定性を向上させ、極めてノイズの少ない画質を実現しました。60Hzフレームレートパネルと比較してデバイス内の回路規模が増大しているにも関わらず、配線レイアウトの最適化等を行うことで、表示エリアやパッケージのサイズを共通化することを実現。従来の光学エンジンを活用することが可能で、効率的な商品開発が可能です。
-
2.5ミリ秒高速応答と240Hz液晶駆動による動画特性の向上
120Hzハイフレームレート表示を長期的に安定して高画質で実現するために、液晶セルへの実効的な印加電圧のバランスを理想的に保つことが出来る240Hz液晶駆動方式を開発しました。SXRDでは、2μm以下という超狭セル厚構造と新規液晶の採用により、高速応答速度2.5ミリ秒を達成しています。
-
デバイス構造の最適化による新規光源への対応
今回の開発においては、不要反射光の発生などを抑えるようにデバイス構造を最適化し、光源スペクトルに依存しない柔軟性の高いデバイスを実現しました。これにより、超高圧水銀ランプ、キセノンランプからLEDやレーザといった固体光源まで、各種光源に対応できます。今後開発が進むと思われる固体光源との組み合わせでは、色域拡大により極めて鮮やかな画像が表示可能となります。
-
その他新機能
プロジェクターの商品設計においては、製品機内の温度を最適化する熱設計が重要になっています。本デバイスでは、デバイスの温度をモニタリングできる温度検出回路をシリコン駆動基板内に作り込み、リアルタイムでシリコン駆動素子の温度をデバイス外部から直接測定出来るようにすることで、プロジェクターの商品設計時の効率化を可能にしました。
■今後のビジネス展開
■「0.61型ハイフレームレートSXRD」の主な仕様
*SXRDについて
SXRDは、2003年2月にフルHDディスプレイデバイスとして開発したソニー独自の反射型液晶ディスプレイデバイスで、「高精細」のみならず、従来難しいとされていた「高コントラスト」「高速応答」も兼ね備えていることが特長です。
<開発の経緯>
-
0.78型フルHD(1920H×1080V・207万画素)「フルHD SXRD」(2003年2月開発発表)
-
1.55型4K(4096H×2160V・885万画素)「4K SXRD」(2004年5月開発発表)
-
0.61型フルHD(1920H×1080V・207万画素)「フルHD SXRD」(2005年9月実用化発表)
- ※1X-tal = Crystalの意味。
- ※2画素ピッチ=画素の大きさ + 画素間スペース