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報道資料
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2024年5月23日

ソニーグループ株式会社 2024年度経営方針説明会

クリエイションの強化とIP価値最大化の取り組みを通じた成長の実現

本日、ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)は、2024年度経営方針説明会を開催しました。
説明会では、会長 CEOの吉田憲一郎が経営の方向性を、そして社長 COO 兼 CFOの十時裕樹が長期ビジョンとその実現に向けた取り組みを紹介しました。
吉田は、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)のもと、コンテンツ、プロダクツ&サービス、半導体(CMOSイメージセンサー)という3つのビジネスレイヤーにおいてソニーが取り組んできた「クリエイションシフト」について説明しました。そして、CMOSイメージセンサーやゲームエンジンを用いた「リアルタイム・クリエイション」について言及し、今後もテクノロジーを通じて人々のクリエイティビティに貢献していくと述べました。
続いて十時が、第5次中期経営計画(2024〜2026年度)の先にある未来のソニーの長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を紹介しました。そして、この長期ビジョンの示す方向性に向けて、IP価値最大化の取り組みとそれを支える技術基盤の確立を着実に進めるとともに、事業と人材の多様性の継続的な進化により、さらなる成長の実現を目指すと述べました。

概要は以下の通りですが、詳細については、投資家向け情報サイトに掲載するプレゼンテーション資料・アーカイブ映像をご参照ください。

1. グループシナジーの加速と進化

ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画の3つのエンタテインメント事業は、2023年度のグループ売上高の約6割を占める。2021年のグループアーキテクチャー再編により、グループシナジーも加速した。パーシャル・スピンオフに向けて準備を開始した金融事業については、自立を通じたさらなる進化を、ソニーブランドの利用や各事業との連携強化によりグループ全体で支えていく。

2. クリエイションシフト

エンタテインメントへの注力に加えたもう1つの経営の方向性として、以下の3つのビジネスレイヤーの軸足を「クリエイション」側にシフトしてきた。

  • ① 「感動」に直結するコンテンツ
    • 2018年のEMI Music Publishingの買収を起点に6年間で約1.5兆円を投資し、コンテンツクリエイションを強化。2021年にはアニメに特化したDTC(Direct-to-Consumer)サービス「Crunchyroll」を買収し、アニメクリエイターコミュニティへの貢献を志す。
  • ② 「感動」を生み出すプロダクツ&サービス
    • エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野では、クリエイターと共にエンタテインメントを創造することに注力。2023年度、ET&S分野においては、営業利益の8割以上がクリエイションに関わるビジネス(イメージング、スポーツ、バーチャルプロダクション、プロオーディオ等)から創出。
  • ③ クリエイションを支える半導体
    • クリエイションを支えるCMOSイメージセンサーに注力し、過去6年間で約1.5兆円の設備投資を実施。CMOSイメージセンサーは、新たなエンタテインメント空間と位置付けているモビリティの安全にも貢献。

3. リアルタイム・クリエイション

「リアルタイム」をキーワードに、CMOSイメージセンサーやゲームエンジンのクリエイションテクノロジーに注力していく。

  • ① 「瞬間」を捉えるテクノロジー
    • グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラ『α9 III』は、今年3月に英・グラスゴーで開催された「2024世界室内陸上競技選手権大会」でも活用された。
    • 今年発表した5G対応ポータブルデータトランスミッター『PDT-FP1』による撮影現場でのリアルタイム写真転送は、迅速な報道・制作を可能にし、スポーツの感動を届けることに貢献。
    • デジタルシネマカメラ『VENICE』シリーズの映画業界での採用と、他の映像制作への活用拡大。
  • ② 真正性(Authenticity)を検証するリアルタイム技術
    • クリエイターが現実世界を「ありのまま」に捉えることの意義は大きく、CMOSイメージセンサーは画像の真正性を検証することに生かされている。
  • ③ アイデアをリアルタイムで形にするテクノロジー
  • ソニーが出資するEpic GamesのUnreal Engineを、さまざまなクリエイションのプロセスに活用。
    • Sony Pictures Entertainment(SPE)の次世代ビジュアライゼーション施設「Torchlight」は、映像コンテンツの制作前に、リアルタイムでのクリエイターのビジョンの探索、構想、具現化が可能。
    • 撮影監督も俳優もその場で映像を確認できる撮影手法であるバーチャルプロダクションの提供。
    • 現実空間に3Dコンテンツを重ねながらコンテンツ制作や編集ができる没入型空間コンテンツ制作システムにより、没入感のある制作体験を提供。
    • 北米のプロスポーツリーグの「ライブ」の場でも、現実の選手の動きをトラッキングし、リアルタイムで3Dアニメーション化することで、新たなファンの裾野を広げる。

4. 長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」

今後のテクノロジーの進化を見据えながら、10年後のソニーのありたい姿を描いた長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を策定。

「Creative Entertainment Vision」における3つのフェーズ:

  • ① テクノロジーを活用し、フィジカル、バーチャル、時間といった次元を超え、世界中のクリエイターの創造性を解き放つ
  • ② 境界を超えて多様な人々や価値観を繋げ、熱量の高いコミュニティを育む
  • ③ クリエイターと共に、想像を超えたわくわくするストーリー性のある体験を作り、感動の新たなタッチポイントとして世界中に広げる

5. IP価値最大化に向けた現在の取り組み

「Creative Entertainment Vision」が示す方向性に向けて、現在、さまざまなエンタテインメントカテゴリにおいてIP価値最大化の取り組みを進めている。

  • ① IPの創出
  • ● アニメ
    • 日本のソニー・ミュージックエンタテインメント(SMEJ)傘下のアニプレックスによる、高品質な作品の制作。
    • 1,300万人超の有料会員を抱えるCrunchyrollを通じた海外配信。
    • アニプレックス傘下の制作スタジオ A-1 PicturesやCloverWorksを中心にSMEJ、ソニーグループのエンジニアと連携して開発中のアニメ制作ソフト「AnimeCanvas」を通じた、制作環境と効率の改善、作品品質を向上。
    • アニプレックスとCrunchyrollを中核に、業界とも連携して海外のアニメクリエイターを育成するアカデミーの設立検討を開始。
  • ● 映画
    • SPE傘下のPixomondoがEpic Gamesと連携し、バーチャルプロダクションなどの技術を駆使できる映像クリエイターを育成。
  • ● 音楽
    • SMEJ所属の、小説を音楽にするプロジェクトから誕生したアーティスト「YOASOBI」など、ユニークなアプローチによる新たなIPの創出。
  • ● スポーツ
    • Hawk-Eye Innovationsのトラッキングシステムによるプレー中の選手の骨格などのデータの取得と、Beyond Sportsの技術によるリアルタイムでの3Dアニメーション化を通じた、新たなエンタテインメントコンテンツの創出。
  • ② IPの育成
  • ● アニメ
    • クリエイターをたたえ、アニメIPと文化をファンとともに育てていくCrunchyroll Anime Awardsは、過去最高の3,400万以上の投票数を記録(2024年)。
  • ● ゲーム / 映画
    • PlayStation ProductionsによるゲームIPの実写映像化。「Horizon」「God of War」などを今後公開予定。
  • ● 音楽
    • 熱量の高いファンが新たな文化を創り出すファンダムアーティストを育成し、ファンコミュニティを拡大。
  • ③ 境界を超えてIPを拡張する「IP360」
  • ● ゲーム
    • 「アンチャーテッド」などのゲームIPをロケーションベースエンタテインメント(LBE)に展開。
  • ● 音楽
    • グラミー賞を受賞したラッパー、シンガーソングライターのLil Nas Xが初のワールドツアーに臨む姿を記録したドキュメンタリー『Lil Nas X: Long Live Montero』の制作。
    • SPEなどによる、各メンバーの視点からビートルズの歴史を振り返る伝記映画4本の同時制作。
  • ● 全カテゴリ共通
    • LBE:ソニーのIPと技術を掛け合わせた、没入体験を提供するアトラクションを世界各地で展開。
    • マーチャンダイジング:IPをグッズ化し、ファンの愛着を高める。グループ間連携も加速。
    • モビリティ:センシングデータ等から搭乗者や周辺環境を把握して提供するエンタテインメントコンテンツや音響技術を活用。車内をパーソナライズされたエンタテインメント空間とし、移動体験の価値を向上。
  • ● パートナー企業のIP展開に対する貢献
    • Crunchyroll Gamesがパブリッシングを行うモバイルRPG『Street Fighter™:Duel』
    • 実在のオブジェクトを高品位な3Dモデルに変換する「ハイクオリティスキャンソリューション」を活用し、「ガンダムメタバース」内へスキャンガンプラを展示。
  • ④ IP価値最大化のグローバル展開:多様な文化的背景や地域に根差した魅力を持つクリエイターをサポート
    • インドの有望なゲーム開発者を発掘、支援し、世界中に魅力的なゲーム体験を届ける「India Hero Project」において、現在、5本のゲームタイトルを開発中。
    • アフリカでのエンタテインメント事業を育成するために設立されたコーポレートベンチャーキャピタル「Sony Innovation Fund: Africa」。新興国での投融資活動をしている国際金融公社とも提携。

6. IP価値最大化を支える技術基盤

クリエイターがIP価値最大化を高品質かつ効率的に行うために重要な技術基盤が、センシング及びキャプチャリング、リアルタイム3D処理、AI技術及び機械学習。ソニーの強みとして研究開発・応用を進めており、将来的にはスピーディーかつ低コストにIPを幅広いファンに届けられるソリューションの構築を目指す。また、IP価値最大化の取り組みをより効率的に行うために、グループ共通のエンゲージメントプラットフォームの構築も検討する。

  • ① センシング及びキャプチャリング
    • ボリュメトリックキャプチャスタジオは、フォトリアルな再現が可能で制作自由度も高いため、映画などの複雑なアクションシーンで使われている。今後はグループ各社で蓄積した3Dアセットの組織横断での活用と、外販を検討。
  • ② リアルタイム3D処理
    • Unreal Engineを軸にEpic Gamesとの連携を深め、バーチャルプロダクションで撮影したミュージックビデオと同じ世界観の中で遊べるゲーム制作のほか、CGのショートフィルムをリアルタイム制作する実証実験を実施。
  • ③ AI技術及び機械学習
    • 『Marvel's Spider-Man 2』では機械学習を活用し、ゲームに特化した独自の音声認識ソフトウェアを使い、一部の言語において、登場するキャラクターのセリフに合わせて自動で字幕のタイミングを同期。これにより、字幕の制作工程の大幅な短縮を実現。
    • インドにおける、映像コンテンツの吹き替えや翻訳の工程短縮の研究開発。
  • ④ エンゲージメントプラットフォームの発展
    • 強固なネットワークサービスを確立しているPlayStation Networkのネットワーク基盤をベースとしたアカウント、決済、データ基盤、セキュリティなどのコア機能を、拡大を続けるCrunchyrollに展開することで、ソニーグループとしてのエンゲージメントプラットフォームへの発展を計画。
    • ソニーグループ全体の各種サービスのID共通化も進めるほか、モビリティやLBEなどに向けたグループ内の新規ネットワークサービスの展開をサポートしていき、将来的には、ファンエンゲージメント特化型の共通プラットフォームとして、広くエンタテインメント業界で活用されることを目指す。

7. 多様な事業と人材による成長の実現

ソニーは、多様な人材が集まり、異なる属性や経験を持つことを強みとしてきた。M&Aを通じて、エンタテインメント事業を中心に新たな考え方や知見を取り入れている。また、外国籍役員比率や女性管理職比率は、年々増加している。今後も、事業と人材の多様性を継続的に進化させ、長期視点での価値創出とさらなる成長の実現を目指す。

以上

  • 将来に関する記述等についてのご注意
    このプレスリリースに記載されている、ソニーの現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しです。将来の業績に関する見通しは、将来の営業活動や業績、出来事・状況に関する説明における「確信」、「期待」、「計画」、「戦略」、「見込み」、「想定」、「予測」、「予想」、「目的」、「意図」、「可能性」やその類義語を用いたものには限定されません。口頭又は書面による見通し情報は、広く一般に開示される他の媒体にも度々含まれる可能性があります。これらの情報は、現在入手可能な情報から得られたソニーの経営陣の仮定、決定ならびに判断にもとづいています。実際の業績は、多くの重要なリスクや不確実な要素により、これら業績見通しと大きく異なる結果となりうるため、これら業績見通しのみに全面的に依拠することは控えるようお願いします。また、新たな情報、将来の事象、その他の結果にかかわらず、常にソニーが将来の見通しを見直して改訂するとは限りません。ソニーはそのような義務を負いません。実際の業績に影響を与えうるリスクや不確実な要素には、以下のようなものが含まれます。
  • (1)ソニーが製品品質を維持し、その製品及びサービスについて顧客満足を維持できること
  • (2)激しい価格競争、継続的な新製品や新サービスの導入、急速な技術革新、ならびに主観的で変わりやすい顧客嗜好などを特徴とする激しい市場競争の中で、十分なコスト削減を達成しつつ顧客に受け入れられる製品やサービス(イメージセンサー、ゲーム及びネットワークのプラットフォーム、スマートフォンならびにテレビを含む)をソニーが設計・開発し続けていく能力
  • (3)ソニーがハードウェア、ソフトウェア及びコンテンツの融合戦略を成功させられること、新しい技術や配信プラットフォームを考慮に入れた販売戦略を立案し遂行できること
  • (4)ソニーと他社との買収、合弁、投資、資本的支出、構造改革その他戦略的施策の成否を含む(ただし必ずしもこれらに限定されない)ソニーの戦略及びその実行の効果
  • (5)ソニーや外部の供給業者、サービスプロバイダやビジネスパートナーが事業を営む市場における法規制及び政策の変化(課税、及び消費者の関心が高まっている企業の社会的責任に関連するものを含む)
  • (6)ソニーが継続的に、大きな成長可能性を持つ製品、サービス、及び市場動向を見極め、研究開発に十分な資源を投入し、投資及び資本的支出の優先順位を正しくつけて行い、技術開発や生産能力のために必要なものも含め、これらの投資及び資本的支出を回収することができること
  • (7)ソニーの製品及びサービスに使用される部品、ソフトウェア、ネットワークサービス等の調達、ソニーの製品の製造、マーケティング及び販売、ならびにその他ソニーの各種事業活動における外部ビジネスパートナーへの依存
  • (8)ソニーの事業領域を取り巻くグローバルな経済・政治情勢、特に消費動向
  • (9)国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況や格付け低下の状況下においても、ソニーが事業運営及び流動性の必要条件を充足させられること
  • (10)ソニーが、需要を予測し、適切な調達及び在庫管理ができること
  • (11)為替レート、特にソニーが極めて大きな売上や生産コストを計上し、又は資産・負債及び業績を表示する際に使用する米ドル、ユーロ又はその他の通貨と円との為替レート
  • (12)ソニーが、高い能力を持った人材を採用、確保できるとともに、それらの人材と良好な関係を維持できること
  • (13)ソニーが、知的財産の不正利用や窃取を防止し、知的財産に関するライセンス取得や更新を行い、第三者が保有する知的財産をソニーの製品やサービスが侵害しているという主張から防御できること
  • (14)金利の変動及び日本の株式市場における好ましくない状況や動向(市場の変動又はボラティリティを含む)が金融分野の収入及び営業利益に与える悪影響
  • (15)生命保険など金融商品における顧客需要の変化、及び金融分野における適切なアセット・ライアビリティー・マネージメント遂行の成否
  • (16)大規模な災害、紛争、感染症などに関するリスク
  • (17)ソニーあるいは外部のサービスプロバイダやビジネスパートナーがサイバーセキュリティに関するリスク(ソニーのビジネス情報や従業員や顧客の個人を特定できる情報への不正なアクセスや事業活動の混乱、財務上の損失の発生を含む)を予測・管理できること
  • (18)係争中又は将来発生しうる法的手続又は行政手続の結果
  • ただし、業績に不利な影響を与えうる要素はこれらに限定されるものではありません。ウクライナ・ロシア情勢及び中東情勢に関する変化は、上記のリスク及び不確実な要素の多くに悪影響を与える可能性があります。重要なリスク及び不確実な要素については、ソニーの最新の有価証券報告書(その後に提出される四半期報告書を含む)又は米国証券取引委員会に提出された最新の年次報告書(Form 20-F)も併せてご参照ください。
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