「人」をクリエイティビティの中心に— CES® 2024 プレスカンファレンス —
2024年1月9日(現地時間)、米国・ラスベガスで世界最大級のテクノロジー見本市「CES® 2024」が開幕しました。これに先立ちソニーは「People at the Heart of Creativity(クリエイティビティの中心に『人』を据える)」をテーマにプレスカンファレンスを開催。会長 CEOの吉田 憲一郎をはじめとする多様な登壇者が、クリエイター支えるソニーのさまざまな取り組みやテクノロジーを紹介しました。今回の記事ではその模様を振り返ります。
「ソニーはクリエイティブエンタテインメントカンパニーとして、常に、『人』をクリエイティブな取り組みの中心に据えてきました。わたしたちには、we are here for creators(ソニーは、クリエイターのために)という強い思いがあります」——。
ソニーは常にクリエイターの創造的なひらめきを支えることで、その社会的意義を追求してきた、とした吉田は、今年で創立100周年を迎えるコロンビア・ピクチャーズがそうしてきたように、今後も「世界を感動で満たす」と述べました。
Boundless Creativity
続いて登壇したソニー・ミュージックパブリッシング 会長 兼 CEOのジョン・プラットとソニー・エレクトロニクス プレジデント 兼 COOのニール・マノウィッツは、クリエイターとの協創の推進をテーマに対談。クリエイターのコミュニティづくりの場として提供しているKando Tripやソングライターの創造性を醸成するSongwriting campをはじめとした、クリエイターをサポートする取り組みの重要性について語りました。また、グローバルシャッター方式のフルサイズイメージセンサーを世界で初めて搭載したミラーレス一眼カメラ『α9 Ⅲ』、小型・軽量による高い機動力で少数クルーでも高品位な映像表現を実現するCineAltaカメラ『BURANO』など、クリエイターのニーズにこたえる製品群への期待を語りました。
その後、吉田はクリエイターが時間を最大限活用できるようになり、またコラボレーションを可能にする方法の一つとしてリアルタイムクリエイションを挙げました。その具体例として、『Torchlight』を発表。映画製作者が新しいコンセプトや独自のストーリーテリングの手法をリアルタイムに試すことができる新たな取り組みを紹介しました。
映画製作に加えて、次に登壇したソニー・ピクチャーズ・テレビジョン・スタジオ プレジデントのキャサリン・ポープは、テレビ業界におけるクリエイターとの共創について語りました。多様なバックグラウンドの映像クリエイターに活躍の場を提供する「Diverse Directors Program」に加えて、『アンチャーテッド』や『グランツーリスモ』、「The Last of Us」といった人気ゲームタイトルの映画化やテレビシリーズ化など、ゲームIPの展開についても述べました。
再びステージに戻った吉田は、IP拡大に向けたさらなる取り組みのひとつとして、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが全世界配給と共同出資を行う、任天堂の大ヒットゲーム「ゼルダの伝説」の実写映画化を紹介。さらに、クリエイターが想像する世界を現実に体験できるエンタテインメントにも注力すると述べ、1月に米国・シカゴ近郊でまもなくオープンするソニー初の没入型エンタテインメント施設"Wonderverse"に言及しました。
Community at our core
また吉田は、クリエイターを支えることはさまざまなコミュニティをサポートすることでもあるとして、アニメ、プロスポーツ、ゲームにおけるコミュニティへの取り組みについて語りました。アニメ分野では、アニプレックスとクランチロールの取り組みを紹介し、『ワンパンマン』のモバイル・PCゲーム化と、実写映画化に触れました。プロスポーツ分野では、アスリートやパートナーとともに、審判判定支援の最適化や試合をアニメーション化してライブ配信する取り組みなどを通じて、スポーツの体験の進化をめざすと語りました。そして、ヒットゲームの存在がプレイステーション®5の勢いをけん引してきたことに触れつつ、レーシングAIエージェント「グランツーリスモ・ソフィー™」によるドライビング体験の向上を紹介しました。
Spatial Creation
「クリエイティビティへの強い思いとともに、私たちは仮想空間と現実空間の両方で新たな可能性を探求し続けます」——。
空間の創造に対する抱負をこのように述べた上で、吉田は高精細なディスプレイを備えた、空間コンテンツ制作のための新たなソリューションを初めて紹介しました。3Dコンテンツクリエイター自らが現実と仮想空間の両方で作業できるようになり、よりシームレスで没入感ある空間コンテンツの制作体験を実現すると語りました。
さらに吉田は、モビリティについても、クリエイティビティを高めることができるエンタテインメント空間と捉え、ソニーのエンタテインメント領域のノウハウを生かしてその進化に貢献するとともに、CMOSイメージセンサーを通じて安心・安全も提供すると述べました。そして、本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長の三部 敏宏氏が登壇し、モビリティに対するホンダの将来のビジョンや、ソニー・ホンダモビリティへの期待について語ったのち、ソニー・ホンダモビリティ 社長 兼 COOの川西 泉が、マイクロソフト コーポレート バイス プレジデントのジェシカ・ホーク氏を壇上に迎えながら、ADASにおけるAIの活用と、クリエイティブ・エンタテインメント空間としてのモビリティについて述べました。
- ※ソニー・ホンダモビリティの発表および関連コンテンツは同社のウェブサイトをご覧ください。
People at the heart of creativity
「クリエイターと協働することで、ソニーの可能性は無限大に広がっていきます」——。
日本の次世代クリエイターが超小型人工衛星を使って地球を撮影した写真を紹介した吉田は、STAR SPHERE™プロジェクトを通じてクリエイションの空間を宇宙まで広げていくと述べました。また、ソニーのめざす感動体験は、社会的意義があると強調しました。
「クリエイティビティの中心にいるのは『人』です」——。
吉田はテクノロジーの力で人々のクリエイティビティを支え、クリエイターの発想を実現していくと宣言し、スピーチを締めくくりました。