SONY

アフガニスタンの多くの子どもたちはランドセルを持っていません。毎日、片道10キロ以上離れた青空教室まで教科書やノートを布に包んで登校し、勉強しています。ソニーは、社会貢献活動の一環として、「Re-ランドセルプロジェクト」を2009年3月より実施。
小学校へ入学するグループ社員の子どもと対象に、会社からランドセルが50年間に渡り贈呈されています。その思い出の詰まったランドセルをジョイセフの「思い出ランドセル募金」を通して、アフガニスタンの子どもたちに寄贈しています。

2012年ランドセル回収レポート

ソニーのランドセル

1959年、ソニーの創業者井深大の発案から始まった「ランドセル贈呈式」。少しでも社員の負担を軽くし、祝ってやろうという提案から、社員の家族で小学校へ入学する子どもを対象に寄贈され、現在も井深大の魂とともにランドセル贈呈式は継続されています。

2009年より、「想い出が詰まったランドセルを捨てることができない」、「世の中の役に立ちたい」という社員の声により、途上国の教育支援・社会貢献の一環として、「Re-ランドセルプロジェクト」を開始。国際NGO:ジョイセフの協力により、青空教室でランドセルのニーズがあるアフガニスタンの子どもたちに届けられました。

1.回収

ソニーグループ各社に呼びかけ、自宅にある使用済みランドセルを倉庫に郵送。また、ソニーセミコンダクタ、ソニーエンジニアリング、ソニーケミカルインフォメーション&デバイスの各サイトでは回収も行われました。

2.輸送前の検品、梱包作業

届いたランドセルを一つずつ検品し、状態を確認後、一緒に送る学用品(ノート、鉛筆、消しゴム)、ろうそくなどをランドセルにつめて梱包します。

3.日本出港

梱包したランドセルは、日本を6月6日に出港し、パキスタンに到着。パキスタンからは陸路でアフガニスタンに輸送されます。

4.アフガニスタンへの輸送

2012年は、現地の政情が不安定だったこともあり、現地への到着が遅れましたが、無事にアフガニスタンに到着しました。現地パートナーNGOの手によって、寄贈先の小学校に運ばれていきます。
今回の寄贈先は、東部ナンガハール州の小学校が選ばれました。ナンガハール州は、長い内戦の間に国外に避難していた多くの人々が帰還している地域です。住民の多くが家や家畜を失い、経済的に苦しい中、地域の教育環境の向上に、ランドセルの寄贈を通して協力しています。

5.ランドセルの寄贈

現地のスタッフが、寄贈先の学校を回って子どもたちにランドセルを一つ一つ渡していきます。ランドセルとともに日本から送られた文房具も均等に子どもたちに分けられました。中には、アフガニスタンの子どもたちへのメッセージも同封されており、現地の子どもも喜んでいました。

(写真提供:公益財団法人ジョイセフ)

なぜランドセルがアフガニスタンで必要なのか?

アフガニスタンでは、内戦が終結したものの、未だに政情不安定であること。また長い内戦のため、教師、学校施設が不足し、家庭の経済状況も苦しく、多くの子どもが学校教育を受けられない状況にあります。ランドセルは、そのような状況の中、親が子供に学校に行かせたいと思うきっかけになっています。また、男女に均等に配ることにより、女子の就学率の向上にも貢献しています。
また、学校までの通学路は石や岩などが出た、足場の悪い道もたくさんあり、両手が空くランドセルは重宝されているほか、学校施設の不足により、多くの子どもたちが屋外で授業を受ける環境にあります。ランドセルは表面がしっかりしており、子どもたちの机代わりとして授業中にメモをとったりするのに役立っています。

(写真提供:公益財団法人ジョイセフ)

これまでの回収結果

回収結果

ソニーのランドセル贈呈式の歴史

ランドセル贈呈式 源流:第1部第8章
第5話「株式の上場と万代会長の死」より

1959年、ソニーでは、小学校へ入学する社員の子どもに対してランドセルを贈る、「ランドセル贈呈式」を設けました。
戦後13年が経ち、日本の復興も目に見えて進んできたとはいえ、庶民の生活はそれほど楽とはいえません。小学校に上がる子どもに余裕を持って新しいランドセルを買ってやれる家は少ないのが現状でした。
ソニーに勤める社員とて同じです。そこで少しでも社員の負担を軽くし、祝ってやろうというソニーの創業者である井深大の発案でなされたものです。第一回から50年以上経った現在も「ランドセル贈呈式」は継続されています。

井深大は設立趣意書に「国民科学知識の実際的啓発」を創業の目的の一つと位置づけています。
そして、「ランドセル贈呈式」と同じく1959年には、戦後間もない日本において、科学技術の振興こそが社会を立て直す、そのためには次世代を担う子どもたちの理科教育に注力することが重要であると考え、理科教育において優れた教育を目指している小学校を支援する「ソニー小学校理科教育振興資金」(現、「ソニー子ども科学教育プログラム」として小学校および中学校対象)を設立しました。
ソニーの社会貢献活動の原点となり、それから50年たった今、エンタテイメント事業を傘下に加えたソニーらしい活動として、その重点分野は、科学のほかに、音楽・映像教育支援にも広がり、科学や芸術への関心を高めることはもとより、次の社会を担う世代の論理的思考や豊かな創造性をはぐくむことを目指しています。

公益財団法人 ジョイセフとは

ジョイセフ(会長 明石康)は、途上国の妊産婦と女性の命と健康を守るために活動している日本生まれの国際協力NGOです。戦後日本の家族計画・母子保健の分野での経験やノウハウを途上国に伝えるために1968年に設立されました。国連、国際機関や現地NGOと連携し、アジア、アフリカなどで、人材養成、物資支援、プロジェクトを通じた様々な支援を行っています。
2004年5月より、ランドセルの寄付活動を行っており、片道10キロ以上離れた青空教室で勉強しているアフガニスタンの子どもたちを中心にランドセル(毎年約1万個)や文房具を寄付しています。現在もなお、ランドセルの寄付数は需要に対して不足しています。