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お客様と一緒に製品・サービスを育て、
期待を超えるユーザー体験の実現を目指す

下川 僚子
ソニー株式会社

より良い体験を生み出すため、組織横断でUXデザインに向き合う

私は、ソフトウェアサービス事業部で、カメラユーザー向けのクラウドサービスのビジネス責任者をしています。
また、組織横断でユーザーエクスペリエンス(UX:製品やサービスの利用を通してお客様が得る体験)を考えるUXデザインワーキンググループ(WG)を立ち上げ、そのオーナーとしても活動しています。
これまでは製品やサービスごとにUXを研ぎ澄ませる取り組みをしていたのですが、お客様に喜んでもらえるUXを実現するには、もっと組織横断でものづくりをする必要があると感じていました。そこで数年前に、お客様との接点をより増やし、組織横断で製品やサービスの開発に取り組むUXデザインWGの活動を始めました。
テクノロジーの発展によって、カメラひとつとっても、そのUXは撮影だけに留まるものではなくなっています。写真を撮った後の体験もソニーの技術を活かしてより良いものにし、広くクリエイター向けの製品・サービスを展開していくことをソニーでは目指しています。
お客様に一貫したより良い体験を提供することがUXデザインであり、その手段のひとつに、人間中心設計(Human-Centered Design:HCD)があります。UXデザインWGでは、事業部内のさまざまな部署から、より良い体験を提供したいという想いをもったメンバーが集まり、各組織の課題やHCDなどのナレッジを共有し、UXデザインの実践と浸透に取り組んでいます。

お客様に喜ばれる体験を届けることを、限界まで追求したい

私は学生時代からソフトウェア工学を学び、ソニー入社後はソフトウェアエンジニアとして経験を積んできました。ものづくりが楽しいという思いは学生時代から変わらずにもちながら、開発した製品やサービスをお客様に褒めていただくと、嬉しい気持ちも膨らんでいきましたね。
ものづくりは簡単なことではなく、泥臭い仕事もたくさんあります。それでも、お客様が喜んでくれることが自分のモチベーションになるという思いが、経験を重ねるにつれて段々と大きくなっていきました。
こうしたモチベーションの高まりと同時に、自分がものづくりを楽しむだけでなく、製品やサービスを通じてお客様に喜ばれる体験を届けられているかという視点が大切だと意識するようにもなりました。限界まで高めた技術を一番良い形でお客様に届けることを追求したい。それが、UXデザインWGを立ち上げた根底にある思いのひとつでもあります。

お客様にとっての「ソニーとの接点」は幅広い

製品・サービスに関わるすべてのメンバーはこれまでもお客様を深く知る努力をしてきましたし、そのような活動も盛んに行われてきました。こうした各自の努力を土台にしながら、組織の枠組みを超えていくことで、もっと良いUXを提供できるという思いをもっています。カメラであれば、ハードウェアとソフトウェアの設計チーム、プロモーション担当、販売担当、カスタマーサポート担当など多くの人が関わっています。お客様にとっては、このすべてがソニーとの接点であり、たとえば、設計者とカスタマーサポートチームとの連携を強化することでよりよい体験を実現できると考えています。
ソニーにいる誰もが自分の役割を全うすべく担当業務に取り組んでいますが、その枠をもう一段広げることで、お客様をより深く理解でき、その期待に応えられると思っています。お客様視点での「ソニーとの接点」を常に意識して、組織の枠組みに囚われないように、日々の仕事に向き合っています。

お客様の声を聞き、お客様と一緒に製品、サービスを作り育てたい

この仕事の魅力は、お客様とダイレクトにコミュニケーションをして、それを製品やサービスに反映し、さらにフィードバックをもらえることだと思っています。私自身も、お客様と一緒に製品、サービスを育てていくことをやりがいに感じていますし、お客様の期待を超えたいという思いが、モチベーションの源泉です。
HCDの具体的な手法はいくつかありますが、ただプロセスを実践するのではなく、誰に何を届けたいのかを意識するマインドが大切だと考えています。どんなお客様にどのようなUXを提供するのかが一番重要であり、それを具体化したり検証したりする手段としてHCDを取り入れていくスタンスをもつべきだと考えています。
これまでの経験で、印象に残っているプロジェクトをひとつ挙げると、カメラとモバイルアプリケーションを組み合わせたサービス開発があります。カメラでできることは撮影を中心としたものですが、クラウドサービスへ広げると、ソリューションが無限大になります。
しかしながら、お客様が潜在的に求めていながらも、私たちの想像が及んでいないソリューションもあるかもしれません。そのため、フォトグラファーの方々へのヒアリングを何度も重ね、製品やサービスを作り上げていきました。お客様のペイン(お客様にとって不快あるいは不便なこと)を見つけ、カスタマージャーニーを描き、プロトタイプを作って仮説検証を積み重ねることはチャレンジングな取り組みでした。
そして、より良いUXを提供するためには、やはり組織横断でものづくりに向き合うべきだと改めて感じた経験でもありました。

お客様の期待に応え、その期待を超えていく

ソニーのメンバーは誰もが情熱的で、UXデザインWGでも、他のプロジェクトでも、組織の枠を超えて、賛同した人がオープンに参加するところが面白いと思っています。「こんなUX作ってみたいよね」と投げかけると、誰かが反応してくれるので、打てば響く組織だと感じていますね。
草の根活動のようなことも盛んに行われる風土があるので、偶発的なアイデアが生まれたり、同じ思いをもつ人同士で新規事業を提案したりすることも珍しくありません。私も、組織の枠を超えた取り組みをより広く、より速く行い、日常のものになるよう今後も活動していきたいと思っています。
ソニーという会社は、お客様に製品やサービスを提供して対価をいただいている会社である以上、お客様をよく理解し、ユーザー体験を重視したものづくりに取り組むべきだと考えています。HCDを取り上げて特集されることもないくらい、当たり前のこととして浸透している状態を目指したいです。ビジネス責任者として、これからもお客様の期待に応え、期待を超えていける事業を構築していきたいと思います。