SONY

Feature Design

Life Space UX

空間の可能性を広げ、
日常を豊かにする 

空間そのものを生かして新しい体験を創出する、
ソニーのコンセプト「Life Space UX」。
暮らしにさりげなく溶け込みながら日常を豊かにする、
既存の商品の概念にとらわれない
新しいプロダクトの開発に挑みました。

日常空間を生かして、
新たな体験をつくる

Life Space UXは、日常の心地よい空間をそのままに、壁や床、テーブルなど空間に関わる要素を生かして新たな体験を創造するというコンセプトです。2014年にはリビング空間の壁に大画面映像を出現させ、あたかも別世界にいるかのような映像体験を提供する4K超短焦点プロジェクターを開発。

2015年からは、リビングに限らずダイニングや寝室、書斎などのさまざまなスペースに着目し、コンセプトを展開。今ある空間を崩すことなく馴染みながらも、起動した瞬間にその場の雰囲気や過ごし方に変化をもたらし、日常を少し豊かにする。そんな新しいプロダクトの開発に取り組みました。

新たな体験を生む
プラットフォームになる

Life Space UXのプロジェクトには、人と空間、家具とAV機器の間に存在する全く新しい領域のコト、モノをゼロから探るチャンスがあります。デザインとしては、それらが介在することで起こるであろう体験を想定しながらも、ユーザーが新しい使い方を発見する余白をあえて残しています。さまざまなプロダクトを通し、空間に寄り添う新たな体験を生み出すLife Space UXは、これまでにない形で暮らしを豊かにするプラットフォームになると考えています。

チーフアートディレクター 田幸

Portable Ultra Short Throw Projector

日常をアンビエントに
演出する

ポータブル超短焦点プロジェクターは、小さなボディにバッテリーとスピーカーを内蔵。
壁やテーブルなど、さまざまな場所に写真や時計などの多様なコンテンツを投写でき、
身近なパーソナルスペースをアンビエントに演出します。
日常の幅広い空間で使えるよう、手軽に持ち運べてどこに置いても違和感なく馴染む、
心地よいサイズ感と佇まいを目指しました。

使い方を定義しない形

テーブルに置いたり専用のスタンドに取り付けたりと、設置場所や用途についてユーザーの自由な発想を促すプロジェクター。どのような空間にも収まりやすく、かつ外観によって特定の使い方を押しつけないように、ベーシックな正方形のフォルムにしました。さらに角を丸めて、壁に投写している状態から本体を回転させれば床やテーブルにも投写できることを想起させるよう工夫。既存のプロジェクターとは異なる価値を提供する全く新しいプロダクトを造形で表現しました。

ボディは片手でつかみやすい厚みに抑え、手になじむようレザーテクスチャーを施しています。さらに特殊なクリアコートで汚れを防止。色合いも住空間に馴染むよう、あたたかみのあるナチュラルホワイトを採用しました。また、スピーカーの音響や光学ユニットの放熱、各種センサーのために必要な開口部をひとつのメッシュでくるむことによってその存在感を極力抑え、さりげない佇まいを演出しています。

スペックでは語れない価値を
創造する

Life Space UXのプロダクトの本質は、数値などのスペックでは語ることができません。数値化できない世界観やその場の雰囲気など、実際に体験してみて初めて分かるような価値を提供します。そのため基本性能を高めることはもちろんですが、日常空間に馴染ませながら体験をどう演出するかという観点で形、素材、色、操作性をデザインしています。

アートディレクター/デザイナー 塩野

Glass Sound Speaker

音と光で心地よい場をつくる

インテリアと調和しながら、透き通るような高品位な音と光で空間を満たすグラスサウンドスピーカー。
音楽と光を自由にコントロールでき、それを囲んで会話したり食事を楽しんだりと、
家族や友人と一緒に過ごす心地よい空間を提供します。
360度に広がるクリアな音質をテーブルトップサイズで実現するとともに、
食器やカトラリーなどが並ぶテーブルにさりげなく溶け込む佇まいに仕上げています。

テーブルに溶け込む「音の器」

形状はシンプルな円柱形で「音の器」をイメージしたデザイン。音を奏でる部分には有機ガラスを採用し、より住空間に馴染むようにしています。フィラメントLEDの光の色も、中音域が特に美しいという音質の特長に合わせて色温度を調整、あたたかみと透明感を両立しています。さらに起動時の点灯の仕方にもこだわり、電源を入れるとろうそくのようにふわりと光が灯り、電源を切るとゆるやかに消えるように演出しています。

素材や仕上げも、テーブルに置かれた時に自然に見えるものを採用。ボディは、食器と並んでも違和感なく音響的にも優れたアルミ素材に薄いゴールドのアルマイト加工を施しました。そして底面はテーブルとの一体感を生むブラウンの合成レザーでくるみ、持ったときや置いたときの感触にも配慮し、日常の道具のような佇まいや質感を追求しています。また、電子的な音で世界観を壊さないよう、操作音はアコースティックギターの音を採用。実際にプロ奏者に演奏してもらいスタジオで録音するなどサウンドデザインも徹底的にこだわり、細部まで作り込みました。

心地よい日常を彩る、
愛着ある存在に

昨今のインテリアとファッションの関係はボーダーレスで、人々は自由な発想で生活を楽しんでいます。ポータブル超短焦点プロジェクターとグラスサウンドスピーカーは色や素材、仕上げにおいてもAV機器然とした雰囲気を払拭し、自然界にヒントをもらいつつ、住空間にもひとの手にも馴染み愛着がわくものに仕上げました。多様なライフスタイルや住空間に映えるプロダクトとして、インテリアにこだわりのある人たちにも手に取ってもらえたらうれしいです。

デザイナー 深松

LED Bulb Speaker

空間に音楽を灯す

普段使われている電球と交換するだけで日常空間にさりげなく溶け込み、
やさしい光とともに音が降りそそぐ新しい音楽体験を提供するLED電球スピーカー。
既存の電球の形をそのまま生かすことで、ユーザーがさまざまな場所で自由に使えるデザインを追求しています。

光と音のバランスの追求

一般的なLED電球のサイズに収めながらも照明とスピーカーの両方の役割をバランスよく果たすため、デザイナーとエンジニアが協力して構造を検証。スピーカーは音質を最優先するため前面に配置。その一方で、点灯時にスピーカーの影が周囲に落ちないように発光部を覆う透明グローブに光の屈折角をコントロールするための光学設計を施し、照明として十分な機能を発揮しています。さらに、具体的な使用シーンを想定して光の色を調整。一般的な昼光色のように部屋全体を照らすための明かりではなく、音楽を聴きながら読書をしたり、家族とゆったり過ごすようなときに心地よい、あたたかみのある色に調光しました。

自由な発想で音楽に包まれる空間を
創り出してほしい

LED電球スピーカーは、独り暮らしの男性や女性がくつろいでいるシーンや、家族で食卓を囲むシーンなど、さまざまなシチュエーションを開発段階で徹底的に検証。また、ユーザーがこの商品をどのように知り、店頭で手に取り、家でパッケージを開けて使用するのか、商品との出会いから実際に使われるまでを、さまざまな専門性を持ったデザイナーが集まって議論しました。「音楽を灯す」という新しい感覚で、新たな空間の楽しみ方を見つけてもらえればと思います。

デザイナー 楠木