α7/RX series
世代を超えて
価値を深める
ユーザーに永く愛されるカメラをつくるために。目指したのは、カメラの進化により新しい撮影体験を提供しながらも、
一貫したユーザビリティーの追求と愛着を深めるデザインへと深化させること。ソニーの新たな挑戦は、
技術とデザインの力で、世代を重ねるごとにカメラの価値をより深めていくことでした。
カメラの価値を最大化するために
誰もが美しい写真を手軽に撮れるように、ソニーは「高画質」と「撮る道具」として欠かせない要素を、一切の妥協なく小型化することに挑戦してきました。デジタル時代の一眼カメラはどうあるべきか、スマートフォンが普及するなかでコンパクトカメラの価値とは何かを再定義するため、カメラの原点に立ち戻り、レンズ、ファインダー、グリップなど個々の要素とその本質を抽出。ユーザーが求める撮影スタイルに合わせて、最大限のカメラ性能を、最小限のボディへと凝縮しました。高画質と小型化を両立し、新たな撮影体験を可能にしたデジタル一眼カメラα7シリーズとコンパクトデジタルカメラRXシリーズは、その誕生とともに多くのユーザーに高く評価されました。
体験を進化させながら価値を深める
カメラは同一ブランドを継続して買い替えるユーザーが多く、次世代機を開発するときには、性能や機能を進化させつつも、操作性やデザインアイデンティティーを担保する必要があります。しかし、新たな機能を付加すれば内部構造が変わり、必然的にボディサイズも大きくなります。機能を優先させるあまり、ボディを大きくし形状を変えてしまえば、慣れ親しんだ操作感やデザインが損なわれてしまいます。新たな撮影体験を提供しながらも、カメラへの愛着を深められるように、ソニーは技術とデザインの力によって初号機と同じサイズや佇まい、操作感を貫いた次世代機の開発に挑みました。そして世代を重ねるごとに価値を深めていく、永く愛されるカメラのデザインを目指しました。
デジタル時代の
一眼カメラを再定義
フィルム時代の35mm一眼カメラは、誰にでも使いやすい手に収まるサイズが主流でした。デジタルカメラの時代になり、いつのまにか
「35mmフルサイズ=大きくて重い、使いこなすのが難しい」という概念が定着しました。α7はその概念を覆し、誰もが様々な撮影シーンで
いい写真を撮れるようにミラーレス一眼カメラの小型・軽量化を追求。デジタル時代にふさわしい35mmフルサイズ一眼カメラの再定義を目指しました。
継承と進化が導く、必然のフォルム
α7の次世代機となるα7 IIでは、Eマウントレンズはもちろん、マウントアダプターを通して多彩なAマウントレンズの描写力を味わいたいというユーザーの要望に応えるため「5軸手ブレ補正機構」の搭載に挑みました。しかし、そのためには、手ブレ補正ユニットを内蔵することで増してしまうボディの厚みを抑える工夫と、大型レンズに対応するためのグリップの強化が不可欠でした。また一瞬のシャッターチャンスを狙う一眼カメラユーザーにとって、カメラの操作性はとても重要な要素。初号機を使っている方も迷わず操作できることが絶対条件でした。そのため、初号機から一貫したユーザビリティーを担保しつつ、ボディの厚みやグリップ形状を再検討する必要がありました。
小型・軽量化の限界に挑戦したα7初号機は、すべての操作ボタンやダイヤルが小型ボディに最適化された一切無駄のないレイアウト。α7 IIでは、一見、同じように見えながらも内部構造を一から見直し、操作性を徹底的に検証。初号機と同様にコンマ1ミリ単位でボタンやダイヤルの位置を検討し、一眼カメラとして必然的に導かれる位置に再レイアウトしています。またレンズの光軸上に配置されたファインダーユニットは、無駄なくシンプルにデザインされた造形を継承しつつ、レンズマウントとの造形的な関係性を再度吟味し、レンズを装着したときに一体感が生まれる傾斜角度やバランスを追求。一眼カメラとしての佇まいを変えることなく、細部にわたるデザインの深化を遂げています。
可能性を追求したデザイン
α7では、ミラーレス一眼カメラの可能性を最大限に追求し、ソニーならではの革新的なセンサー技術とカメラの本質的な要素を融合させることで、新たな映像表現を生み出す道具の創造を目指しました。また、すべての機種でアイデンティティーを一貫させることで、撮影者の狙いや機能によってモデルを選べるようにしています。ユーザーの方には、是非とも小型・軽量だけではない、それぞれのモデルの特徴を生かして、新しい映像表現にチャレンジしていただきたいですね。さらにそのフィードバックを取り込むことで、ユーザーと一緒にα7シリーズを成長させていきたいと考えています。
統括課長 湯山
目指したのは、
手のひらにのる最高画質
「最高画質を、手のひらに」をコンセプトに、コンパクトカメラの常識を超える35mmフルサイズの大型イメージセンサーと
大口径レンズを小さなボディに搭載したRX1。最高画質にふさわしいデザインを追求して導き出されたのは、無駄を徹底的に削ぎ落とし、
カメラとしての普遍性を備えたオーセンティックな造形。水平・垂直を基調とした、撮る道具としての精緻な佇まいでした。
進化の先にある、変わらぬ佇まい
最高画質のカメラだからこそ、厳密なフレーミングによる作品づくりを愉しみたい。こうしたユーザーの想いに応えるため、RX1の次世代機RX1R IIで挑んだのは、凝縮されたボディにさらに電子ビューファインダーを内蔵すること。初期の試作機は、RX1よりもボディサイズが2割近くも大きく、同じサイズ感を維持することは不可能に思われました。その限界を突破するためにカメラの内部構造をすべて刷新。レンズ鏡筒の位置をセンター側にずらすことで、ファインダーを組み込むスペースを確保。またカメラの天面部分に収まるように、ファインダーの接眼部が沈胴する仕組みを新たに開発。ファインダーを小型ボディに凝縮し、初号機と変わらない一貫したコンセプトを受け継いでいます。
RX1のダイヤルレイアウトは、もともと動かす余地がないほど緻密に設計されているため、RX1R IIでファインダーを内蔵すると連鎖的にレイアウトが変わってしまいます。初号機で慣れ親しんだ操作性を損なわないためには、ミクロン単位でレイアウトを調整する繊細な作業が求められました。またレンズ位置の変更は、カメラの印象にも影響するため、ソニーロゴやグリップ幅のバランスを何度も調整することで、道具としての精緻な佇まいを再現。使うほどに愛着を深められるカメラであるために、エンジニアとデザイナーによる徹底したこだわりが、すべてのディテールに隠されています。
妥協なき高画質を
ポケットに
スマートフォンの写真では満足できないユーザーに本格的な写真表現の楽しみを提供するために、コンパクトカメラを再定義することを目指したRX100。
1.0型の大型イメージセンサーと大口径のレンズによる美しいぼけ味と高い解像度を、究極の小型サイズに凝縮。細部に徹底的にこだわることで、
カメラらしい表情と先進性を両立させた、「ポケットサイズの高画質」が誕生しました。
コンパクトカメラの原点であり理想
RX100シリーズはすべてのモデルを通して、「ポケットサイズの高画質」というコンセプトを貫き、常に性能を進化させつつ、一切妥協することなくポケットサイズに収めることを目指しました。RX100 IIでは、液晶モニターをチルト式に変更し、RX100 IIIでは電子ビューファインダーを内蔵。さらにRX100 IVでは、4K動画やハイフレームレート動画の撮影にも対応し、常に新しい撮影体験をユーザーに提供し続けています。
RX100 IIIの開発当初、極限まで小型化されたボディには電子ビューファインダーが入る寸分の隙間もありませんでした。そのため、内部構造だけでなく、基本技術そのものを見直すことから着手。既存のパーツをミクロン単位の精度でチューニングし、ファインダーの光学性能に一切妥協することなく極限のサイズに凝縮しました。またファインダーの形状や質感にも徹底的にこだわり、カメラ本体に沿ったなめらかな曲線でデザインし、ボディと同じ質感に仕上げることで、RXシリーズの世界観にふさわしい高品位な佇まいを実現。ボディ正面に刻まれた1本のラインは、カメラとしての高い性能と先進性を表すアイコンとして初号機から継承しています。RX100シリーズはさらなる性能の進化を遂げながらコンパクトカメラの理想を追求し続けています。
常に疑うこと
カメラとして変わらない佇まいや操作性を提供し続けるということは、デザインを変えないということではありません。RXシリーズでも、新しいモデルをデザインする度に新たに見直すべき余地はないか、すべてを一から疑い検証しています。原型をそのまま継承するのではなく、より使いやすくするためにディテールのデザインを詰めなければ、ユーザーの求めるものに応えることはできません。こうして常に新たなことに挑み続ける姿勢こそ、ソニーデザインのあるべき姿だと思っています。
アートディレクター 高木
未来を見据えたUI設計
ユーザーインターフェース(UI)では、シリーズやモデルの垣根を超えて同じ操作性を提供するために、基本のオペレーティングシステムを共通化。
一貫した操作性をもたらすUIをデザインしています。また新たな機能が追加されても、ユーザーを迷わせることがないよう柔軟に対応できるように、
未来を見据えたプラットフォームとして構築しています。
使い慣れた操作感をつくる
UIデザイン
UIのデザインに一貫性を持たせることで、共通の操作性を実現。最小限のボタンで操作できるように基本設計されたUIにより、カメラごとに操作ボタンの数が異なっても、重要な機能にスムーズにアクセスできます。たとえばコンパクトカメラで撮影をはじめたばかりのユーザーが、ステップアップして一眼カメラに買い替えても同じ操作感で撮影できます。一方でαとRXを撮影シーンによって使い分けるような上級者にとっても、どちらのカメラでも使い慣れた普段通りの操作が行えるようになります。
また初級者と上級者では撮影時に必要とする情報が異なるため、シャッタースピードや絞り値を直感的に確認できる「クイックナビプロ」や、必要最小限の撮影情報のみを表示するシンプルなモードなど、複数のディスプレイ表示選択を用意。ユーザーのスキルや好みに応じた情報を提供しています。さらに、ファインダーを覗いての撮影時には、画作りの妨げとならないように必要な情報を絞り込みつつ、手元を見ずに素早く設定を変更できるよう配慮。幅広いユーザーの使用を想定し進化させることで、カメラのUIとして長期間使用できるデザインを目指しています。
撮影情報を表示
カメラの前後左右の傾きを指標で表示
前/後ダイヤルで絞り値を選択
コントロールリングで絞り値を選択
ユーザーの信頼をつかむ
機能やデバイスの変化に合わせて、カメラのUIは変わらざるをえません。しかし、ユーザビリティーを担保するためには、操作性を安易に変えないことが何よりも重要です。ユーザーからのフィードバックをもとに、意匠的ではなく機能的であることに徹し、より使いやすく進化させることで、ユーザーから信頼されるUIを提供していきたいと思っています。
デザイナー 唐澤
新たな撮影体験を提供するために進化し続ける、
ソニーのα7シリーズとRXシリーズ。
一貫したユーザビリティーとデザインの追求が、
世代を超えてカメラの価値を深めます。
スタンダードをつくる
新たにカメラを開発するときには、性能や機能を向上させるだけでなく、これまでソニーのカメラに慣れ親しんでくださっているお客さまの気持ちを無にしないことが大切です。カメラの操作性だけでなく、佇まいや感触まで含めて、「撮る道具」としての使い勝手を常に進化させることで、ソニーのカメラに対する信頼を深めてもらえると思います。そのために、モデルが変わるごとに変化し消費されてしまうデザインではなく、新たなスタンダードとなるカメラづくりを目指しました。
チーフアートディレクター 山田