「ペットボトルと牛乳パックでつくるヘッドホン」は、ソニーの社内公募作品の中から選ばれたプログラム。自分でヘッドホンをつくりながら、音の伝わる原理を学び、身近な材料の再利用について考えるエコロジーを意識できるプログラムです。ヘッドホンは、持ち帰ってご自宅で楽しむこともできます。
ヘッドホンの主な材料は、お家から持ち寄っていただいた空のペットボトルや牛乳パック。そこに導線や磁石、オーディオケーブルなどを取り付けてつくります。身近な材料を使っての工作とあって、子どもたちは気負いなく取り組んでいる様子。少し力のいる作業はお父さんやお母さんに手伝ってもらいながら、親子で作業を進めていきます。ペットボトルのラベルである「熱収縮フィルム」をヒーターで縮める作業や、ネオジウム磁石が持っている強力な磁力などに、皆さん興味津々です。
ペットボトルを切って導線や磁石などを取り付けたイヤーパッドに、牛乳パックでつくったヘッドバンドを付けて、ヘッドホンの完成!さっそくウォークマンにつないで、音楽を再生しヘッドホンを装着してみます。すると、部屋のあちこちから「本当に聞こえた!」「女の人が歌ってる!」などと大きな歓声や拍手があがりました。また、しばらくすると「でも、(磁石と導線を使っただけなのに)どうして聞こえるの?」という疑問の声も上がるようになりました。完成の喜びが、新たな疑問へ繋がった瞬間でした。
そこで、講師から「音のしくみ」についてのお話がありました。まずは、「音」の性質を確認します。音の出ているスピーカーに手を当てると、ビリビリ振動していることに気がつくと思います。この振動が空気を伝わって耳に届く——これが音の鳴るしくみです。この振動を起こすために、ウォークマンなどのオーディオ機器は電気信号を発信し、今回つくったヘッドホンも同じように、この信号をキャッチする構造になっています。ウォークマンの電気信号に合わせて、巻いた導線と磁石の働きでできた「磁束」がペットボトルそのものを振動させ、音楽を鳴らしているのです。この働きを「電磁誘導」といいます。そのほか、花火の光と音の関係を例にした「音の速さ」について、人間の耳が捉えることのできる音の周波数「可聴域」についてなど、音にまつわるしくみのお話が紹介されました。
最後は、ワークショップの修了証授与式。修了証には、完成したヘッドホンを持って親子一緒に撮影した記念写真も入っています。皆さん、嬉しそうに受け取っていました。講師から感想を聞かれると「導線を巻くのが大変だった!」「お母さんに手伝ってもらって良かった」など率直な感想が飛び出して、授与式も楽しい雰囲気です。
家庭にあるごみを再使用してヘッドホンをつくることで、環境問題を意識しつつ、より身近な感覚で音のしくみを考えることのできるプログラムになりました。