SONY

Vol.16 自分で枠を作らない 悩んだり迷ったら まずやってみる:神谷 百合香(渉外・通商部)

仕事もプライベートも充実させる働き方に惹かれて

 私が就職活動を始めた当時は、男女雇用機会均等法が施行されたばかりで、面接を受けると「結婚後も働き続けますか?」といったことをよく聞かれました。しかしソニーは違いました。OB・OG訪問でソニーに勤めている先輩を訪ねたとき、入社後は海外赴任の機会があることや、いろいろな仕事にチャレンジできることなどを話してくれました。心から仕事を楽しんでいるのが伝わってきましたし、趣味の話もされていて仕事もプライベートも充実している印象をすごく受けました。そうした話を聞いているうちに、私もこの会社で働いてみたいと思うようになりました。

 また、私は日本だけでなく世界各地に行ける仕事がしたいと考えていたので、グローバルにビジネスを展開していることも魅力的でした。この会社ならやりたいことが実現できるのではないかと思えたのが、ソニーに入社を決めた理由です。

その人の生き方や働き方を認め合うのが
ソニーの企業風土

 入社後は、国際企画部という渉外を担当する部署に配属されました。社外の団体との窓口が主な業務でしたが、逆に社内とのやり取りは少なかったため、もっとソニーのことがわかる仕事がしたいと思い、その後は通商部に異動しました。そこでは関税法を担当。業務には法律的な専門知識が必要で、海外とやり取りする機会もたくさんある部署でした。さらに数年後、アメリカに赴任することになりました。サンディエゴにある通商担当の部署で勤務したのですが、当時15~6人いたメンバーも、仕事相手も国籍は様々。アメリカ人とメキシコ人の混合チームで一緒に遂行したプロジェクトでは、それぞれ考え方や進め方がまったく違うので最初は戸惑いましたが、ソニーの多様性の一面を知るいい機会になりました。

 約4年間いたアメリカから帰国して間もなく社内結婚・妊娠・出産、1回目の育児休職を取得しました。そして数年前には、2回目の育児休職を取得。このときは、同じ部署の同僚数名の異動や赴任と重なったため、上司には大変申し訳ないタイミングとなってしまいました。しかし「おめでたい話なんだから、大丈夫、大丈夫!」と言ってくださり、全面的にサポートしていただきました。また、子どもが生まれてからもなかなか保育園に入園できず復帰に時間がかかってしまったのですが、そのときも理解いただいて問題なく休職期間を延長することができました。

海外赴任中の様子。アメリカ サンディエゴにて

子育てしながら働くためには、
日頃のコミュニケーションが大事

 職場に復帰した後も、同僚にサポートしてもらうことが多々あります。下の子がまだ保育園なのでお迎えに行かなければならず、会社にいられる時間が制限されるため、私が出席する会議を早めに設定してもらったり、会社にいる間に私がかかわる仕事を進めてもらったりと、どうしても周囲の協力が必要不可欠です。そのため、同僚とは普段からお互いにプライベートのことを話してコミュニケーションをとっておくことが大事だと思います。そうすることで職場内の理解が深まり、何かあったときにサポートし合えます。子育てしながら働く場合、やはり職場の理解が得られることはとても心強いです。もちろん私自身も、万一私がいなくても業務が滞らないよう心がけています。そのために、日頃からまめに情報をシェアしたり、急に会議を欠席せざるをえない場合を考えて準備をしたり、どうしても外せない会議がある場合は、事前に夫にスケジュールを空けておいてもらったり、親の予定を確保したりしていざという時は子どもをみてもらうようにしています。そういう意味では夫の職場の方々にもサポートしていただいているわけで、大変ありがたく思っています。

できないと思い込まずに、まずはやってみること

 女性が子育てをしながらキャリアアップしていくには、自分で枠を決めてしまわないようにすることが大切だと思います。もうこれ以上無理だと自分で思い込んでしまい、新しいチャレンジやキャリアアップを諦めてしまう女性が多いような気もしています。私自身も部長への昇格の話を頂いたときはとても悩みました。そんなとき、ある先輩から「とにかくやってみて、その後また考えればいいじゃない」と言われ、気が楽になり前向きになれました。悩んだり迷ったりしたら、まずやってみるということで良いような気がします。
 一方で女性をマネジメントする側も注意が必要だと思います。女性部下に気をつかい過ぎて任せるべき仕事を勝手にセーブしてしまい、結果的にキャリアアップの芽を摘んでしまうケースもあるからです。判断が難しいですが、本人がやりたいと思っているかどうかをしっかり把握するためにはよくコミュニケーションをとることだと思います。そして、ちょっと背中を押してあげること。女性はよく『完璧にできないと出来ますと言えない人が多い』といいます。でも実際は完璧な人などいないのですから、とりあえずやってみるくらいでも良いのかもしれません。また周りからも、できそうなのに「出来ない」と思い込んでいる人がいたら、「いざとなったらフォローするから」と声をかけて背中を押してあげれば、前に進めるのではないかと思います。

その時できることを精一杯やれば、
結果は自然とついてくる

 現在私は、渉外・通商部の部全体を統括するシニアゼネラルマネジャーを務めていますが、以前から明確なキャリアプランを持っていたわけではありません。自分でできることをその時々で精一杯やり続けてきた結果、できることが広がり、いまのポジションにたどり着いたと思います。また、結婚したから、あるいは子どもが生まれたから仕事を辞めようと考えたこともありません。仕事も育児も、とにかく自分にできることを精一杯やるだけです。今はまだ下の子が小さいので出張が頻繁にできないなどの制限もありますが、会社の内外の状態もどんどん変化していますし、その時々のタイミングで、仕事の内容や幅を広げていければと思っています。ソニーでできる仕事は、まだまだいろいろとあるはずです。常に自分にできることを見つけながら、精一杯チャレンジしていきたいと思います。