SH800 /
SP6800
医療環境の
トータルソリューション
ソニーが目指したのは、
未来の医療に貢献する新たな価値を生み出すこと。
それは単なる商品開発ではなく、
研究者の
ワーク
フローまで改善するトータルソリューションでした。
Interface Design
〈 SH800 / SP6800 〉効率化を追求した
自動セットアップ
セットアップの複雑なパラメーター設定もオペレーション上の障害となっていました。より多くの研究者が簡単かつ正確に機器を使えるようにするためには、見た目から受ける難しそうな印象をUI(ユーザーインターフェース)上でも取り除くことが必要です。そこで今回、ソニーのコンスーマー商品でも広く使われているウィザード形式を採用し、ステップバイステップで簡単に機器の調整を行えるようにしました。1画面で設定する機能や動作を絞り込み、イラストによる視覚情報を交えることで、専任オペレーターでなくても迷うことなくセットアップができるようにしています。さらに、チップパックのQRコードをPCの内蔵カメラで読み取り、使用するチップが正しいかどうかを判断できるようにすることで作業の正確性を高めています。
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QRコード付きの
チップバック -
PCの内蔵カメラに
QRコードをかざす -
適切な測定条件が自動で設定
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すぐに測定作業に入れる
色の意味を際立たせるUI設計
蛍光色素を用いる細胞研究では、色のひとつひとつに大切な意味があります。そのため、ソフトウェアの基本的なUIはグレー基調でデザインし、分析結果を示すグラフにビビッドな色を使用することで、個々の色素をわかりやすく表現しています。また、様々な機能を表すアイコンも、シンプルなモチーフを用いて一目で分かるように工夫しています。グラフに関しては、厳密なフォーマットをデザインすることで美しいレイアウトに仕上げました。研究者がグラフを再編集する手間を省き、そのまま論文に貼り付けて入稿できるようにしたことで、研究作業のフロー効率化につながります。
Communication Design
〈 SH800 / SP6800 〉無彩色という機能性
蛍光色素はもちろん、薬品の色やバイオハザードの警告色など、研究室にはさまざまな色があふれています。そのような環境下でパッケージの識別性を確保するため、カラーはあえて無彩色にしました。アイコン表示や数値も極力大きくすることで、どの面からも中身が一目でわかるようにし、薬品の取り違えなどの人為的ミスを未然に防ぐよう配慮しました。現場を想定したあらゆるシミュレーションを重ね、機能性や安全性を検証しています。
先進的な価値を体現する
統一された世界観
初めて参入する医療の領域。この市場においてソニーが提供する商品やその価値をユーザーにしっかり伝えるためには、他社との明確な差別化が必要でした。熟考の結果、商品をはじめパッケージやカタログ、Webに至るまで、商品を象徴するシルバー基調の素材色をベースに、各々の機能目的に最適化する形で一貫したコミュニケーションを図りました。商品がもたらす先進的な価値を、最先端の研究現場にふさわしい洗練されたシルバーの世界観によって演出しています。
医療機器・研究機器の展示会では全面ホワイトの展示ブースを設計し、シンプルでクリーンな空間により、商品そのものを際立たせるようにしました。海外の展示会でも同様のテーマで展示を行い、世界で統一されたメッセージを発信。一貫性のあるコミュニケーションで、医療関係者との確かな関係の構築を目指しました。
コミュニケーション」
フローサイトメトリー装置という初めての領域に挑戦するにあたり、コミュニケーションデザインにおいても、現場リサーチやインタビューなど一から現場を調査し、知ることから始め、そこから各タッチポイントで必要とされる機能を導きました。ソニーの提供する価値、信頼できる価値を、一貫したビジュアルイメージでお伝えできればと思います。今注目されている細胞分析・研究の進歩、新発見、医療へのサポートに、この装置が貢献できれば嬉しい限りです。
デザイナー 齋藤
先端医療の発展とともに、
常に進化が求められる医療向け研究機器。
このフローサイトメトリー装置の開発は、
そのはじまりにしか過ぎません。
未来の医療の大きな一歩となるように、
ソニーは歩みつづけます。
※本機は研究用機器です。診断および治療にはご利用いただけません
※QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
フローサイトメトリー装置のUIにおいて、蛍光色素の色はとても重要な要素です。そのため、装飾として安易に色を使うと画面に色があふれ、大事な色が埋没してしまいます。特にSP6800は32チャンネルまで色を分解し、これまで可視化できなかった細胞も分析できるため、UI上でも微細な色を識別させる工夫が必要でした。もしこの装置が、細胞研究の新たな発見につながり、医療の進歩に少しでも貢献できたら最高ですね。
デザイナー 宮澤