SONY

人生100年時代におけるベテラン社員の新たな挑戦

医療やテクノロジーの発達によって世界的に長寿化が進み、人生100年時代が到来しています。
人々のライフプランは多様化の一途をたどり、理想とする働き方も人それぞれです。

ミドル・シニアを含む幅広い世代が活躍するソニーは、50歳以上の社員を対象としたキャリア支援制度「キャリア・カンバス・プログラム」を2017年に開始しました。創業以来根付く「自分のキャリアは自分で築く」という考えに則し、ベテラン社員が引き続き活躍し、よりよい人生を送ることができるよう、社員の多様な挑戦をサポートします。

キャリア研修や学び直しの機会の提供、社内公募制度の拡充や再雇用制度の見直しなど、多様な施策をパッケージで提供しているのが特徴です。
今回は、その中から「Re-Creationファンド」と「シニアインターンシップ」の二つをご紹介します。

学びたいスキルを社員が選ぶ「Re-Creationファンド」

Re-Creationファンドは、社員一人ひとりが自ら今後のキャリアを考え、その実現に向けて身につけたいスキルや資格を取得するために、最大10万円の補助金を会社が支給するという仕組みです。これまでに700人以上がファンドを利用し、培ってきた専門性をさらに高める研修の受講や、うどん打ち職人やドックトレーナー、かぎ針編み指導者や中小企業診断士の資格など多様なスキルを身に着け、夢の実現に向けた一歩を踏み出しています。

Re-Creationファンドを活用して、うどん打ちの技術を習得した上野裕さん。
定年退職後に、訪日外国人向けに自宅をゲストハウスとして開放し、
日本文化の一つとしてうどん打ち体験を提供している

ソニーグループで人事施策の立案・実行に長年携わり、「キャリア・カンバス・プログラム」の制度設計をリードした大塚康は、この仕組みにソニーらしさを感じています。

「会社が取得スキルを指定するのではなく、『学びたいことに10万円支給します』というほうが、ソニーらしいかなと思います。ソニーには、自分で手を挙げて部署異動をする社内募集制度など、多様な個が自らキャリアを選んでいく風土が以前からありますので」

多様な経験により可能性を広げる「シニアインターンシップ」

さらなるキャリアを考えるきっかけとして、近年力を入れているのがシニアインターンシップです。
このインターンシップではソニー社員が、地方の自治体や企業と一緒に、地域活性化プロジェクトを推進します。一例として佐賀県江北町では、子どもたちが自慢したくなる小中学校を実現するための自主財源確保を目指し、ふるさと納税の寄付額拡大に取り組みました。地域の魅力を見い出し、市場を分析したうえで、どうアピールするかを考えていくプロセスでは、ソニー社員の物事の捉え方や進め方が生かされました。

通いたい、通わせたい学校へ
町役場での議論の様子

シニアインターンシップを担当する坂口武は、このプログラムの意義は「越境体験にある」と語ります。
「会社の枠をこえて社外の人々と日常の業務では考えもしなかった課題に向き合う機会は貴重です。会社の中では当たり前に思われていることの価値を知り、社外の方とのコミュニケーションを通じてあらためて自分に足りない部分に気づき、視野が広がることで自分の新たな可能性の発見やソニーでの業務改善につながります。入社時は自分のことで精一杯だった社員も、ライフステージや社内でのポジションの変化によって、しだいに社会に何らかの形で貢献したい、と考え始める傾向は強いと感じています。インターンシップはそうしたニーズにも合致しており、多くの社員から応募があります」

社員の主体的な挑戦を支える

以前から大塚は、ベテラン社員にもリスキリング(学び直し)が必要だと考えていました。これまでのキャリアで培ったスキルがあるにもかかわらず、なぜリスキリングは必要なのでしょうか。
「新しい学びが刺激になって、充実した日々を過ごせるのはポジティブなことですよね。また、これまでの知識や経験は大切ですが、過去の積み重ねだけで全てがうまくいくわけではありませんし、常にスキルアップは必要だと思います。
ソニーで頑張り続けたいと思ってくれている社員はもちろん、ソニーを離れて新しいことに挑戦したい社員に対しても、全力でサポートを行います」

プログラムの開始から6年が経ち、多くの社員が定年後も見据えた自身のキャリアについて、ポジティブに話し合える雰囲気が醸成されてきたと坂口は語ります。
「ベテランになっても、社員一人ひとりが業務でも、業務外でも、やりたいことに向かって、主体的に動いている会社はかっこいいですよね。ソニーが多様で個性あふれる人材で構成された魅力的な会社であり続けられるよう、人事として貢献していきたいです」

インタビューでシニアキャリア支援について語った大塚(右)と坂口(左)

大塚 康(おおつか やすし)
ソニーピープルソリューションズ株式会社 執行役員
新卒で生命保険会社に入社後、1992年にソニーに転職。ソニー入社後は製造事業所人事・事業本部人事・制度企画など、人事の幅広い領域に従事。
キャリア・カンバス・プログラムの導入を牽引した。

坂口 武(さかぐち つよし)
ソニーピープルソリューションズ株式会社 EC人事部
1990年にソニー株式会社(当時)に入社し、エンジニア、R&D企画、広報、新卒採用をはじめとした人事全般の幅広い職種を経験。
現在は、主にシニアインターンシップの企画業務を担当している。