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FeliCa事業部 照山勝幸、R&Dセンター 知念徹、
中神央二が情報処理学会情報規格調査会
国際規格開発賞を受賞
左:照山勝幸、中央:知念徹、右:中神央二
一般社団法人 情報処理学会 情報規格調査会※1は、同会に所属するProject EditorまたはProject Co-Editorの中から新規または改版の国際規格、技術報告書(追補および正誤表を含む)開発において顕著な貢献が認められた個人に国際規格開発賞を授与しています。2021年の受賞者が発表され、5月にソニー(株) FeliCa事業部 開発部の照山勝幸とソニーグループ(株) R&Dセンター Tokyo Laboratory 20の知念徹が、7月に(株)R&Dセンター Tokyo Laboratory 18の中神央二が受賞しました。
今回の受賞内容について
照山勝幸の貢献
照山は、ISO/IEC 21481:2021「Information technology - Telecommunications and information exchange between systems - Near field communication interface and protocol -2(NFCIP-2)」のProject Editorとして、ISO/IEC JTC 1/SC 6(Telecommunications and information exchange between systems)/WG 1(Physical and data link layers)において同規格の改正作業を推進し、2021年4月の規格発行に大きな貢献を果たしました。また同時に、NFC技術の専門家として、同規格の外部磁界検出混信防止機能の仕様要件を明確にし、そのテキスト化作業において中心的な役割を果たしたことが高く評価されました。
この規格NFCIP-2はNear Field Communication(NFC: 近距離無線通信)シリーズ※2の2つ目の規格で、1つ目の規格ISO/IEC 18092(NFCIP-1)の応用範囲を広げるものです。NFCIP-1規格、マイナンバーカード等の非接触近接型規格(ISO/IEC 14443)の通信仕様及び、近傍型規格(ISO/IEC 15693)の通信仕様を同じ機器に共存させて搭載した際、適切に選択して利用できるようにするための処理手順、及び外部磁界検出混信防止機能を規定しています。近接型及び近傍型の機能をNFCの外部磁界検出混信防止機能の下で両立させることで、汎用無線技術としてAndroidスマートフォンやiPhone等の汎用機器での応用を可能にしています。
知念徹の貢献
知念は、ISO/IEC 23008-3:2019/Amd 2:2020「Information technology - High efficiency coding and media delivery in heterogeneous environments - Part 3: 3D audio - Amendment 2: 3D Audio baseline profile, corrections and improvements」のProject Editorとして、2019年7月からISO/IEC JTC 1/SC 29(Coding of audio, picture, multimedia and hypermedia information)/WG 6(MPEG Audio Coding)において規格化を推進し、2020年11月の規格発行に大きな貢献を果たしました。この規格は、MPEG-H 3D Audioにおいて、チャネル信号並びにオブジェクト信号を符号化するツール及びモジュールを規定し、Baseline profileとして規格化しています。
Baseline profileは、音楽や映画、そして放送の空間音響などの応用分野において低演算で高効率な符号化方式として期待されています。知念は自らBaseline profileの技術提案を行い、また、先に規格されたLow Complexity (LC) profileのサブセットとなるよう技術的な改良を重ねながら規格化を推進した功績が高く評価されました。
中神央二の貢献
中神は、ISO/IEC 23090-5:2021 Information technology -- Coded representation of immersive media -- Part 5: Visual volumetric video-based coding (V3C) and video-based point cloud compression (V-PCC) のProject Editorとして、ISO/IEC JTC 1/SC 29 (Coding of audio, picture, multimedia and hypermedia information)/WG 11 (MPEG) において規格化を推進し、2021年6月の規格発行に大きな貢献を果たしました。
この規格は、MPEG-I Video-based Point Cloud Compression(V-PCC)として、ビデオコーデックを用いた点群映像の圧縮技術に関する規定を行っています。V-PCCは、ユーザーのxR体験に向けて3D Volumetric映像をインターネット配信可能なビットレートに圧縮し、既存のモバイルデバイスでの再生を可能にする、高効率な符号化方式として期待されています。2017年10月に行われた点群圧縮技術に関するCfP(Call for Proposal)への提案を皮切りに、V-PCCのProject leaderとして規格化を主導しました。また、MPEG会合におけるコア実験のコーディネーターとして、再構成映像に対する高速な平滑化フィルタリング技術や、符号化効率向上のための点群から2次元画像への投影方法の改善などの、技術的な改良を重ねて規格の完成度向上に貢献し、2020年7月に規格化を完了させた功績が高く評価されました。
受賞コメント
■ソニー(株)FeliCa事業部 開発部 照山 勝幸
本規格は、FeliCaの通信技術を含むNFCIP-1規格と他の非接触通信を同一機器上で共存させるための規格で、今回の改正では、複数の異なる通信方式を実装した機器が接続可能な通信方式を見つけて通信相手と情報を交換するという、市場で普及するユースケースをNFCIP-2規格へ反映させることを達成できました。
改正に際しNP(新業務項目提案)を始めとする投票、仕様提案や交渉において多くのご支援をいただいた関係者のみなさまには、たいへん感謝しております。またこのような賞をいただき嬉しく思うとともに気が引き締まる思いです。
引き続き、NFCに限らずビジネスに貢献できるような標準化活動に尽力していきたいと思います。
■ソニーグループ(株)R&Dセンター Tokyo Laboratory 20 知念徹
名誉ある賞を賜り、大変光栄に思います。今回の受賞は、MPEG-H 3D Audioにおいてオブジェクトオーディオ並びにチャネルオーディオを符号化するBaseline profileを開発し、MPEG標準化ではその技術提案を行うとともに、Project Editorとして規格化を推進したことが評価されたものです。
規格化推進にご協力いただいたR&Dの皆さま、権利形成にご尽力頂いた知財の皆さま、そしてMPEG-H 3D Audioをベースとした360 Reality Audio※3を推進していただいているホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ事業本部の皆さまにこの場を借りて御礼申し上げます。
今回は、私が代表して受賞させていただきました。今後もしっかりと実績を残していけるように努力したいと思っています。
■ソニーグループ(株)R&Dセンター Tokyo Laboratory 18 中神央二
今回は、点群映像の圧縮方式、Video-based Point Cloud CompressionをMPEG標準化において開発し、Project Editorとして規格化を推進したことで、受賞することができました。大変光栄に思います。
私が代表して賞を頂きましたが、規格化にご協力頂いたR&Dを中心とする関係者の皆様、また、一緒に技術開発を行ってきたチームメンバーの皆様に、この場を借りて御礼を申し上げます。
今後、規格化した技術を実用化に結び付け、社内ビジネスへの貢献ができるように、引き続き頑張っていきたいと思います。
※1:一般社団法人 情報処理学会 情報企画調査会とは: 一般社団法人 情報処理学会 情報規格調査会(ITSCJ:Information Technology Standards Commission of Japan)は、日本工業標準調査会(JISC: Japanese Industrial Standards Committee)からISO/IEC JTC1の国内審議団体を受託し、情報技術に関する国際規格の審議を行うとともに、情報技術に関する標準化に寄与することを目的として設立されました。
※2: NFCとは NFCは、Near Field Communicationの略称で、13.56 MHzの周波数を利用する通信距離10cm程度の近距離無線通信技術です。
※3:360 Reality Audio: 360 Reality Audioはソニーのオブジェクトベースの空間音響技術を用いて、臨場感豊かな音場を実現する新たな音楽体験です。