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多様な人材とソニーならではの技術で価値創造を

2020年5月25日

「多様性を生かした、ソニーにしかできない価値創造」を実現していく──
昨年ソニーが初めて発行した統合報告書「Corporate Report 2019」において、
ソニー 社長 兼 CEOの吉田 憲一郎はこのようにソニーの価値創造について明言した。
その実現のために、何を意識し、行動すべきなのか。人材育成やダイバーシティをテーマに、ソニーのR&D担当で専務の勝本 徹と人事担当で常務の安部 和志が語り合った。

プロフィール
  • 勝本 徹

    ソニー株式会社 専務
    R&D、メディカル事業担当

  • 安部 和志

    ソニー株式会社 常務
    人事、総務担当

価値創造の基盤は他社ができないことを実現する
「テクノロジー」とそれを生み出す「人材」

──統合報告書ではソニーの価値創造の基盤として「テクノロジー」と「人材」が位置付けられています。「ソニーにしかできない価値創造」を実現するためには、それぞれ何が重要なのでしょうか?

勝本:ソニーには優れたテクノロジーが多数ありますが、ただ優れているだけでは十分ではありません。どれだけ多くの差異化技術を創造していけるか。また、経営の方向性を「人に近づく」としているように、クリエイターやユーザーのやりたいことや困りごとを理解し、それを差異化技術で実現することが重要です。R&Dセンターでは2年ほど前からこの2つを実践しようと、社外の声を集め、見つけ出したニーズをいかに差異化技術で具現化するかに注力しています。

安部:ソニーならではの価値創造に差異化技術はもっとも大事な要素ですね。それらテクノロジーを生み出すのが人材です。そして、ソニーのテクノロジーの成長には、人材の成長が不可欠だと思います。

ソニーでは、創業当時から一貫して、社員と会社が「お互いに選び合い、応え合う関係」であろうとしています。ファウンダーの一人の盛田さんが入社式で「入社をお祝いすると同時に、違う場所だと感じたら新しい場所を探しなさい」とおっしゃったのは有名です。社員はソニーという会社が自分にとって成長し、挑戦する場としてふさわしい場かを問い続け、会社はそれに対して応えられているかを常に確認していくという関係が、ソニーらしい企業風土だと思います。

ソニーユニバーシティ

意欲あふれる人材を惹きつけ、育てる3つの柱

──「人材」を強化していくために、取り組んでいくことを教えてください。

安部:人事の制度・施策は社員を管理するものではなく支援するものと考えています。昨年、ソニーのPurposeの制定に合わせて人事施策を3本の柱に整理しました。一つが「Attract」(人材獲得)。ソニーに関心を持ち、そのPurposeに共感してもらえる人たちに、ソニーの魅力を広く正しく伝えることを意識した情報発信をしています。次に「Develop」(人材育成)。ソニーユニバーシティや技術研修など、社員がたゆまず成長できる場の提供をしています。そして「Engage」(社員エンゲージメント)。社員がモチベーションを高く保ち、アウトプットがより大きくなるよう、社員の声がマネジメントに届けられる仕組みづくりや組織風土改革などに取り組んでいます。

勝本:エンジニアやリサーチャー、それらをめざす学生にソニーの魅力をきちんと知っていただくという点では、Technology Dayの開催、ソニーグループの情報誌「Family」でのテクノロジー特集など、私たちの多様なテクノロジーについてグループ横断で社内外発信を強化しています。グループ社員にとっても、グループ内のさまざまな技術への理解を深めることは自身の学びにつながると考えています。また、海外の大学や影響力のある学会でも積極的に発信しています。非常に多くの人に話を聞きにきていただいています。

安部:私もインドや中国で直接学生に会う機会をつくり、ソニーのPurposeや幅広い技術を伝えていますが、海外の学生も日本の学生同様に、私たちの取り組みに非常に高い興味をもってくれています。海外人材の獲得競争は厳しいですが、情報を正しく伝えられれば、ソニーが魅力ある職場であることを、国や地域に関係なく伝えることができると感じています。

“内面”の多様性を広げ、
意見をぶつけ合うことで突破口が見える

──ソニーでは多様性が重要な価値の一つとなっていますが、多様性が生み出す強み、そして多様性を生かすために必要なことは何でしょう?

勝本:安部さんとはよく話をしますが、ジェンダーや国籍だけでなく、「どれだけ多様な発想を持った人がいるか」が大事だと思います。R&Dセンターでは昨年から、ダイナミックなダイバーシティを考慮した拠点ヘッドのローテーションを開始しました。昨年はアメリカ、ドイツのヘッドと日本の部門長が入れ替わり、今年2月からはベルギーのヘッドが日本に赴任しています。多様なバックグラウンドや考えを持つ海外ラボのヘッドが議論に加わることで、数年前と比べると議論の幅が非常に広がっていると感じます。また、全員が同じ土俵で話ができる環境づくりも大事です。R&Dセンターでは、ミーティングの場に一人でも外国人がいたら全てのコミュニケーションを英語にすることをルールとしています。部長以上による月報や会議の議事録も英語で、これらの資料にはR&Dセンターの全員がアクセス可能にしています。こうしたオープンな情報共有によって、拠点間のコミュニケーションが格段にスムーズになりました。情報の公平性や同時性は重要と実感しています。

安部:そうですね。多様性はイノベーションや新しいアイデアの原点だと思います。社員一人ひとりがのびのびと個性を発揮し、互いを理解・リスペクトし合い、意見をぶつけ合うことは新しい気付きやアイデアの創出につながります。

勝本:多様性を生かすためには、リーダーの役割もカギです。私はヨーロッパ赴任の際、プロジェクトメンバーのバックグラウンドが皆バラバラで、意見が一向にまとまらないという経験をしました。ともすると、何とかその場を収めようと、平均値をとった結論を出したくなってしまう。しかし、時には数ある意見の中で、極端だけれども“一番戦えるアイデア”を選択する勇気がリーダーには求められると思います。この考えはヨーロッパに赴任しなければ学べなかったですね。

安部:勝本さんと同様に、私も合弁会社や異業種の経験をイギリスとアメリカで積み、それまでとは全く違う環境に身を置いた時に、多くの学びと気付きがありました。ソニー社員に限らず、多くの方に、ぜひさまざまな経験をして多様性を広げてほしいと思っています。

世代間の多様性について理解することも重要ですね。いわゆる「Z世代」にあたる今の学生の皆さんの考え方や価値観というのは、私たちの世代とかなり異なり、組織に対して大きな刺激を与えてくれます。その世代の人たちをしっかりエンゲージしていきたいですね。

自身の成長とともに社会への貢献を考えてほしい

──最後に、社員の皆さん、および未来の社員の皆さんにメッセージをお願いします。

安部:挑戦心を忘れず、自分が何を実現し、どのような自分になりたいのかを常に考え、発信し続けて欲しいと思います。また周囲を巻き込む力は、これまで以上に重要になってくるので、周囲の人と一緒に、ソニーならではの価値創造へのチャレンジに挑み続けてくれることを期待しています。ソニーは、社員自身が成長しながら、いろいろな挑戦を通じて社会にインパクトを与える存在であり、今後もそうあるべきと強く思います。そういった理念に共感いただける方にぜひ門戸を叩いていただきたいと思います。

勝本:ソニーがさらに強くなるためには、自身の手がけるテクノロジーを磨くと同時に「人に寄り添い、何を解決するのか」「社会に貢献できるものか」を考えることが大事と思います。また、ソニーにはエレクトロニクス、エンタテインメント、金融と幅広い事業があり、かつそれぞれが「テクノロジー」と「人材」という共通の基盤でつながっている、世界でも稀に見るユニークな会社です。これからもソニーの多様な事業、そして社会に貢献するテクノロジーへのチャレンジにご期待ください!

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