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プロジェクトリーダーたちが語る、STEF 2022の舞台裏
場づくりからはじまるコラボレーション

2023年3月22日

従来の社内向け開催に加え、今回初めて社外向けにも公開されたSTEF 2022。ソニーグループ全体を巻き込んで実施された本イベントの舞台裏ではどのようなストーリーがあったのでしょうか。

プロジェクトをけん引したリーダーに、STEFの目的や開催の舞台裏、STEFを支えるカルチャーなどについて聞きました。

  • 清水 健介

    社内企画プロジェクトリーダー
    ソニーグループ株式会社
    コーポレートテクノロジー戦略部門

  • 安達 公平

    社外企画プロジェクトリーダー
    ソニーグループ株式会社
    コーポレートテクノロジー戦略部門

「イノベーションとコラボレーションの創出」を目指して

──経歴と、今回STEF推進・運営を担当するに至った経緯を教えてください。

清水:2022年3月まではエンジニアで、オーディオ商品設計のチームリーダー職と、ビジネス側の要求に対してユーザー体験と技術的なソリューションの観点を加えて、実現すべき要素をまとめる要求アナリストという専門職を兼務していました。色々なことを深掘りして発信することも好きだったので、業務以外にも社内イベントで講演したり自分で勉強会を開いたりなど、直近まで2.5足の草鞋を履いていたという経歴です。昨年4月より現部署へ異動し、STEFの社内企画のプロジェクトリーダーを務めることになりました。

安達:私は2022年6月より現部署に異動となりSTEFを社外公開するプロジェクトの担当となりました。それまではソニー・インタラクティブエンタテインメントでプロモーションやマーケティング業務に携わり、直近ではeスポーツの企画・運営を担当していました。STEFが初めて社外に公開される良いタイミングにジョインできたと思います。

──そもそもSTEFとはどのような目的で実施されているのでしょうか。

清水:STEFの目的の一つは「イノベーションとコラボレーションの創出」です。世界中の「多様」なグループ社員が集まり、技術への「好奇心」を持って交流することで、可能性という「夢」を生む。それを「誠実」に50年「持続」してきたのがSTEFです。Sony's Valuesのほとんどの要素が目に見える形で表れており、さらにそれが生み出すものも目の当たりにできる。まさにソニーグループを凝縮したようなイベントです。

安達:今回の社外公開は初の試みでした。これまで社内限定の交流会として継承されてきたものを、50回を機に外に向けて発信した理由の一つに、社外にソニーのテクノロジーの魅力をより深く知っていただくことが挙げられます。テクノロジーの多様性に加えて、イノベーションを生む企業文化がソニーにきちんと根差していること、つまり、技術だけではなくソニーの企業文化を伝えるというのも目的の一つでした。

──どのようにプロジェクトを推進していったのでしょうか。

安達:STEFの社外公開は初めての試みだったため、手探りでの進行でした。出展技術の選定や見せ方について社内のエンジニアや運営パートナーを交えながら検討し、並行して開催規模やWebサイトなどについて決めていきました。また、SNS活用や、同時開催した研究開発方針説明会との連動などについても他部署と連携しながら進めました。

清水:社内企画では、北野CTOや技術系の経営層と社外企画と共通となる今年度の開催テーマを定めるところから始めました。社内展示の募集には数百もの応募がありましたが、会場の制約があり、すべてを展示することはできないため、より開催テーマに沿っているもの、より技術交流のシナジー効果が高そうなもの、という観点で出展技術を決定していきました。

安達:社外展示はソニー本社の1階と2階の一部を使用して実施したのですが、スペースを含めた物理制約も鑑みながら出展技術や展示方法の検討を行いました。社内展示と社外展示とで一体感を醸成したかったので、清水さんとは毎日のように連絡を取り合っていましたね。

清水:そうですね。定期的な会議はありましたが、それ以上に緊密にやりとりして、常に両方の状況を把握しながらお互いにカバーしあえたのは本当によかったです。
一口に社外展示と言っても、見学者が異なればコミュニケーションの内容が異なるため、社内外の区別はもちろん、各ステークホルダーそれぞれに見学時間を割り当てました。当然、研究開発中の技術は、期間中、従業員だけが見学できるようにする。一体感のなかで、それぞれの来場者の目的に沿って自然に展示を楽しめるように、導線や誘導は最終日まで一緒に調整し続けましたね。

STEFの成功は人の力あってこそ。
裏側で支えた人々の葛藤と努力

──実際に参加された方々の反応はどうでしたか?

安達:今回Webサイト上でも展示や講演を公開しつつ、リアルの会場は招待制での実施でした。なるべく幅広いステークホルダーに来場いただこうと準備を進め、展示に関してはデモなどの体験ができるものをメインに。来場者からは「大人も楽しめる遊園地のようだね」というご意見をいただきましたね。

清水:今回、大学生や高校生にも参加してもらえたことはとても新鮮でしたよね。

安達:そうですね。展示者には高校生でも理解できるような説明をお願いし、工夫をこらしてもらったおかげで「丁寧で分かりやすかった」という声も多くいただきました。

清水:グループ内に社内向けの技術交流のイベントはSTEF以外にも多数ありますが、STEFは世界中のグループ社員が集まるグループ最大の交流機会ということもあり、「もっと期間を延長してほしかった」という、積極的な意見もありました。一方で、期間が長くなると展示者の負担も大きくなってしまうので、バランスを取って検討していきたいですね。

安達:カンファレンスを社外に公開したのも初めてでしたね。

清水:今回はこれまで社員向けに実施していたカンファレンスのいくつかを、社外にも公開し、多くの反響をいただきました。

──特に工夫された点や、推進する中で大変だったことはありましたか?

安達:特に意識したのは会場の一体感です。出展場所、見る人が違うだけで、社内も社外もSTEFであることに変わりありません。来てくださった方には、50回にわたってソニーの社員たちが感じてきたSTEFと同じ雰囲気を感じていただけるような設営や場作りを行いました。

清水:ソニーグループの6事業が全て参加するイベントですから、展示数、出展者数、見学者数、関係者数が相当な数になるため、それぞれとのコミュニケーションが大変でした。全員が参加できるよう説明会を複数回実施したり、毎日・毎週のように個別に連絡を取り合ったりしていたので、プロジェクト中に関わった方々とはすでに旧友のような関係にもなりました(笑)。とにかく心がけたのは、発信と対応の「誠実さ」。今思えば、この点がSTEFを成功に導けた要因の一つだったかなと思っています。

安達:私もこのイベントにおいて、いかにコミュニケーションが大切かを実感しました。一番の目的はソニーの技術を正しく打ち出し、その魅力を感じてもらうことです。その軸からはブレないように、さまざまな制約があったとしても、妥協点を探るのではなく、最善な手段で展示を形にすることを目指しました。

機会創出から新たなイノベーションが生まれる予感

──見学者、参加者からはどのような感想がありましたか? また、実際に交流が生まれていると感じていることがありましたら教えてください。

安達:見学者からは「面白かった」「分かりやすかった」、展示者側からは「また出展したい」という声が非常に多かったので、双方にとって満足度の高いSTEFを実現できたのではないかと思います。

ソニー本社の展示を回る来場者

清水:STEFでは、毎年必ず何かしらの交流が生まれています。コロナ禍で一度はオンラインのみの実施となりましたが、その後はリアル展示も段階的に復活できてハイブリッドとなったので、交流の場としても広がったと感じています。

安達:実際に来場いただいた方と継続してコミュニケーションしているという話も聞いています。これからの発展に期待ですね。

清水:「こんな便利な技術を開発しました」と言って出展すると、幾つものグループ会社にあっという間に広がったり、別々に出展していたチームが翌年は一つのチームになって格段に磨かれた技術を出展したりビジネス化したりとか、そんな発展が今までもSTEFでは数多く起こってきました。今回は社外にまでその交流を広げられたので、さらに大きな形になっていくのが楽しみですね。

Message

清水:ソニーは、やりたい仕事をやりたいようにできる環境だと思います。私自身、興味の惹かれることに首を突っ込んだり発信したりしているうちに、2.5足の草鞋になっていました。もちろん仕事ですから、やらなければならない業務としての要素もたくさんあるのですが、その実行方法には高い自由度が与えられます。
ソニーでは、個性を発揮することに対する躊躇は不要です。いろいろな人がいて、お互いを認め合い、やりたいことにそれぞれの個性を持ち寄る。そんな多様性の混ざり合いを意識しながら、好奇心に従って行動をしてみると、夢や感動がどんどん生まれることを体験してきました。これがまさにソニーの文化なのだと思います。

安達:STEFを通じて感じたことは、ソニーには一つの型にはまらない多種多様なタイプのエンジニアがいるということです。それぞれが力点を置いている領域も研究、開発、ビジネス実装など、多様な方向性や指向を感じました。エンジニアが持つビジョンを尊重しながら、その熱意を活かそうというカルチャーがソニーにはあると思います。
STEFに来てくださった方々からエンジニアたちの熱意を感じたという声をたくさんいただき、ソニーのPurpose(存在意義)である「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことがエンジニアを通じて実感を伴う形で伝わったのではないかと思います。
テクノロジーの力で世界をより良く変えていきたいという思いに共鳴する方がこのような場をきっかけにソニーに興味を持っていただけたら嬉しい限りです。

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