東日本大震災以降の電力不足で、注目を集める電気エネルギー。「つくって、わかる。発電・蓄電ワークショップ」は、子どもたちに、あらためて電気について考えてほしいと企画された体験プログラムです。自らの手で発電と蓄電を体験できる「振動型発電機(スティックジェネレーター)」を組み立てながら、電気エネルギーの原理、未来につながる供給方法などについて学びます。また、ソニーの製品やこれまでの研究成果などを通じて、未来につながる、環境にやさしい発電・蓄電について考えます。
初めに講師から、電気エネルギーについてのお話がありました。発電、蓄電、送電といったエネルギー供給の仕組み、また電気と自然界のつながりについて学びます。エネルギーの一つのかたちが電気です。『電気はどうやって供給されているのか。どのように自分のところにやってくるのか。元を辿るとどこに行き着くのだろう?』 火力、水力、風力、さらに波力や太陽光発電の仕組みの話に、子どもたちは真剣に聞き入ります。『発電する為の燃料はどこからくるのか考えてみよう。風はどこから?波はどこから?』 さらに元を辿って行きます。『太陽は水を蒸発させ、雲を作り、雲ができる上空では風が起こります。ということはすべての元は太陽?私はそう考えます』。間違いをおそれずに自由に考えてみようと子どもたちに投げかけます。
いよいよ「振動型発電機」工作キット、Stick Generator(スティック ジェネレーター)を組み立てます。一工程ずつ丁寧に説明を受けながら、子どもたちは保護者の方と協力して慎重に作業を進めていきます。コイルの巻き方ひとつで電気が流れなくなるので、みな真剣です。
コイルを巻いた透明な筒に強力な磁石を入れて、飛び出さないようにセロテープで留めます。さらに、コイルの線を小さな基盤に繋げ、LEDと蓄電する為のコンデンサーをケースに差仕込み、組み立て完了です。
完成したスティックジェネレーターを振ると、電気が作られLEDが光りました。その瞬間に、子どもたちから『わあっ』『すご〜い、点いた!』と歓声があがります。
今度は、各自のスティックジェネレーターを専用のコンデンサーに繋ぎます。一つより二つ、二つより三つと、数多く繋ぐことで、発電された電気が一箇所に集り、より大きな電力として蓄電される仕組みを学びます。
次に、おもちゃの列車でチーム対抗レースを開催!各班で協力して蓄電を行ない、その電気でおもちゃの列車を走らせます。
蓄電の制限時間は6分間。自分のチームの列車を速く走らせる為、みな必死にジェネレーターを振り続けますが、腕が疲れてちょっぴり大変そうです。でもレース本番になると、実際に走り出す列車を見て大喝采!みんなで大きな声を出して応援しました。協力すれば大きな電力も自分たちで作りだせることを学ぶ瞬間です。
最後に、今体験したばかりの仕組みが既に自分たちの生活の中でも活かされているのだということを学びます。小さくても家庭で電気を作って蓄えることが普及すれば、各家庭の電気をつなげて大きな電力として活用できるし、環境にもやさしい社会〜スマートシティ構想〜につながることついても紹介されました。また、身近なものを使った発電方法についても紹介。スピーカーにLEDライトを繋げて叩いて震わせてみると、LEDが光ります。これも振動で電気を作る仕組み。『スピーカー発電は逆転の発想の例です。他にももっと電気を作る方法があるのでは? 例えば光や熱を使って、または電波を使って、もっと楽しい発電方法を考えてみよう!』と話がありました。
最後には全員に、写真の入った修了証が授与されました。日頃からとても身近にある電気を自分たちで作り、さらにみんなで協力して大きな電気を作る。体験を通して、電気のことをより身近に感じられ考えられるきっかけづくりとなることでしょう。