イベントレポート

ミラノ工科大学
デザイン
ワークショップ
ウィーク
2024

昨年に引き続き、2024年2月、クリエイティブセンター センター長の石井大輔がミラノ工科大学 デザイン学部の客員教授として、数名のデザイナーと共に「ワークショップウィーク2024」の中で、ソニーのワークショップを開催しました。「未来に向けた家具の進化と拡張」をテーマにしたワークショップは、1週間の日程で行われ、統合プロダクトデザイン、デジタル&インタラクションデザインの学科から多彩なスキルを持つ様々な国籍の学生が参加しました。

ミラノ工科大学
デザイン ワークショップウィーク2024

日 付
2024年2月12~16日
テーマ
未来に向けた家具の進化と拡張
成果物
2025年のホーム/オフィス/公共スペース用家具
プロダクト、UI/UX、カスタマージャーニー、ブランディング
参加者
ミラノ工科大学の学生
総合プロダクトデザイン科
デジタル&インタラクションデザイン科

ワークショップのアウトプット

最優秀賞:グループ4 「Oasis Hub」
リモートワークが増えるなか、共有ワークスペースにおけるパーソナル化、心地よさを提案。UI/UXを通して、カスタマイズしてリラックスできるワークスペースに。モジュール型の机はレイアウト変更が容易に行える。
プロダクトデザイン賞:グループ1「hydria」
在宅勤務において仕事とプライベートの時間を切り離すのが時に難しい。それを解消するためのアンビエントプロジェクターを提案。水をモチーフとした造形から映し出される映像が息抜きの手助けをしてくれる。
空間デザイン賞: グループ2「OKAERI」
屋外の雑踏から帰ってきた際に迎えてくれるミニマルでスマートなコートハンガーの提案。従来の機能性を超えて、優しく、リラックスできる映像を天井に映し出したり、コートの消臭も可能。リフレッシュできる心地よい空間が出迎えてくれる。
ビジュアルデザイン賞:グループ3「mem - More Enhanced Memories」
懐かしい写真に香り、光、音を組み合わせることで思い出を彩り、豊かに楽しめる体験の提案。丸い造形のmemは、レコードを回すような動作で操作する。写真は自身のライブラリーから選べ、香りなどはショップから購入できる。
戦略デザイン賞:グループ5「LANDESCAPE」
人や生活に寄り添う新たなテクノロジーのあり方を絨毯として提案。快適で魅力的な室内空間を拡大し、生活の質を高めることを目的としたLANDESCAPE (Land + Escape)は、グループメンバーが初日に打ち出した"calm technology"というコンセプトを体現している。
UIUXデザイン賞:グループ6「OPAL」
孤立しがちなリモートワーク中に、遠くに離れている同僚や友人とのつながりを形成するデバイスの提案。タッチスクリーン、音声認識、聴覚フィードバックなど、複数のインタラクションの中から適したものを感覚的に使用できる。

Design Talk
Workshop Week
開催

「ワークショップウィーク2024」ではソニーを含む複数の企業がワークショップを実施しており、各ワークショップの講師たちによる「デザイントーク」が期間中に開催されました。変わり続ける社会におけるデザインの現在と未来の役割、与えうるインパクトについて、ミラノ工科大学の教授と講師らがそれぞれの考えを紹介し、学生からの質問に答える形で開催されました。

講演者として石井のほか、ミラノ工科大学デザイン学部のフランチェスコ ズルロ氏、ヴェナンツィオ アルクィーラ氏、そしてワークショップ講師のズイ フォン ヴ氏、マリー テレーズ キャシディ氏、ジョン サカラ氏、ピーター デズメット氏が参加しました。

ヴェナンツィオ
アルクィーラ教授統合プロダクトデザイン科
修士課程プログラム・ボード・コーディネーター
ミラノ工科大学 デザイン学部

ミラノ工科大学デザイン学部は毎年ワークショップウィークを開催しています。ワールドワイドに活躍されているデザイナーや企業の方々に参画いただき、それぞれのテーマで行われるワークショップは本校の学生にとって、社会に出た際のデザインの現場を垣間みる貴重な機会だと信じて継続してまいりました。
その中で、ソニーのワークショップのテーマは質が高く、石井先生の力量と熱情が生徒に伝わるものでした。石井先生と共に参加いただいたデザイナーからも多岐に渡る専門性からのアドバイスをいただいたり、国際的に活躍しているソニーのデザイナーのオープンな雰囲気を感じとれたり、生徒にとっては有意義なワークショップだったと確信しております。

難易度の高いテーマと限られた時間にも関わらず、学生たちが創り出したコンセプトの質や満足度はとても高く、本ワークショップの意義を裏付けています。同時に企業にとっても将来のユーザーとなる新しい世代に対する洞察を得られるものなっていると思っております。 ワークショップのアウトプットを見るだけでなく、これらの若い世代とともに、またこれらの世代のためにデザインすることは、新しい習慣や世代間の違いを理解するうえで必要不可欠です。
また、企業にとって若い才能を発掘できる機会でもあります。

本年もソニーとコラボレーションできたことを光栄に思いますし、"人に寄り添うテクノロジー"の新たなシナリオを今後も一緒に模索していきたいです。

写真/資料:ミラノ工科大学提供