報道資料
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2014年9月24日
〜再生医療の研究や創薬支援に有用な非染色・非侵襲手法の実現〜
ソニーは、細胞分析の手法として業界初となる、細胞の動きを非染色・非侵襲で定量評価する、動き検出技術を応用した新しいコンセプトのセルモーションイメージングシステムSI8000シリーズを発売します。
商品 | モデル名 | 発売予定 | メーカー希望小売価格 |
---|---|---|---|
セルモーション イメージングシステム SI8000シリーズ |
Cardio model (SI8000C 一式) |
2014年12月 | 3,000万円前後 (オプションにより価格が異なります) |
Research model (SI8000R 一式) |
2015年2月 | 2,000万円前後 (オプションにより価格が異なります) |
近年、創薬、再生医療、個別化医療の領域では、iPS細胞やES細胞などの幹細胞に対する医学・生物学研究の発展により、薬効薬理試験や疾患の原因解明を、細胞を用いて行う手法に注目が集まっています。
ソニーは、自社の強みであるイメージング技術を応用し、細胞の機能を評価するソニー独自の『細胞の動き解析アルゴリズムMotion Vector Prediction Method (MVP法)』を開発し、本システムに採用しました。細胞の動きに特化したチューニングを行うことで、精確かつ高速に細胞の動きを検出することができます。また、検出した動きの情報を用いることで、細胞の挙動を定量化するための様々なパラメータを算出することが可能です。
通常の培養状態のまま細胞を撮影し、その動画をMVP法により解析することで、従来は実現が困難とされてきた、特殊な培養容器や染色試薬を必要としない画期的な細胞機能評価ソリューションを実現しました。創薬・個別化医療・再生医療領域において、細胞を含めた生体組織を対象とした研究に、この分析手法を用いることで、従来では得られなかった知見をもたらすことが期待されます。
本システムでは、心筋細胞など動きを有する細胞において拍動伝播を可視化することができるため、不整脈を引き起こすような細胞間結合の異常や薬剤による影響を検証することや、ヒトiPS細胞由来の疾患モデル細胞について、その表現型を動きの観点から定量評価するなど、細胞評価における多くの利用シーンが想定されます。
また、創薬や再生医療の研究などで、細胞に対する染色を避けたい場合においても、非染色での細胞評価を可能にします。
ソニーは、メディカル事業においてライフサイエンス分野でも事業拡大を目指し、先端医療に貢献する革新的な研究手法や質の高い製品を提案していきます。
本製品は、「第73回日本癌学会学術総会」(9月25~27日・パシフィコ横浜)と「Safety Pharmacology Society」(10月19~22日・ワシントンDC・アメリカ)への出展を予定しています。
Cardioモデルは、特に心筋細胞の収縮機能評価にフォーカスしたモデルです。
このモデルでは自動解析により心筋収縮の詳細なパラメータを得ることが可能で、薬効や安全性評価、スクリーニングなど創薬分野における応用が期待できます。具体的には、薬剤添加による心筋細胞の拍動数や収縮速度の変化だけでなく、これまで難しいとされていた細胞の変形距離や弛緩速度も定量評価することができます。さらに、生理的培養条件を維持した状態で1週間以上の細胞観察が可能であることから、薬物等の慢性毒性評価など幅広い用途に応えます。
Researchモデルは、心筋細胞のほか、がんの転移に関わる細胞の遊走や浸潤、神経細胞の突起伸長など、種々の細胞の動き、形態変化を定量評価することが可能で、幅広い研究分野での応用も期待できます。さらに、染色手法と組み合わせることで細胞内小器官など特定の対象物の動きを評価することも可能となり、「細胞の動き」という新たな指標を用いて様々な角度から細胞機能を評価することができます。
ソニーはAV機器で培った高度な動画像解析技術を有しており、ブラビア™やカムコーダーなど、多くのソニー民生機器で独自機能を実現しています。
セルモーションイメージングシステムSI8000シリーズでは、ソニーの得意とする動画像解析技術を業界で初めて細胞分析に応用することで、非染色・非侵襲の細胞評価を可能にしました。
これにより、培養細胞の環境を維持したまま高速かつ高解像度に解析することを可能にし、従来は観測できなかった微細な動きの定量評価を実現します。
ユーザーのアイディア次第で得られたデータから多彩なパラメータによる定量評価が可能です。
本システムの操作はソフトウェアを使って簡便に行うことができ、高性能ビデオカメラで撮影された画像は独自のアルゴリズムで自動的に解析されます。測定はカメラでの撮影のみなので、従来必要であった染色などの専門技術や特殊な基材は不要です。測定・解析が簡便になることで細胞評価手順のスループットが向上し、研究の効率化に貢献します。
本システムでは普段使用している培養プレートを顕微鏡用培養装置に設置することで、通常の細胞培養環境を保ったまま観測が可能です。さらに染色や専用の特殊基材への移動などが不要のため、非侵襲の測定が可能となり、1週間以上の長期間にわたり培養をしながら観察を続けることができます。これまでの測定法では観測できなかった長時間の動きを観測することや、培養を続けた場合の細胞の変化の様子を分析することが可能となり、新薬の効果や安全性を評価する際に、より精緻なデータを得られます。(※オプション選択)
単一iPS細胞由来心筋細胞の収縮と弛緩における動きベクトルを検出し、心筋細胞の拍動プロファイルを比較することにより、様々な薬剤の影響評価を定量的に観測することができます。
抽出した細胞の動き成分が小さい領域(左図では青色で図示)の細胞が17時間後に剥離していたことから、早い段階で細胞の状態変化を動きから検出できることがわかります。
項目 | Cardioモデル | Researchモデル |
---|---|---|
顕微鏡※ | 4x, 10x, 20x 位相差顕微鏡を使用 | |
光源※ | 白色LED光源 | |
本体サイズ: 幅: 70mm × 高さ: 100mm × 奥行き: 150mm、重量: 1.2kg以下 | ||
搭載カメラ | フレームレート: 150fps※ | フレームレート: 27fps |
画素数: 最大2048×2048pixel※ | 画素数: 最大2752×2200pixel | |
XYステージ※ | ストローク: X70㎜、Y50㎜、 | |
Z軸※ | ストローク: 上方7.5mm,下方2.5mm | |
専用ワークステーション※ | 撮影・解析用ワークステーション、モニタ(24・30インチから選択) | |
撮影ソフトウェア | Cardio用 撮影ソフトウェア | Research用 撮影ソフトウェア |
解析ソフトウェア | Cardio用 解析ソフトウェア | Research用 解析ソフトウェア |
データ形式 | 動画(AVI)、静止画(BMP)、グラフ(PNG)、解析結果(CSV)、(OpenXML) | |
使用環境 | 5~35℃、湿度20~80%RH 結露なきこと | |
寸法・重量 | 外装部:幅: 700mm × 高さ: 870mm(カバーを開けた際は1325mm) × 奥行き: 690mm、重量: 50kg (顕微鏡搭載時100kg程度) | |
電源・消費電力 | 電源: AC100V±10% 50/60Hz (日本国内) 必要電源系統数: 最大3系統6~7口 |
※他社製品
培養装置※ | 使用培養機材: ウェルプレート |
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CO2濃度: 5±0.5%、湿度: 95%以上 | |
温度制御: 10分間の蓋開放時の温度低下1.5℃以内、蓋開放後の蓋閉時の温度上昇1.5℃以内 | |
使用環境:常温25±2℃、湿度35~85%、二酸化炭素ガス(100%CO2)または二酸化炭素混合ガス(5%CO2+95%Air)が供給できること | |
高倍率対物レンズ※ | 位相差: 40x, 60x |
自動XYステージ※ | ストローク: X110㎜、Y75㎜ |
蛍光観察ユニット※ | 蛍光ターレット、落射蛍光装置他 |
※他社製品
詳細な仕様につきましては、製品ウェブサイトをご覧下さい。
ソニー(株) メディカル事業ユニット ライフサイエンス事業部