ライフシミュレーター（Life Simulator）は、過去と現在の複合的なデータからその人のあらゆる可能性を算出し、起こりうる本来の姿を提示してくれるサービス。
無数の小さな光が画面に散りばめられている。
パソコンの起動音のような音とともに、ライフシミュレーターが反応。壁に散りばめられていた小さな光の集合体が集まって泡の塊のような形となる。

「こんにちは。ライフシミュレーターにようこそ。」
「あなたの未来の可能性を2050年現在からシミュレートします。」
「では早速、はじめましょう。」

ライフシミュレーターが話している間、光の塊も人の形のように変化し、両手を動かしたり体をひねったりする動きをする。

「あなたの情報を一時的にお借りして解析します。」
「あなたの潜在的な欲求や、未発掘の才能も導き出します。」

光の塊から、小さな光が1点だけ光る表示に切り替わる。

「解析が終わりました。」
「これらのデータを基に、あなたの人生の可能性をシミュレートしました。」
「中心から枝のように伸びるのは未来へ広がる人生の分岐です。」

小さな光の点から光の線が枝分かれし、回転しながら立体的に広がっていくと、球体のような形になる。

「より詳細な予測のため、あなたが人生で大切にしたいテーマを選んでください。」

球体の12時方向に「創造」、3時方向に「愛」、6時方向に「貢献」、9時方向に「自然」の文字が表示される。
サービスのユーザーは、自分で大切だと思うテーマを選べる。
ポンという音とともに、「創造」がゆっくりと丸で囲まれ、ピッという音が鳴る。

「『創造』ですね。」
「例えば、静けさをデザインするサイレンスデザイナーになって、雑音で溢れた街に静寂をもたらす人生はいかがでしょうか？」

丸で囲まれた「創造」の文字が消え、「創造」の枝分かれしている光の線だけがまばゆく光り、クローズアップしていく。
枝分かれしている光の線のところどころに「マインドフルネスを学ぶ」や「サイレンスデザイナーになる」などと表示され、そのそばにイメージ映像を映した球体が浮かんでいる。光の線の枝分かれを、まぶしい光がなぞって先へ進む。
枝分かれしている光の線が2050年から始まる年表のように変化し、街の夜景や、夕日を前にたたずむ人のイメージ映像を映した球体が、枝に実る果実のように次々と浮かび上がる。

「メンタルヘルスの需要は2050年以降も継続して高まります。しかし、心の安らぎに重要な静寂をデザインする仕事はまだ存在していません。」
「あなたの「静寂」に対する独特の感性を生かして、この業界の第一人者として活躍してみませんか？」
「多くの人に心の安らぎを与えることで、社会関係資本が増加し、あなたの仕事にも変化をもたらします。」
「それにより静寂をテーマにした宮殿のAR建築家になる可能性も見込まれます。さまざまな創造の領域を横断するクリエイティブな人生になるでしょう。」

2070年前後で止まっていた光の線はさらに枝分かれを続け、2080年以降も新たに枝分かれをしながら先へ進む。
年表に変化した部分が徐々にズームアウトしていき、再び光の球体のような形になる。

「いかがでしたか？」
「どんな時でも、あなたの人生を最大化できるチャンスがあります。」
「そして、決断するのは常に自分自身です。」
「よりあなたらしい人生を送ってください。」

光の球体が回転しながら語り続け、話し終わったあとに静かに消える。