第4回と第5回では、コロナ禍の逆境を乗り越えて活躍するグループ各社の社員7名にインタビュー。
状況に応じてリモートツールを活用するなかで、
リアルの機会を失ったことによる課題を感じつつも新たな働き方にメリットを見出していました。
常態化しつつある新しい働き方の「いま」と「これから」に迫ります。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)
ワールドワイド・スタジオ 品質保証部
ダビナ・マッキー
<業務内容>
ゲーム開発スタジオネットワークの中で、品質保証やサポートサービスなどをグローバルの観点で統括。
私たちはグローバルチームなので、ビデオ会議でのコミュニケーションに慣れており、リモートワークの推進が加速してからも、ワークスタイルやコミュニケーションにはあまり変化がありません。もちろん、ビデオ会議が副次的なコミュニケーションであることは理解しているため、以前はマネジャー達が各地域に出張して、チームメンバーと少なくとも年に2回は直接の対話をするようにしていました。しかし、現在はビデオ会議が主要なコミュニケーションツールとなっています。
現在、チームが抱える最大のチャレンジは、ワークライフバランスをどう取るかということです。オフィスであれば、デスクから離れるだけで休憩時間を取れましたが、テレワークの場合はスケジュールが完全に埋まることもあります。このように前例のない事態の中で苦労もありますが、それぞれの責務を確実に果たせるよう努めています。
リモートで働くことが、何らかの形で“ニュー・ノーマル”になることを期待しています。もちろん、オフィスで働くことが必要なチームもありますが、そういったチーム以外の社員が部分的にでもリモートで働ける体制になればよいと思います。
テレワークのメリットとして、これまでと同じスペースや設備が不必要となるなど、設備投資の削減があげられます。さらに、柔軟な勤務体制を採り入れられれば、仕事とプライベートのバランスを社員それぞれが取れるようにもなります。
エクササイズや食生活の改善を行い体重が減るなど、健康的なライフスタイルを送っています。また、有給休暇を活用し、ソーシャルディスタンスを取りながら、友人や家族とこれまで以上に多くの時間を過ごせています。このように、リモートワークによってすべてのSIE社員がさまざまな恩恵を享受している状況を、ポジティブに捉えています。
ソニー・ミュージックレーベルズ
第3レーベルグループ EPICレコードジャパン オフィスRIA制作部
隈部 晋作
<業務内容>
宇多田ヒカル、小袋成彬をはじめとしたEPICレコード オフィスRIA制作部所属アーティストの宣伝(A&R)業務。
また兼務として6月に立ち上がった新規事業ソーシャルクリエイターレーベルBeにおいてのクリエイターマネジャー業務。
宣伝(A&R)業務における打合せは、基本的にすべてリモート会議に移行しました。また、宣伝企画のアイデアも“おうち時間”を意識したものに変わり、広告の打ち所なども以前と変わってきています。クリエイターマネジャー業務に関しては、新型コロナウイルスに注意しつつ、無観客ライブの実施やオンライン会議システムを利用したファンとの交流企画など、クリエイターの稼働に合わせつつ、今だからできることをやっています。また、自宅での作業効率アップのためのパソコン周辺機器(リモートワーク用のカメラやスマホ用の三脚、マウスパッドなど)の充実も図りました。今後、家に作業用のデスクを導入するかも検討中です。
非常に難しいですが、リモート化が進んだことによってよい発見もありました。たとえば、「全員が1つの会議室にいなくてもよい」ことは、今回のリモート化で明確になりました。そういった部分は、アフター・コロナでも継続される働き方になると思います。
ただ、逆に今不便に感じている部分は、できるだけ以前のやり方に戻す動きになると思いますし、以前と今のものがハイブリッドされた働き方になっていくのかなと思います。
個人的には、人生を見つめ直す期間になっています。当たり前にできていたことができないもどかしさや、立ち止まることが増えたためか、考える時間が増えました。また、3食しっかり食べるようになったせいか体重も増えました(笑)
ソニーグループ
R&Dセンター Tokyo Laboratory 19
小林 由幸
<業務内容>
ディープラーニング関連の研究開発や、研究開発効率化のためのツールの開発。
私の所属部署では、以前から積極的にコミュニケーションツールを活用していましたが、今回のコロナ禍でますますそうしたツールの利用が加速した印象があります。ネットを介したコミュニケーションでは、情報の送信や自動化、アーカイブなどができ、対面コミュニケーションにはない優れたメリットがたくさんあります。こうしたメリットのおかげで、メンバー全員がほとんどリモートワークを行うようになっても、これまでと変わらずに業務を継続できています。もちろん業務内容にもよりますが、少なくともソフトウェア系など情報のやり取りで完結可能な業務であれば、コミュニケーションツールの使いこなし次第で出社抑制のデメリットは限りなくゼロにできると思っています。
かつて社内のコミュニケーションがメール中心だったころと比べると、コロナ禍でMicrosoft Teamsを中心としたコミュニケーションツールの利用が全社的に定着しつつあることは、大変ポジティブに受け取っています。Microsoft Teams会議ですと、「プレゼン資料が見づらい」、「広い会議室で声が聞き取りづらい」といった問題に悩まされることもないですし、オフィスや会議室の移動もないので快適です。
一方で、まだ使いこなしが不十分だと感じることもあります。私の所属部署では当然になりつつあるチャットでの活発な議論や、たわいもない雑談が行われていない部署も見受けられます。私の経験則ですが、より積極的なコミュニケーションツールの活用によって、コミュニケーション不全は解決できると思います。今回の変化によって、一人ひとりがより優れたコミュニケーションツールにアンテナを張り巡らせ、それらを使いこなすことが当たり前の文化として定着し、世界最先端の働く場であると胸を張って言えるような環境が実現されることを期待しています。
私は根っからの家好きですので、家に引きこもることが圧倒的に増えました。買い物も日用品や食料品を含め、極力インターネットで済ませ、今やゴミ捨て以外で家から出ることはほとんどありません。プライベートに関しても、より先進的なライフスタイルに近づけることができたと感じています。現状、こういったライフスタイルに違和感を覚える方のほうが多数派かもしれません。しかし、実際にこの生活に慣れてみると、いかにこれまでの物理的移動を伴う生活が非効率だったのか、浮いた時間を先端ツールによるコミュニケーションに費やすことで、いかに密度の濃い充実した毎日を送ることができるのか、ということを痛感しています。
また、娘たちに、楽しそうに仕事をしている姿を見せることもできました。「仕事というのはこんなに楽しいものなんだ」ということを伝えられるという教育的側面と、今回初めてわずかながらに父の威厳を示すことができたという意味で、大変ポジティブなインパクトがあったと感じています。