不足する理系人材を増やすには?
採用活動を通じてソニーができること
テクノロジーが人々の生活を支え、豊かにする現代において、理系人材の採用競争は年々激化しています。
多くのエンジニアがビジネスを支えているソニーグループも当然、優秀な理系人材獲得に向けて力を入れていますが、採用の現場ではさまざまな課題に直面しています。その一つが理系人材の母数がそもそもの需要に対して十分ではないという実態です。
その中でも、日本国内において理系を専攻する女性が男性と比較して著しく不足していることは、喫緊の課題となっています。
初等・中等・高等教育における理系科目の学力調査で大きな男女差が無いにも関わらず、日本ではなぜ理系を選択する女性が少ないのでしょうか。その要因について、ソニーグループの採用を統括する種子島は次のように分析します。
「『女性は文系に進むべきだ』といったバイアス(無意識の先入観や思い込み)が世の中にあることが、一つの要因かもしれません。ある現役女子学生も、「女性なのになぜ電気工学を学ぶの?」と言われ続けて辛い思いをしたそうです。女性含めたあらゆる人の未来の可能性をひらくためにも、もしそうしたバイアスがあるのであれば、社会全体で変えていくことが大切であると改めて感じました」
こうした課題への一助になればとの思いもあり、ソニーグループでは理系の女性に向けた採用広報にも力を入れています。地道な取り組みが実を結び、昨年度の理系女子学生からのエントリー数は過去最高となりました。
「女性に限らず、理系人材を増やすためには、文理選択前の若者世代へのアピールも重要だと感じます」
そう話すのは、ソニーグループの理系人材採用を担当する宮嵜です。エンジニアの知見と商品化・事業化の経験を生かして、理系分野のおもしろさを伝えるために奮闘しています。昨年、私立ドルトン東京学園 中等部・高等部で生徒に向けて、人工知能(AI)の活用をテーマにワークショップを開催しました。
文理選択前の生徒が将来のキャリアを考える一助になるべく、当日は、ソニーグループ社員がビジネスの現場という実践的な環境で、技術をどのように活用できるかを伝えました。
ワークショップを行った学園の先生からは、「時間の制約もあるので、普段の授業では定められたカリキュラムをこなすことで精一杯になりがちです。しかし、特に理系科目のおもしろさはカリキュラムを越えた先にあると思うので、今回のような機会は有難いです」とのメッセージもいただきました。
宮嵜は生徒に接して、次のように感じたと言います。
「教科の得手不得手・専攻した学問によって将来進む道も絞られる、といった固定概念を多くの生徒が持っています。しかし、必ずしもそうではありません。ソニーグループでも、学生時代の専攻とは別の領域にチャレンジして、大きな成果を出している社員がたくさんいます。
どんな学問を選択しても、学んだことは長い人生の中で必ず役に立ってきます。まずは、自分が好きなことやワクワクすることに挑戦してみてほしいです」
種子島も次のように語ります。
「人材の多様性はイノベーションの原動力となります。ソニーグループの製品やサービスがターゲットとしているお客さまは、性別も年代も国籍もバラバラです。そうしたお客さまに響くものを創り、感動を生み出すためには、多様な価値観や背景を持った人材が不可欠です」
ソニーグループは創業当初より、多様な個である社員一人ひとりが活躍できる環境を整え、社員と会社が互いに成長していく関係を大切にしてきました。こうした考え方は、現在では「Special You, Diverse Sony 」というSony's People Philosophy(人材理念)に受け継がれています。
今後も、Sony’s Purpose (存在意義) に共感する、好奇心溢れる人材を採用し、感動を創り、届ける多様なビジネスを推進していきます。
種子島由子(たねがしま・よしこ)
ソニーグループ株式会社 採用部 統括部長
総合電機、自動車メーカー、リテールや製薬会社など、さまざまな業界で人事を担当し、2022年にソニーグループ株式会社に入社。
ソニーグループの採用活動を統括している。
宮嵜充弘(みやざき・みつひろ)
ソニーグループ株式会社 採用部
1994年にソニー株式会社(当時)に入社し、長年エンジニアとして業務に従事。
現在は、エンジニアの視点を生かしながら、ソニーグループにおける理系人材の採用、技術啓発を担当している。