ソニーの多様な社員とテクノロジーをつなぐ取り組み
ソニーグループは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurpose(存在意義)の実現のため、「人に近づく」という経営の方向性のもと、多様な事業活動を通じた人・社会・地球への貢献をめざしています。そして、世界を感動で満たすための価値創造の基盤として欠かすことができないのが、「テクノロジー」と「人材」です。これら2つを最も重要なマテリアリティ(重要課題)であると考えているソニーでは、多様な事業や社員の交流を促し、技術の進化とエンジニアの成長を支える、グループ全体が「人とテクノロジーでつながる」ためのさまざまな取り組みが行われています。
代表的な取り組みのひとつに、当社の創業者のひとりである井深大が1973年に始めたソニーグループ内の技術交換会「Sony Technology Exchange Fair(STEF)」があります。
STEFは、職種を問わず全てのソニーグループ社員が、各事業や研究開発組織で開発される多様なテクノロジーに触れ、意見を交わすことで、新たな価値創造につなげることを目的に開催されています。毎年開催され、2022年で第50回を迎えますが、例年100以上の技術テーマが発表され、1万人を超える社員が世界各地より集まる大きなイベントです。そのため、多くのエンジニアにとって、開発成果を社内に向けて広く発信したり、エンジニア同士や多様な社員と交流したりすることで知見を広げ、技術を磨く機会となっています。また、エンタテインメント、エレクトロニクス、金融のそれぞれの事業に携わる社員が、各事業における技術の活用事例などの情報交換をする場にもなっており、技術を軸とした事業の進化や連携を支えています。実際に、昨年12月に開催したSony Technology Dayでご紹介した技術の多くも、過去にSTEFに出展され、社内で磨かれてきたものです。昨年と一昨年は、新型コロナウイルスの影響もあり、オンラインと一部のリアル展示によるハイブリッド形式となりましたが、物理的な移動が難しい状況下でも、社員同士の交流がグローバルで活発に行われました。
一方、日頃からエンジニアが多様な視点を取り入れながら交流・議論し、新しい価値創造をめざす活動もあります。その一つが、「技術戦略コミッティ」です。
「技術戦略コミッティ」では、同じ技術領域を担うエンジニアが在籍する事業を超えて交流し、最先端のテクノロジーを共有しながら技術力の強化に取り組んでおり、2022年2月現在10のコミッティが存在しています。デザイン、生産、調達など幅広い組織のメンバーが参画するコミッティもあり、エンジニアが専門領域以外の多様な視点を得ることで、技術的課題の解決や、新たな商品・サービスを生むきっかけとなってきました。2021年にはゲーム・映画・音楽事業のエンジニアが参画する「コンテンツ技術戦略コミッティ」が新設され、エンタテインメントの領域においてもテクノロジーを最大限に生かしていくことが期待されています。また、コミッティ間で連携して技術研修や勉強会を企画し、若手エンジニアの成長や将来目指す姿への道のりをサポートするなど、人材育成の場にもなっています。
最後に、グループ全体が「人とテクノロジーでつながる」ための取り組みをリードし、ソニーの持続的な成長に貢献する、「Corporate Distinguished Engineer(Corporate DE)」についてご紹介します。
ソニーは、変化の兆しを捉え、持続的な成長のために、技術戦略の策定および推進と人材の成長支援を行う技術者を「Corporate Distinguished Engineer」として認定しています。Corporate DEは、社内においてそれぞれの専門領域を牽引するだけではなく、社外の場でも活躍する、「ソニーの技術の顔」ともいえるトップエンジニアです。学会や標準化委員会などにも積極的に参加し、社外の有識者との交流で得た知見を、前述のSTEFや技術戦略コミッティのほか、セミナーの開催などを通じて社内に還元しています。また、経営層に対し技術的見地からの提案を行い、経営戦略の実行を技術で後押ししています。2021年10月からスタートした日本国内の社員(技術系・事務系を含む約4万人)を対象としたAIリテラシー研修も、Corporate DEによる提言で導入されました。2022年2月現在で、43名のエンジニアがCorporate DEに任命されており、その専門領域は多岐にわたります。今後は、Corporate DEの任命においても、事業分野や国籍などの多様性をさらに高めていく方針です。
今回ご紹介したCorporate DEや技術戦略コミッティを紹介する動画コンテンツとインタビュー記事を、ソニーグループのテクノロジーサイトで掲載しています。今後も、ソニーのテクノロジーをエンジニアの声を通じて随時紹介していきますのでぜひご覧ください。