Initiatives

OSSの開発を積極的に支援

社会とともにOSSを育み、イノベーションにつなげていく

2020年3月25日

  • 上田 理

    ソニー株式会社 コーポレートテクノロジー戦略部門
    テクノロジーアライアンス部

世界中の人が連携してつくるOSS

世の中には多くの人々が企業や地域、産業分野の壁などを乗り越えて共同でつくり続けているソフトウェアがあり、完成したものを一定の条件のもとで誰でも無料で使えるよう公開しています。このようなソフトウェアをオープンソースソフトウェア(OSS)と言います。OSSに参画している上田は話します。「OSSは品質、性能、機能いずれを取っても極めて高いものが多いことが往々にして見受けられます。たとえば、コンピュータシステムの土台に相当するソフトウェア『リナックス』は代表的なOSSの一つ。リナックスは2,500万行を超えるソースコード※によってできており、開発に携わる人々は世界中に、数万人はいると言われています。それだけの人々が互いに信頼し協調し、コミュニティをつくり、切磋琢磨して開発を進める。これがOSSの活動です」。

※ソースコード:ソフトウェアの設計図にあたるもの。文章のような形でつくられる。

信頼で結ばれるから高め合える

ソニー製品にリナックスが使われるようになったのは2003年頃のこと。上田は単に使うだけではなく、積極的にその開発支援を行っています。「ソニーだけではなく、日本企業の中で同様に活動する人たちとともに、開発したプログラムをグローバルなOSSコミュニティに届ける活動をしています」。また、米国ソニーエレクトロニクスのティム・バードは、リナックスの開発コミュニティの中でも活躍しているそう。「2017年から2019年まではリナックス開発者集団と産業界を結びつける国際団体『リナックスファウンデーション』のテクニカルアドバイザリー(技術顧問)10人の中の1人に指名され、ソニーのOSSへの期待や改善内容をコミュニティに伝える橋渡し役を担ってくれました」。

現在では、開発者コミュニティの方々も、ソニー製品に使われること、そしてそれに伴う技術進歩に強い関心を抱いてくださっており、コミュニティとソニーで相互の信頼関係ができているそうです。

「リナックスファウンデーション」のテクニカルアドバイザリーを2017年から2019年まで務めたティム・バード

世界の叡智から積極的に学ぼう

最近は、ソニーでも独自開発したソフトウェアをOSSとして公開することが増えてきました。ソフトウェアを公開し、世界中の人々が活用してさまざまなフィードバックを得ることで、ソニーのソフトウェアはさらに進化していきます。上田は「今後もこうした活動を積極的に展開していきたいと考えています。また、多様な人々と協調関係を結び、互いに信頼し合い、イノベーションにつなげていく過程には、学ぶこともたくさんあります。ぜひ機会を見つけてOSS開発者コミュニティの輪に飛び込んでみてください」。

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