報道資料
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2019年1月29日
ソニー株式会社は、植物由来多孔質炭素材料「Triporous™(トリポーラス™)」のライセンスを2019年1月より開始します。
ソニーは1991年に世界で初めてリチウムイオン二次電池を商品化し、その後も高性能化を目指して研究開発を行ってきました。その過程で特殊な構造を持った炭素材料であるトリポーラスを発明し、特定の物質に対し、既存の活性炭より高い吸着量や速い吸着速度を持つことを見出し、基礎から応用に至るまで特許を取得してきました。トリポーラスは、水や空気の環境浄化から、化粧品や薬剤、衣類や布製品に至るまで幅広い分野での応用が期待され、その発明は公益社団法人発明協会主催の平成26年度全国発明表彰において「21世紀発明奨励賞」を受賞しています。
ソニーは、この新素材トリポーラスの技術を社会に役立てるため、製品化や量産化の可能性を検討してきました。この度、実用化の目途が立ったため、多くの方々にトリポーラスを活用して頂けるよう、ライセンスを開始します。
ソニーが独自開発したトリポーラスとは、シリカを含む籾殻など余剰バイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源)を原料とした独特の微細構造を有する多孔質炭素材料※です。従来の活性炭で確認されるマイクロ孔(2nm以下)に加え、マイクロ孔よりも大きなメソ孔(2~50nm)とマクロ孔(約1μm)が多数複合して存在しています。このため水質汚染の原因となるフミン質やアオコ毒といった有機分子やアレルゲン、酵素などの小さなタンパク質やウイルスなど、従来技術では吸着しにくかった分子量の大きな物質を容易に吸着できる特性に加え、有機塩化物や農薬などの低分子化合物に対しての高速吸着が可能です。
このユニークな特性により、水や空気に含まれる汚染物質を除去する環境浄化フィルターや防臭・消臭・除菌効果を活かせるトイレタリー、化粧品や薬剤、衣類・布製品など様々な製品に対して新たな価値を提供します。
なお、原料となる籾殻は日本だけで年間約200万トン、世界中では年間約1億トン以上も排出されており、トリポーラスはこの余剰バイオマスというサステイナブルな素材を活用することで、環境に配慮した循環型社会への実現にも貢献します。
トリポーラスのライセンス開始に伴い、トリポーラスの自社製品への活用や工場等自社内での活用を検討される企業、トリポーラス事業で協業を検討される企業、トリポーラスの基礎・応用開発をして頂ける研究機関などを募集いたします。
ソニーは、水浄化や空気浄化、防臭・消臭が求められる様々な分野で トリポーラスの優れた吸着特性を生かした製品やソリューションをライセンスにより展開していきます。