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報道資料
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2011年4月18日

オリビン型リン酸鉄を用いたリチウムイオン二次電池で
1.2kWh蓄電モジュールの量産出荷を開始

〜10年以上※1の長寿命で、バックアップ電源や電力ピーク時の負荷平準化など幅広い用途に対応〜

※1 室温(23℃)で1日1回の充電・放電の場合

2011年04月18日発表
2011年05月10日改訂

 ソニーは、オリビン型リン酸鉄リチウムを正極材料に用い、10年以上の長寿命、高い安全性能、急速充電性能、そして高い拡張性という特長を持つオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池の蓄電モジュールを量産し、2011年4月下旬より出荷を開始します。昨年6月のサンプル出荷開始後、さまざまな用途における実証実験を行い、このたび量産出荷に至りました。

蓄電モジュール 『IJ1001M』
型名 出荷開始時期 価格
蓄電モジュール
『LIM1001』 『IJ1001M』
2011年4月下旬 オープン価格

 本製品は、1.2kWhの容量を持つ蓄電モジュールで、このモジュールを多直多並列接続することで、高電圧・高容量化への拡張が容易となり、制御機器を併用することで、データサーバー用や携帯電話の無線基地局用のバックアップ電源、また住宅用蓄電システムなどの各種定置型電源用途として、多様なシーンでの使用が可能となります。また、内部に搭載されるオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池の技術により本製品への急速充電や高出力対応が可能となり、電気自動車用の充電ステーションなどの用途にも対応が可能です。本製品は、集合住宅やオフィス、学校などに向けて電源システムを組むシステムインテグレーターや、業務用の電源装置を設置する業者などの顧客を想定しています。
 ソニーでは、需要が高まる蓄電ビジネスをリチウムイオン二次電池ビジネスの新たな柱と位置付けており、今回の1.2kWhの蓄電モジュールでは、初年度30,000台の販売を目指します。

【背景】
 近年、蓄電システムの市場において広く使用されている鉛電池やニカド電池の代替として、よりエネルギー効率やエネルギー密度が高く、保存特性にも優れるリチウムイオン二次電池に対するニーズが高まっています。またCO2削減などの環境対策を背景にエネルギー利用の効率化を目的とした蓄電システムの用途開発に加え、災害時の非常用電源や電力消費ピーク時の負荷平準化対策としても注目を集めています。
弊社は、10年以上※1の長寿命、高い安全性能、急速充電性能、そして高い拡張性を特長とするオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池の蓄電モジュールの量産出荷を開始します。用途に合わせた電圧や容量のカスタマイズを可能とする高い拡張性と、コンパクトな本体設計により、幅広い用途へ対応することができます。

【蓄電モジュールの主な特長】

  • 1. 「長寿命」
    10年以上※1の使用が可能なほか、長く繰り返し使用できることで環境負荷も低減
  • 2. 「高い安全性能」
    熱安定性や保存特性に優れたオリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池を採用したほか、
    蓄電モジュール内の異常を検知する自己診断機能を搭載
  • 3. 「急速充電性能」
    1時間で90%以上の充電が可能
  • 4. 「高い拡張性」
    モジュール同士の直列や並列の複数接続が容易で、用途にあわせて電圧や容量のカスタマイズが可能

蓄電モジュールの主な特長(詳細)

【長寿命】

  •  1.
    オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池の優れた特性により、室温(23℃)で1日1回の充電・放電を行った場合、10年以上の使用が期待できます。また放電深度に左右されることなく、高い充電・放電のサイクル寿命を実現しました。
    *放電深度:電池の定格容量に対する放電電気量の比率のことで、多くの二次電池の寿命を左右する要因
  •  2.
    リチウムイオン電池は、鉛電池やニカド電池に比べて充電した電気エネルギーを実際に放電するまでのエネルギー損失が少なく(=‘充放電効率’が高い)、またニカド電池などに見られるメモリー効果と呼ばれる現象が起きないため、省エネ効果も発揮します。
    *メモリー効果:バッテリーを放電しきらない状態での再充電を繰り返した場合に、見かけ上、使用可能な容量が減少する現象のことで、実質上バッテリーを使える時間が短くなる

【高い安全性能】

  •  3.
    蓄電モジュール内の異常を検知する自己診断機能を搭載しています。
  •  4.
    蓄電モジュールの内部電池の状態(電圧・電流・温度)をモニターし、通信で外部のバッテリーマネージメントシステムと連係することで、内部電池の利用状態を安全に制御することが可能です。

【急速充電性能】

  •  5.
    オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池の高出力構造により、1時間で90%以上の充電※2が可能です。

【高い拡張性】

6. モジュールを複数多直多並列に接続することで、用途にあわせて電圧や容量のカスタマイズが可能です。1モジュール当たり最大2.5kWの高出力に対応できます。また、サイズはコンピュータサーバーの標準ラックに搭載可能な19インチ(2U)サイズに適合しています。

蓄電モジュール 『LIM1001』

【その他】

  •  7.
    電極材料に鉄(リン酸鉄リチウム)を使用しているため、埋蔵量や流通量が非常に少ないレアメタルを使用したリチウムイオン二次電池と比べて環境負荷の低減が可能です。
  •  8.
    一部の鉛電池には必要な補水作業などの定期的なメンテナンスが不要です。

蓄電モジュールの仕様

容量:1.2kWh
公称電圧:51.2V
最大出力:2.5kW
標準充電条件:57.6V・24Aにて2.5時間
寸法:432×421×80mm(取付器具を含まず)
質量:約17kg

  • ※1室温(23℃)で1日1回の充電・放電の場合
  • ※2100%充電まで2.5時間(標準充電条件57.6V・24Aにて)
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