SONY

ソニーのアクセシビリティと
インクルーシブデザインの取り組みを社員が紹介

(動画「アクセシビリティとインクルーシブデザインの取り組み」スクリプト)

オープニング

田倉 周(以下、田倉):ソニーグループではクリエイティビティとテクノロジーを用いて、年齢や障がいなど個人の特性や能力、環境に関わらず、商品・サービス・コンテンツを利用できるようにアクセシビリティを高める活動を推進しています。

木下 美穂(以下、木下):世界の6人に1人にあたる13億人以上の人が何らかの障がいがあると言われています。ソニー創業者の一人である井深は、障がいの有無で区別するのではなく、人としての自立とその環境づくりを重んじました。
ソニーは今もこの思いを引き継いでおり、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というPurposeのもと、アクセシビリティをサステナビリティの一環としてとらえ、事業を通じた貢献をめざしています。

田倉:一人でも多くの人にゲームを身近に楽しんでもらいたい。一人でも多くの人の創作活動に貢献したい。一人でも多くの人に自分らしく様々な活動に参加してもらいたい。一人でも多くの人が感動を分かち合える、そんな未来を実現したい。その強い思いを持った社員一人一人が、障がいがある方や支援する方たちと行動を共にし、対話を重ねることで、さまざまな「気づき」を得ています。
それらの気づきを個人の問題ではなく、社会全体の課題としてとらえ、ソニーが社会に提供したい価値が何かを組織や世代を超えて一緒に考えています。

木下:この動画では、障がい者や高齢者などアクセシビリティを必要とするユーザーと一緒に検討するインクルーシブデザインの取り組み、そして、インクルーシブデザインから生まれた製品、体験の一例を、実際に開発に携わる社員とともにご紹介いたします。 なお、こちらで紹介した展示は、10月17日から開催される「CEATEC 2023」ソニーブースでも展示を予定しております。ぜひ、ご来場、ご体験ください。

インクルーシブデザインの取り組み
障がいのある社員が活躍するXperia™チームとのコラボレーション

田倉:最初にご紹介するのは、ソニーのインクルーシブデザインへの取り組みとXperia™に実装された音で通知する水準器です。 ご説明いただくのは、ソニー・太陽株式会社の林 信一さんです。林さん、よろしくお願いいたします。インクルーシブデザインについて説明いただけますか?

林 信一(以下、林):インクルーシブデザインとは、障がいのある方や高齢者など、制約のある当事者と一緒に商品開発段階から検討することで、当事者はもちろんのこと、より多くの方に商品やサービスを活用いただけるようにする手法です。

田倉:ありがとうございます。インクルーシブデザインによってXperia™に追加された機能について説明いただけますか?

:はい。『Xperia 1 V』と『Xperia 5 V』に搭載されている「音で通知する水準器」を説明いたします。水準器とは、ものが水平になっているかを示すもので、Xperiaの場合はカメラが水平に構えられているかを確認するのに使います。
障がいのある社員が活躍するソニー・太陽の社員とXperiaの開発チームがタッグを組み、インクルーシブデザインを実施しました。視覚に障がいのある社員に同行させてもらって、街中でスマートフォンで写真を撮影したり、写真のズーム機能を拡大鏡代わりに使ったりしている様子を観察したりヒアリングしたりしました。
画面全体の構図を確認しながら撮影しづらく、あとで写真を見返すと、被写体が傾いて写っているなど、うまく写真に収められていないことが多い、という課題が見えてきました。 そこで、Xperiaの水準器に、撮影画面が水平なとき、水平から外れた時に音で通知する仕組みを実装しました。これによって、音で水平になっているかを確認することができます。
また、カメラ内の設定が変更されたときにボタンの色が反転して、どこが変更されたか、などをわかりやすく表示する機能も実装しました。

田倉:ありがとうございます。実際にデモいただいて、簡単に水平になっていることがよくわかりました。
インクルーシブデザインを実践したことによって、どのような変化がありましたか?

:自分たちが見落としている視点に気づくことが出来て、多様な方が使いやすく作りこめたことは、商品設計において強みになるということを実際に理解できました。

田倉:林さん、ありがとうございました。それでは次の展示をご紹介します。

デジタル一眼カメラ α™

木下:続いては、デジタル一眼カメラαに搭載されている読み上げ機能とメニューの画面拡大機能を紹介します。紹介してくださるのはソニー株式会社の富澤 咲天(とみざわ さら)さんです。

富澤 咲天(以下、富澤):よろしくお願いします。

木下:私もよくカメラで撮影するのですが、こちらではどのような機能をご紹介いただけるのでしょうか。

富澤:αにはメニューや操作画面を音声で読み上げる「音声読み上げ機能」と、画面を拡大することで操作をアシストする「拡大表示機能」が搭載されています。音声読み上げ機能は、αのさまざまな機能をより多くのユーザーに使っていただきたい、という想いから、カメラ好きの視覚障がいのある社員と議論を重ねて実装しました。実際に読み上げているところをデモしてみたいと思います。

木下:ダイヤルを回す、ボタンを押すなどのいろいろな設定変更の動作に対してとてもタイミング良く音声でガイドしてくれますね。

富澤:はい、視覚に障がいがある方がどういう順序で読み上げるのがわかりやすいか、など検証を重ねて実現しました。この機能は現在10言語に対応しています。
また、等倍に加え3段階の画面拡大表示に対応し、個人の読みやすさに応じて変更が可能です。さまざまなアクセシビリティ機能を搭載したαで、年齢や障がいの有無にかかわらず多くのクリエイターをサポートしていきます。

木下:富澤さん、ありがとうございました。それでは次の展示をご紹介したいと思います。

網膜投影カメラキット

田倉:続いては、網膜投影カメラキットをご紹介したいと思います。説明してくださるのはソニー株式会社の伊藤 美和子(いとう みわこ)さんです。よろしくお願いいたします。

伊藤 美和子(以下、伊藤):よろしくお願いします。

田倉:早速ですが、網膜投影カメラキット、どのようなものか、ご説明をお願いできますでしょうか?

伊藤:何らかの原因により視覚に障がいがあり、眼鏡やコンタクトレンズなどを使用しても「見えづらい」「まぶしい」「見える範囲が狭い」というロービジョンの方々が、世界中に2億5千万人ほどいるといわれています。そのような方々にも、撮影を楽しみ、写真や映像を共有する喜びを感じていただきたい。そんな想いからこの網膜投影カメラキットは生まれました。
ソニーのデジタルカメラ サイバーショット®にQDレーザ社のビューファインダーを組み合わせ、目のピント調整能力の影響を受けにくいレーザ網膜投影方式を利用することで、ピントの合った画像を投影できます。
日常生活で目に入る光の強さと変わらない微弱なレーザを使っていますので、安全です。ロービジョンの方だけでなく、強度の近視や老眼などにも効果が期待できます。私も近年目が悪くなり眼鏡を使っていますが、このように眼鏡をかけなくてもよく見ることができます。
商品化に向けては、盲学校の生徒さんや先生方にも協力いただき、当事者による評価やインタビューの声も反映しています。ただ、見え方には個人差がありますので、気になる方はぜひ一度ソニーストアの店舗や、10月に開催されますCEATECなどに出展しますので、展示会場でぜひご体験頂ければと思います。

田倉:伊藤さん、ご説明いただき、ありがとうございます。それでは次の展示にまいります。

XRキャッチボール

木下:次にこちらで紹介するのは、画面越しに何かをしているようですが……。
ご紹介いただけるのはソニーグループ株式会社の反畑 一平(たんばた いっぺい)さんです。

反畑 一平(以下、反畑):よろしくお願いします。

木下:こちらはどのようなデモなのでしょうか?

反畑:こちらはXRキャッチボールといいまして、ソニーの映像/音響/センシング技術や、MUSVI株式会社のテレプレゼンスシステム「窓」を活用し、音を頼りにしながら仮想のボールをやりとりするバーチャルなキャッチボールの体験ができるシステムです。
⼿から離れた仮想のボールは、3つの⾳を鳴らして相⼿の元へ飛んでいきます。この⾳のリズムを頼りにボールのやり取りをします。
本日のこちらのデモでは、ここから約30キロ離れた、みなとみらいのオフィスにいる人とキャッチボールをしています。

木下:とても不思議な体験ですね。私も実際に試してみたいと思います。

(木下、デモ体験)

木下:最初は戸惑いましたが、3種類の音の意味が分かるとボールを取っている感じがします。このシステムはどのような背景から誕生したのでしょうか?

反畑:視覚に障がいのある方の、「自分の子どもとキャッチボールがしてみたい」という一言から検討が始まりました。実際に開発するにあたっては、多様な方々と遊びながら、障がいの有無や年齢などに関わらず、どんな人でも遊べるような、さまざまな工夫をこらしています。

木下:XRキャッチボールのような新たなエンタテイメント体験もインクルーシブデザインから生まれているのですね。反畑さん、ありがとうございました。

ウルトラライトサックス

田倉:次にご紹介するのは、すべての人に楽器を演奏する機会を提供する、ゆる楽器です。紹介いただくのは株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの西山 佳余さんです。

西山:よろしくお願いします。

田倉:こちらにあるのが、ゆる楽器のウルトラライトサックスということですが、どういう楽器なのか教えていただけますか?

西山:はい。音楽は、本来、言語や障がいの有無にかかわらず、誰もが楽しめるものだと思っています。楽器の演奏を練習しなくても気軽にできるようになったら、音楽はより身近なものになると考えています。今日ご紹介するウルトラライトサックスは、鼻歌で演奏できるサックスになっています。

田倉:鼻歌がサックスの音色になるということですね。面白いですね。私も試していいですか?

(田倉、デモ体験)

田倉:鼻歌だけで楽器を演奏するというのは簡単ですし、この形状がサックスを吹いているような気分になれますね。

西山:そうですね。実際に障がいのある子どもたちにも試してもらったことがありますが、最初は「本当に吹けるかな」と自信なさそうにしていたのですが、簡単に音が出せることがわかって、みんな楽しく演奏できていました。

田倉:みなさんで一緒に演奏するのも楽しそうですね。西山さん、ありがとうございました。

PlayStation®5用Access™コントローラー

田倉:最後に、PlayStation®のアクセシビリティへの取り組みについてご紹介します。
ソニー・インタラクティブエンタテインメントでは、あらゆるプレイヤーがゲームを楽しめるよう取り組んでいます。PlayStation®で遊んでくださっているすべての方々のため、最新の技術を用いてアクセシビリティ機能、製品、サービスを進化させ、ゲームの力で世界中の人と人とをつなげるという私たちの使命を実現していきます。

木下:この取り組みの一環として、生まれたのがPlayStation®5用のAccessコントローラーです。このAccessコントローラーもアクセシビリティの専門家や障がいのあるユーザーとの対話を重ね、あらゆるカスタマイズに対応できるようデザインを行いました。それでは動画「PlayStation®が取り組むアクセシビリティ」の一部をご覧ください。

エンディング

田倉:ソニーのアクセシビリティへの取り組みを紹介してまいりました。いかがでしたでしょうか。

木下:10月17日から開催されるCEATEC 2023において、ソニーは「誰もが自分らしく、感動を分かち合える未来のために。」をテーマとして出展します。今回の展示をはじめとした、ソニーのさまざまなアクセシビリティに関する取り組みをご紹介する予定です。ぜひ、ソニーのブースにもお越しください。