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報道資料
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2021年12月3日

ソニー独自の低消費電力広域(LPWA)通信規格ELTRES™に対応した
無線実験装置が宇宙での信号受信に成功

地上のIoTデバイスから送信された電波を国際宇宙ステーション(ISS)で受信

ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、IoT向け低消費電力広域(以下、LPWA:Low Power Wide Area)通信規格のELTRES™(エルトレス)に対応した独自の衛星無線実験装置を、国際宇宙ステーション(以下、ISS)日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに設置し、地上のIoTデバイスから送出された電波を同実験装置で受信することに成功しました。

本実験装置は、ELTRESに対応した無線基地局を小型・省電力化し、宇宙の過酷な環境に耐えられるよう新たに開発したものです。また、地球を高速周回する低軌道衛星においても、受信安定性の確保と受信可能な端末数の最大化ができるよう専用の信号処理アルゴリズムを実装しています。

ELTRESは、地上においてわずか20mWの送信電力で、見通し100km以上の伝送を可能としており、日本国内ではすでに一部の山岳地帯や海上でも運用を開始しています。一方で、受信局の設置が困難な険しい山岳地帯や水平線を超える遠く離れた海上においては、地形や波浪により電波が遮られる場合があります。そのため、上空はるかかなたの軌道上を周回し、地上から完全な見通しを確保できる人工衛星の活用が期待されています。今回、ELTRESの「長距離安定通信」と「高速移動体通信」の特長を生かし、地上から送出された電波を、上空400kmの軌道上を高速移動するISS側で高精度に受信することができました。本実験の成功により、場所の制約を受けることなく通信が行えるという新たな可能性を実証しました。

本実験装置を開発するにあたり、超小型衛星の権威であり革新的な宇宙システムの研究開発を実践されている東京大学の中須賀教授から数多くご教授いただきました。

今後は、ELTRESが組みこまれたIoTデバイスを用いた宇宙地上間の受信実験を様々な環境下で行った後、通信品質の向上などを目的とした実験も計画しています。これらの実験は2022年3月まで継続し、さらなる解析および評価を実施する予定です。

ELTRESについて

ELTRESは、ソニーがIoT向けに独自開発したLPWAの通信規格です。「長距離安定通信」、「高速移動体通信」、「低消費電力」を特長とし、様々なIoTネットワークサービスの提供を可能にします。
ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社が「ELTRES IoT ネットワークサービス」として国内商用サービスを行っています。

ソニーグループ株式会社 執行役員 R&Dセンター 副センター長 玉井 久視のコメント

ELTRESには、ソニーがこれまでに培ってきた様々な技術が統合されており、この度の宇宙における受信の成功により、私たちの技術の有効性が証明できたと非常にうれしく思います。また、サステナビリティの観点からも地球規模での通信システムが必要になってくると考えており、その実現に向けた大きな一歩を踏み出せたと考えております。今後は実用化を念頭に、IoT通信の基盤技術の構築を進めてまいります。

東京大学 中須賀教授のコメント

衛星を利用したLPWA通信は5G、B5G(ビヨンド5G)時代においても地上の様々な情報を集めるIoT通信システムとして極めて重要です。国内の携帯電話の通じない場所のみならず、海上や地上通信インフラの少ない開発途上国などにおいて共通の方式で情報を収集できる通信システムとして、災害時の緊急情報の取得、移動体からの通信、農業や水産情報の収集をはじめ多岐にわたる応用が可能です。今回のELTRESによる宇宙地上間の通信の成功は、それに向けた大きなステップであります。世界規模でサービス提供する衛星システムの構築に向けて、今後の展開に非常に期待しています。

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