革新的なAI「グランツーリスモ・ソフィー」
近年、チェスや将棋、囲碁などの複雑な意思決定を必要とするゲームや、その他のリアルタイムのマルチプレイヤー戦略ゲームに至るまで、AIの歴史に名を残すようなブレイクスルーが生まれています。
こうした中、ソニーグループは、世界最高峰のドライバーをも凌ぐ超人的AI「グランツーリスモ・ソフィー」の開発を発表しました。この成果は、2月10日に発行された科学誌Natureにて、「深層強化学習でグランツーリスモのチャンピオンドライバーを凌駕する」というタイトルで掲載されています。
グランツーリスモ・ソフィーは、AIの力によって新たなゲームやエンタテインメント体験を世界に提供できることも実証しており、こういった観点からもこれまでのゲームAIとは一線を画しています。
「グランツーリスモ・ソフィーはソニーグループ会社間のコラボレーションがあったからこそ成し得たことです。私たちはテクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニーとして、ゲーム体験をさらに充実させる新たなゲームAIエージェントを開発しました」。ソニーグループ会長 兼 社長 CEOの吉田憲一郎は、ビデオでこのように触れています。
また、ソニーグループでAI研究をリードする、ソニーAI 代表取締役 CEOの北野宏明は、今回の成果について次のように述べています。
「グランツーリスモ・ソフィーはAIの重要な発展であり、その目的は単に人間のプレイヤーよりも優れているシステムを開発することではなく、プレイヤーの技術と創造性を加速して次のレベルに引き上げることができる刺激的な対戦相手を提供することです。また、ソニーAIは、人間に取って代わるAIではなく、人々のクリエイティビティとイマジネーションの力を解放するためのAIを作ることを目指しています」
グランツーリスモ・ソフィーの特徴
グランツーリスモ・ソフィーの開発には、ソニーAIの研究者やエンジニアと、ソニー・インタラクティブエンタテインメント、そして「グランツーリスモ」シリーズを開発したポリフォニー・デジタルが一丸となって取り組みました。新たな深層強化学習プラットフォームでのトレーニングを通じてグランツーリスモ・ソフィーは、プレイステーション®4用リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』で世界最高峰のドライバーと競い合うために必要なドライビング・スキルを習得しています。
ポリフォニー・デジタル代表取締役 プレジデントの山内一典、そしてグランツーリスモ・ソフィーとレースを行ったトップドライバーのコメントからもわかるように、グランツーリスモ・ソフィーは、プレイヤーの体験を高めるために開発されました。
「グランツーリスモ・ソフィーの目的は、テクノロジーによって人間を超えることではなく、人に寄り添い、人を楽しませることです」
映像で見るグランツーリスモ・ソフィー
百聞は一見に如かずです。グランツーリスモ・ソフィーのドキュメンタリームービー、そしてトップドライバーとのレースの様子をぜひご覧ください。
今後の展望
グランツーリスモ・ソフィーは、それぞれの組織がプロジェクトの達成に向けて協業した、ソニーグループ独自の事例です。基礎的なAIの研究開発や、超現実的な実世界のレーシングシミュレーター、大規模なAIトレーニングのためのインフラストラクチャに関する専門知識を結集させました。
グランツーリスモ・ソフィーはソニーAIとしての初めてのプロジェクトです。今後、さらなる取り組みを皆さまにお伝えできることを楽しみにしています。