第5回では、前回に続き、コロナ禍の逆境を乗り越えて活躍するグループ各社の社員インタビューをお届けします。
大きく変わった働き方は、さらに今後どのように進化させていくべきなのか、各社員の言葉にヒントが感じられました。
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)
Technology Development group
ダニエル・ドゥ・ラ・ローザ
<業務内容>
フィルムプロダクションの技術およびイノベーション戦略を統括。デジタルカメラ、ポストプロダクション技術、次世代クラウドベースワークフロー、AI・機械学習、バーチャルリアリティ技術などを専門としている。
すべての会議がリモートに移行していることもあり、状況を共有・把握するための会議設定がこれまで以上に必要となってきています。私のチームは、技術開発を担当しているために検討・議論することが多くありますが、以前のように会議室にサッと入ってブレストできないのは大変です。
また、私たちのプロジェクトでは、現在の状況下で映像制作を継続実施できるような“リモートソリューション”にさらに注力しています。コロナ禍で、プロダクション側は新しい技術をこれまで以上に積極的に採用する傾向があるので、新しいテクノロジーの効果が体感できれば、今後も使用し続けてくれると期待しています。
現状で課題だと感じるのは、会議の合間などにスタジオ内を歩いただけで得られる“ヒューマンインタラクション”ができないことです。以前は、誰かを見かけて立ち止まって会話を始めるだけで、たとえば新しい技術について情報をもらえたり、直面しているチャレンジについて共有できたりしていましたが、現在はこうした機会が失われているように感じます。
一部の人にとってリモートワークは引き続き、働き方における選択肢の一つとなりうると思いますが、私には当てはまらないかもしれません。 現状では、私の仕事領域であるプロダクション技術開発は、リモート環境で行うために十分な品質を担保できていないため、フルタイムでリモートワークすることは難しそうです。
また、Employee Business Resource Groups*¹やMicrosoft Teamsを活用しながら、ほかのSPE社員がどのように新しいリモートワークスタイルを取り入れているのか、とても興味深いです。物理的に同じ場所でコミュニケーションできないとしても、コミュニティという感覚を持つ重要性を改めて感じています。
オフィスで働くメリットとして、パソコンの画面から離れて顔を合わせることが挙げられます。現在、多くのリモート会議が続き、疲弊している人もいるでしょう。将来的には、新しいテクノロジーが、リモート会議をよりリラックスして快適に実施できるような解決策を打ち出してくれるかもしれません。
*1 共通の関心を持ち、ダイバーシティ&インクルージョン活動に深い理解を示す社員がコミュニティを形成するプログラム
ランチで出かけることが少なくなったこともあり、料理を頻繁にするようになりました。これまで当たり前に通えたレストランの多彩な料理が食べたくなり、料理の本をいくつか購入して、レシピのレパートリーも増えてきています。
また、新型コロナウイルスと直接の関係はないのですが、ひとつ思っていることがあります。ソニーで働き始めた数年前には、片道1時間15分の通勤をしていましたが、最終的にSPEのスタジオのすぐ近くに引っ越しました。これは、人生を変えるほどのインパクトがありました。毎日失っていた約2時間を取り戻し、プライベートの時間に充てることができたのですが、こうした変化が今、長時間の通勤から解放され、リモートワークに移行している多くの皆さんに起きていることだと想像しています。
ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)
モバイルイメージングシステム事業部 MSI開発2部 3課
渡邊 翔太
<業務内容>
デバイス単体ではなくソフトウェアパッケージとして、SSSのセンサーをお客さまに使っていただくためのビジネス開発
何よりも、国内/海外、そして、社内/社外の差が縮まったと思います。オンラインでのコミュニケーションを上手に行うことによって時差を気にせずに全世界の人とつながれますし、「今までのやり方」に固執する必要はなく、試行錯誤と工夫のしがいがあると感じています。
今、心がけているのは、会議の中で1つでもおもしろい話をすることです。会議室の景色や参加者の服装を目にすることがないオンライン会議でも、この一工夫を行うことで後から会議の内容を思い出しやすくなると思っています。
従来のスタイルでは、勤務時間は出社から退社までの一塊として取るもので、家事などはその前後に行っていたかと思います。そのため、海外との時差の関係で朝晩に設定された打合わせに出るためには、家事を放置する必要がありました。しかし、テレワークによって、たとえば会議の裏で洗濯機を回しておくなど、これまでは帰宅後にしていたことを、勤務の間に済ませておけるようになりました。
こうしたメリットがある一方で、運動不足やモニターの見すぎなど、気を付けないとテレワークによって健康を害してしまうこともあります。「時間配分の自由度」を最大限活用して、仕事・家庭・休憩に効率よく時間を割当てる、従来以上に「時間の使い方」が問われる世の中になるのではないかと考えています。
子どもに、「仕事」に触れる機会を作れたことがよかったと思っています。親子間・夫婦間ともに、「お互いが日中どのように過ごしているのか」を相互理解できました。特に、緊急事態宣言期間中は子どもの学校が休校かつ夫婦ともにテレワークだったため、午前と午後で書斎・リビング担当を交代し、リビング担当者は子どもの面倒を脇で見ながら仕事を行いました。
子どもも自分たちなりに「自分の業務(宿題)」と「家庭への貢献(両親の仕事を邪魔しない)」を両立するという、21世紀の働き方をOJT(On the Job Training)できたのではないかと勝手に解釈しています。また、ファミリーデー*²でもなかなか見せることのできない、「お父さんが仕事をする姿」に触れて、将来、ソニーの仕事に興味を持ってもらえればと期待しています。
*2 ファミリーデー:社員の家族を職場へ招待し、仕事や職場を知ってもらうイベント
プラウドライフ 管理部(総務担当)
柳瀬 令子
※プラウドライフは、ソニーフィナンシャルグループ(株)傘下のソニー・ライフケアグループにて有料老人ホームなどの介護事業を運営する会社です
<業務内容>
28拠点の老人ホーム等の運営に必要な物品の調達や、お客様からの相談の受付。昨年から再開したホーム新設プロジェクトへの参画など。
コロナ禍の中、24時間365日休むことなくご入居者の生活を支えているホームのスタッフが、不安なく運営に専念できるように支援するのが、本社の最も大切な役割と考えています。以前はホームに出向いて業務上の打合せをすることも多かったのですが、今では感染リスク抑制の観点から現場でのやり取りが難しくなり、もどかしさを感じることもあります。
しかし、ウェブ会議の活用や、ホームの運営を直接支える本社事業部のエリアマネジャーとの連携などにおいて工夫をしながら、現場との日常のコミュニケーションを丁寧に行っています。また、感染予防のための衛生用品を万全に配備するなど、安定した運営基盤の一端を担えるよう意識しています。
思ってもみなかったコロナ禍でしたが、タブレット端末を用いたご入居者とご家族とのオンライン面会の導入やウェブ会議システムの活用進展ができたことなどは、ポジティブにとらえています。全ホームのコアスタッフと本社による毎年恒例の会議を、今年5月は初めてウェブ会議形式で行ったのですが、ホームと本社との往来が制限される中、モニター越しでも同じ価値観を共有できたことで社内の一体感が強まったと感じました。
ウィズ・コロナの中でも、ご入居者のその方らしい生活をサポートするというホームの役割は変わらないと考えています。当社として介護サービス品質高水準化の取組みをたゆまず続けるとともに、ソニーのテクノロジーが、日々忙しく働いているスタッフの業務効率化やご入居者の生活をより豊かなものにする観点で生かされることを期待しています。
休暇から復帰後の子育てとの両立で職場に迷惑をかけてしまうことへの不安があったのですが、上司が「何も変わらずそのまま戻ってきてくれればいいよ」と言葉を掛けてくれるなど、周囲の理解と支援のおかげで、復帰後も無理なく仕事と育児の両立ができています。
直近のコロナ禍ではテレワークを中心に業務を進めています。保育園が休園になった息子がウェブ会議に乱入してくるなどハプニングもありますが…、在宅でも仕事ができる環境が整備されていることは本当に有難いと思っています。
当社の本社で産休育休から復帰したのは私が初めてのケースでしたが、ウィズ・コロナの環境下での働き方や業務のあり方の検討や実行においても、社内をリードする存在になれるよう頑張りたいと思っています。
ソニー R&Dセンター
Tokyo Laboratory 19
早川 顕生
<業務内容>
ニューラルネットワークライブラリの開発やディープラーニングを利用したコンテンツ生成に関する研究。
もともと、ノートパソコン一つで作業可能な環境を構築していたため、作業場所がオフィスから自宅に変わっても、そこまで不便を感じませんでした。むしろ、ミーティングが完全にオンラインで開催されることで会議室への移動時間が無くなったため、時間を効率的に使えるようになった面もあると思います。
私のチームでは、活発なチャットに加えて、毎日カメラオンでのミーティングを行う機会を設けており、個人的には非常に気に入っています。こうした取り組みによって、チームで仕事をしている意識を損なうことなく、テレワークができているのではないかと感じています。
また、月に一回程度の頻度で、オンラインでゲームなどをして親睦を深める取り組みをチーム内で開始。この親睦会には、若手だけでなくマネジャーも含めて、毎回10人程度のメンバーが参加しています。顔を合わせる頻度が減り、関係が疎遠になってしまいがちなテレワークの中で、メンバー同士のコミュニケーションを上手に促進できていると感じています。特に、新入社員も楽しんで参加してくれている様子を見ると、いきなりテレワークから社会人生活が始まってしまった彼らにとっても、チームになじむためのよいきっかけになっているのではないでしょうか。
それぞれの社員が、リモートで仕事できるような働き方が普通になっていくのではないでしょうか。これによって、家族との時間が増えるのは望ましいですし、上司が子どもとのコミュニケーションを通じてリフレッシュしながら仕事に取り組んでいる様子などを垣間見ると、自分も将来家庭を持った時にはこういう働き方ができるといいなと思います。
一方で、リモート化が当たり前になることによって、業務においては、今まで以上に成果が求められるような面もあると感じています。極端に言えば、各人の業務への取り組み方が完全に不透明化されるので、最終的な成果が評価のすべてになることもありえます。そうした中で、個人の能力を高めることや、自分の取り組みを積極的に他者にアウトプットしていくことが、より一層求められるようになるのではないかと思っています。
通勤時間が無くなったことで、毎日2時間業務外で使える時間が増え、趣味として競技プログラミングを始めました。今のところ、テレワークが本格化してから半年近く、毎日取り組み続けています。通勤時間が減ったことが何より大きく、たとえば業務が長引いて22時過ぎまで仕事をした日であっても、すぐに自分のプライベートの時間に切り替えられるので、毎日少しずつでも何か業務以外のことをしやすくなったと感じています。
一方で、仕事とプライベートの切替えは難しいなと感じており、なんとなく疲れたまま次の日の仕事を迎えてしまうこともしばしばあります。特にプライベートでもパソコンを触ることが多いので、意識的に仕事終わりに散歩してみたり、少し身の回りの物を整理したり、うまく自分の中で気持ちをリフレッシュできないか試しています。