映像制作における環境配慮
ソニーはグローバルな環境計画「Road to Zero」に基づき、事業活動と製品のライフサイクルを通じた環境負荷をゼロにすることを目指しています。ソニーのバーチャル
プロダクションの技術と使用機器は、映像制作におけるCO2の排出や資源の使用といった環境負荷の低減に貢献することができます。
環境負荷の低減にも
貢献する映像制作
バーチャルプロダクションとは?
バーチャルプロダクションとは、スタジオ内の大型LEDディスプレイで再現されるバーチャル背景の前で人物や実物セットを撮影し、後処理なしに3DCGと実写を組み
合わせる映像制作の手法です。場所(ロケ地)と時間(時間帯や季節)の制約がなく、撮影後の工程も削減でき、映像表現の自由度を高めます。
- ソニーの独自技術
バーチャルプロダクション向けに開発された高精細LEDディスプレイ「Crystal LED VERONA」と、高画質なCineAltaカメラ、そしてLEDディスプレイの背景と撮影した動画を合わせる Virtual Production Tool Setを使用することで、臨場感のあるリアルな映像を実現します。
映像制作で発生するCO2を削減
映像制作では、撮影場所での発電機や暖房にかかる燃料消費をはじめ、人の移動や機材の輸送に伴う乗り物の燃料消費、さらには電力消費、ホテル宿泊、廃棄物処理などでCO2が排出されます。
- ロケーション撮影とバーチャルプロダクションの違い
現場に出向くロケーション撮影では、多くの燃料を消費し、CO2が排出されます。一方、バーチャルプロダクション撮影では、サウンドステージ、LEDパネル、レンダリング機器などの電力消費によってCO2が排出されるものの、撮影場所での燃料消費と移動に伴う燃料消費が少なくなります。ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントの試算によると、バーチャルプロダクションによる撮影では、ロケーション撮影と比べてCO2排出量が約52%*1削減できます。
*1. 再生可能エネルギーを使用しない前提で計算
使用機器による環境配慮
環境負荷の低減に貢献する
バーチャルプロダクション機材
バーチャルプロダクションで使用するソニーの撮影機材も、LEDパネルの省エネ化やカメラ機器の省資源化など、
環境に配慮して設計されています。
- 低消費電力を実現するCrystal LED
高効率の超微細LEDチップとソニーの電力制御技術を組み合わせることで、低消費電力化を実現。Crystal LEDディスプレイのBシリーズ『ZRD-B15A』と VERONA『ZRD-VP15EB』を比較した場合、単位輝度当たりの電力効率*2は約27%向上しています。
*2 単位輝度当たりの電力効率とは、光源がある輝度を出すのに必要な電力量を示します。それぞれ最大輝度で算出した単位輝度あたりの電力効率です。
- 小型軽量で省資源なシネマカメラ Venice2
VENICE 2は、VENICEでは別ユニットとして必要だったポータブルメモリレコーダー『AXS-R7』を本体に内蔵。VENICEと『AXS-R7』を単体で組み合わせた場合よりも小さく、約15% 軽くなりました。
インタビュー
- Nicole Franco
- Executive Director, Creative Strategy & Operations
Sony Innovation Studios | Sony Pictures Entertainment
映像制作のプロセスには、移動による燃料消費、撮影中やポストプロダクション処理での電力消費、セットの設置や装飾、小道具にまつわる廃棄物など、環境面での課題が多くあります。さらには、制作に起因するCO2排出量の半分以上は、さまざまなロケーションの下見や撮影に伴う移動が原因となっています。一方、LEDパネルを使用したバーチャルプロダクションなら、移動を必要としない効率のよい映像制作が可能となり、制作時の環境負荷が削減できます。1つのステージだけで、世界中の好きな場所を舞台に物語の世界を創造することが可能となります。また、LEDパネルには再生可能エネルギー由来の電力を使用することで、温室効果ガスの排出量を抑えることもできます。現実のロケーションを撮影してバーチャル環境に変換できるので、大勢の撮影クルーが各地を移動して回る必要がなくなり、CO2排出量の大幅な削減につながります。
さらに、バーチャル環境では、実物の小道具やセットのニーズも減り、再利用も可能です。テクノロジーとイノベーションの力を駆使して組み合わせれば、映像制作者はクオリティの高いエンタテインメントを実現すると同時に、将来世代のために、この地球を守ることに貢献できると考えています。