Global Accessibility Awareness Day ソニーグループ株式会社 会長 CEO 吉田憲一郎からのメッセージ
毎年5月の第3木曜日は、アクセシビリティについて語り、考え、学ぶ、Global Accessibility Awareness Day (GAAD)です。
ソニーグループは、クリエイティブエンタテインメントカンパニーとして、「人に近づく」という経営の方向性のもと、「人」を軸に多様な事業を展開しています。
アクセシビリティを考える上でも「人」を中心に据え、多様なニーズを持つ人たちと共に検討し、その声を反映するインクルーシブデザインを商品化プロセスに取り入れています。
ゲームの領域では、PlayStation®5用「Access™コントローラー」の開発過程において、アクセシビリティを推進する団体や専門家の意見を取り入れています。3つの大陸にまたがって多くの方にプレイテストに参加いただき、ニーズに合わせて自由にカスタマイズが可能なアクセシビリティコントローラーキットを作り上げました。これにより、障がいのあるプレイヤーがより長く快適にゲームを楽しむことができます。
また、PlayStation Studiosのそれぞれのスタジオでも、ゲームプレイ時のアクセシビリティを高めたゲームタイトルの制作に取り組んでいます。Insomniac Gamesが制作した『Marvel's Spider-Man 2』は、過去のゲームタイトルから得た学びとともに、障がいのあるプレイヤーたちとのコラボレーションにより、ゲームスピード、画面上のアイテム読み上げ、チャレンジ・レベル調整項目など、これまでで最も多くのアクセシビリティ機能を搭載しています。
映画の領域では、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)が、多様なクリエイターたちが自分達の才能を表現する機会を提供する映画祭「イースターシールズ・ディサビリティ・フィルム・チャレンジ (EDFC)」のスポンサーを6年に渡り務めており、その授賞式をカリフォルニア州カルバーシティにあるSPEのスタジオで開催しています。
EDFCでは今年、業界初の障がいのある俳優たちで構成されたループグループ※を立ち上げました。SPEは、ソニー・ピクチャーズ アニメーションのエグゼクティブらがコーチングを行う、ループグループのメンバーに向けた声優育成のためのワークショップを開催しています。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のレゴ・スパイダーマンや車いすに乗ったサン・スパイダーの声優はこのグループから誕生しています。
※ ポストプロダクションにおいて、さまざまなキャラクターの声や背景音を担当する声優のグループ
他にも、音楽の領域では、昨年CEATEC2023で展示したウルトラライトサックスに続き、誰でも一緒に演奏できる打楽器「ハグドラム」の開発に取り組んでいます。誰もがすぐに演奏、合奏できる⾳楽の世界をプロデュースする「世界ゆるミュージック協会」と協業し、聴覚障がいのある当事者と共に、el tempoのシシド・カフカ氏らプロのミュージシャンの協力も得て作り上げています。また、日本、インド、中国をはじめとした国内外のソニーグループ社員がゆるミュージックに賛同し、各地でハッカソンを開催するなど、次なるゆる楽器の開発に取り組んでいます。
エンタテインメント・ テクノロジー&サービス領域では、耳をふさがない構造のヘッドホン「LinkBuds(リンクバッズ)」が、視覚障がい者歩行支援アプリ「Eye Navi(アイナビ)」(株式会社コンピュータサイエンス研究所)と連携し、周囲音を自然に聴きながら顔の向きに応じた直感的な音声案内機能の提供を国内向けに発表しました。視覚に障がいがある当事者と共に開発を重ねてきたもので、多様なユーザーの日々の移動をより充実したものにします。
このようなインクルーシブデザインへの取り組みを全社で推進する上で、社員一人ひとりの意識を高めることも欠かせません。ソニーグループでは、障がい当事者との対話や行動観察を通して、普段見落としがちなことへの気づきを得る社内ワークショップを定期的に開催しています。
これからも、年齢や障がいなど個人の特性や能力、環境に関わらず、より多くのクリエイターが活躍できる場の創出や、多様なユーザーが楽しめる製品・サービス・エンタテインメントを提供することで、世界を感動で満たすことに繋げていきます。
ソニーグループ株式会社 会長 CEO
吉田 憲一郎