リサイクル素材でつくる新しいパッケージをaiboに
革新的なパッケージが誕生しました。ペットボトルのリサイクル材を50%使用したフェルト素材のパッケージがaiboをぴったりと優しく包みこみ、傷や汚れから守ります。
リデュース、リユース、リサイクル
— 環境に配慮するソニーのデザインポリシー
ソニーはグローバル環境計画「Road to Zero」の下、製品のライフサイクルや自らの事業活動を通じて資源の使用量を減らし、素材の再使用や再生利用を促進する取り組みを続けています。
大切なものを守る
新しいパッケージは、aiboが新しい家族のもとで「誕生する」瞬間までぴったりと包みこみ、守ります。このパッケージはペットボトルのリサイクル材を用いたフェルト素材のみで作られており、aiboをはじめとする様々な製品の形状に合わせて成形することができます。
日本パッケージングコンテストで
経済産業大臣賞を受賞
aiboのパッケージは、優れたパッケージとその技術の開発普及を目的とする日本パッケージングコンテスト2018(JAPAN STAR)で経済産業大臣賞を受賞しました。
パッケージができるまで
ペットボトルからパッケージへ
ペットボトルを回収し[1]切断したリサイクル材[2-3]を50%使用してポリエチレンテレフタレート製の原綿(綿のような状態の繊維)を作り[4]、さらに厚さ3ミリのフェルトシートにします。このフェルトシートをロール状にして[5]プレス成型すると[6]、aiboのパッケージになります[7]。
デザインと技術力で課題にチャレンジ
「パッケージからaiboが誕生する」というコンセプト、そして環境目標の達成の両方を実現するためにデザイナーとエンジニアはデザイン、コスト、傷への耐性を念頭に協力して課題に取り組みました。リサイクル材の使用率を高めること自体もチャレンジでした。
イノベーションを通じて
リサイクルを促進する
フェルト素材でリサイクル材の使用率が高くなると、素材の「まとまる力」が弱くなり、強度と形状の維持が難しくなります。このため通常は新しい原材料(バージン材)を主に使用し、リサイクル材をそこに混ぜこみます。aiboのパッケージ向けに新たに開発したフェルト素材では、独自のプロセスを採用することでペットボトル由来のリサイクル材使用率を50%にまで引き上げました。
緩衝剤と保護材が
一体型になった形状
aiboのパッケージはPET(ポリエチレンテレフタレート)素材によるフェルト素材を成形したもので、梱包材だけでなく緩衝剤としての役割も果たします。リサイクル材の使用比率を引き上げた上、内側を空洞の三層構造としました。革新的なデザインによるこのパッケージは、衝撃を吸収するクッション材と外部からの汚れや傷から製品を保護する強度の高い保護材の両方の役割を果たしています。
省資源と
「出会いの演出」を両立
製品をダンボール箱に入れて出荷する場合、汚れや水分から製品を守るために箱の中に保護袋やカバーシートがさらに必要になります。一方、aiboのパッケージのフェルト素材は繊維の密度が高く、汚れから製品を守ることができるため、別の保護材は必要ありません。資源の使用を抑えるとともに、aiboと「初めて出会う瞬間」を楽しむ演出が可能になりました。
インク不使用
パッケージの「aibo」の文字は印刷ではなくエンボス加工されています。このため、インクにかかわる様々な化学物質や油分を使うことがなく、環境負荷の軽減につながります。
佐藤 元洋
ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社
設計部門 包装技術部
「ペットボトルリサイクル材50%使用」を目標にaiboの包装設計をスタート、前年度は30%としていたリサイクル率を今回は50%に向上させることに挑戦しました。
さらに包装設計として「手触りの良さ」と「眠っている姿」へのこだわりを追求し続けた結果、フェルトの形状が複雑になり、設計や成形の難易度は上がりましたが、課題を確実に克服することで目標を達成することができました。
引き続き包装材の環境対応を推進し、ペットボトルリサイクル材比率のさらなる向上を目指していきます。
廣瀬 賢一
ソニー株式会社 クリエイティブセンター
デザイナー
新たなパッケージスタイルの創出を目指し、2014年からフェルトパッケージの開発がスタートしました。最初はフェルトの原材料の繊維を知るところから始め、材料の配合比率や素材の表現手法などを一つ一つ作り上げていきました。そして身近にあるペットボトルからリサイクルしたPET素材によるフェルトパッケージというスタイルを作り出しました。
aiboとの最初の出会いを演出するこのパッケージでは、素材の持つ強さとしなやかさという特徴で全体を包み込みました。aiboを優しく包み込みながら守ることができます。
今後は再生比率を100%に近づけながら、更に進化したパッケージを作り出していきます。そしてこのパッケージスタイルが、多くの方々の環境意識に影響を与えていけたらと思います。