SONY

Feature Design

Xperia Z1

Xperia Z1の写真

すべては新しい
エクスペリエンスのために

ソニーの各事業の力が注がれたXperia Z1。
その誕生には最先端の技術を生かす
巧みなデザインがありました。
すべては新しいエクスペリエンスを提供するために。
Xperiaがまたひとつ進化します。

Concept

〈 Xperia Z1 〉

ソニーの技術の
すべてが融合

これまでブラビア™やVAIO®、サイバーショット™やα™、ハンディカム®、そしてウォークマン®など、多岐に渡る商品をつくり続けてきたソニー。これらの各商品カテゴリーで培われてきた最先端の技術をひとつのスマートフォンに詰め込んだら、どんな新しいエクスペリエンスを提供できるだろうか。そんな発想からプロジェクトが始動したXperia Z1。ソニーの持てるすべての技術が融合することで生まれるエクスペリエンスを最高のかたちで届けるため、ハードとソフト、すべてに渡るデザインの挑戦が始まりました。

あらゆる場面で
使いやすく美しく

Xperia Z1のデザインコンセプトは、Xperia Zから継承した「オムニバランスデザイン」です。メールを打つとき、撮影するとき、動画を見るときなど、さまざまな使い方をするスマートフォンだからこそ、どんな持ち方でも使いやすく、どこから見ても美しい造形でありたい。このコンセプトをもとに、使う人が愛着を持って、いつまでも長く使えるデザインを目指しました。Xperia Z1は新しいエクスペリエンスの追求とともに、いつまでも変わらない使いやすさ、美しさを大切にしているのです。

Industrial Design

〈 Xperia Z1 〉

「球」の触り心地を持つ「板」

Xperia Z1で「オムニバランスデザイン」を進化させるためのテーマとなったのが「手の中に心地よくおさまる造形」でした。縦にしたり、横にしたり、片手で掴んだり、両手で支えたりとスマートフォンの持ち方は人や使用シーンによって千差万別です。そこで、どんな持ち方でも心地よい造形を模索。そのヒントになったのが「球」でした。方向性がなく、どんな角度で持っても触り心地の変わらない「球」は、持ち方を選ばない自由な形。この「球」の性質を、「板」という相反する造形に取り込めないかと考えたのです。

Xperia Z1は、アルミ板から削り出した金属フレームの四隅に完璧な「球」状を再現しています。その加工には、わずかコンマ01mmという高い精度が求められました。さらに、そこから側面をフラットにカット。これにより手にあたる縁や角には「球」の曲面を残したまま「板」という形状を実現。フラット面と四隅の球が交わる場所に表れる精確な半円が、精度の高さを物語っています。また「球」は、それ自体が象徴的な形です。「球」の要素を取り込むことで、Xperia Z1は持ちやすい機能性と象徴的なデザインの両立が図られているのです。

本物の素材感の追求

Xperia Z1は質感にも進化を求め、本物の素材の質感にこだわりました。その一つがアルミニウムによるモノコック構造を採用したフレーム。これまでフレームは、すべてを金属で構成すると内蔵されたアンテナの電波に影響するという問題がありました。しかし、今回逆転の発想で新たに金属フレーム自体をアンテナにする技術を開発。これによりシームレスな金属フレームを実現できただけでなく、構造体としての強度や防水性能も向上。本物の素材による質感の高さを生かしつつ、ガラスと金属だけで構成されているかのようなシンプルな美しさを表現しました。

細部に宿る美意識

構成要素をできるだけシンプルにし、美しく見せる工夫はフレームだけではありません。たとえばディスプレイ。これまでは音声のレシーバースペースを確保するため、ディスプレイのガラスの一部を切り欠いていましたが、レシーバーをフレーム側に配置することで一枚のガラスとしての美しさを維持。さらに、インジケーターであるLEDランプもレシーバー部分に統合し、ディスプレイ上に表れる要素を極限まで減らしています。

イヤホンジャックなどの端子周りの仕上げもひと工夫。金属フレームを特殊な工程で加工し、防水性能を保ちながらもシンプルな円形に仕上げることで、電源ボタンやカメラのレンズ周りと同じリングで統一しました。また、従来のモデルでは背面に表記されていたバーコードやCEマークなども、すべてSIMカードのトレイにシールで記載することで本体内に格納。このように、正面だけでなく側面や背面まで、どこから見ても美しいものに仕上げることにより、Xperia Z1を使用する人が、どのような使い方をしてもスマートに美しく見える佇まいを実現しています。

「技術の進化が
デザインを進化させる」

Xperia Z1は、商品カテゴリーの枠を越え、まさにソニー全体が一丸となってすべての技術を注ぎこんでいます。デザイナーは、それらの技術が持つポテンシャルを最大限に引き出し、その魅力を分かりやすく伝えるために表現することが使命です。つまり、Xperiaの技術的な進化は、必然的にデザインの進化も意味しているのです。だからこそXperia Z1は一つの到達点ではありますが、進化のためのスタート地点でもあると考えています。

シニアデザイナー 日比

Color & Material Design

〈 Xperia Z1 〉

色と質が統一された世界観

Xperia Z1のカラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、パープルと、デザインコンセプト同様にXperia Zからカラーテーマを継承。同じカラーを採用しながらも、本物の素材感を生かし、その魅力を素直に語らせる仕上げにすることで、より質感を高めています。さらに「ガラス」と「金属」という2つの素材の加色手法や処理をカラーごとに変えているのも特長です。

ブラックでは、余計なエフェクトを加えず、深い黒さを追求することで、フレームの金属感とガラスの光沢感を際立たせました。ホワイトでは、背面のガラスの輝きを金属フレームのフラット面の輝きに近づけるために透明蒸着を施し、反射を強調した仕上げに。さらにパープルでは、背面ガラスにミラー塗装を施すことで鏡面感を引き出し、金属フレームと質感をそろえました。このようにガラスと金属、2つの素材の色味や質感を近づける工夫をカラーごとに施すことで、全く違う素材でありながら統一された世界観を表現しました。

オムニバランスを高める金属加工

「オムニバランスデザイン」の完成度を高めるために採用されたのが「ダブルアルマイト加工」です。金属フレームの縁や四隅には「ブラスト手法」と呼ばれるマット調の加工で、金属ならではの手触りとキズなどが目立たない仕上げに。一方、フラットにカットされた側面は、鏡面調のツヤのある仕上げ。マットとツヤという質感の対比をひとつの金属上でシームレスに表現するこの加工により、金属感を生かしながらも、側面には背面のガラスと同じ印象の質感を再現。金属とガラスの色味をそろえるだけでなく、質感までもそろえることで、どこから見ても美しい、より完璧な「オムニバランスデザイン」を表現しています。

「異なる素材を
カラーマッチングさせる」

Xperia Z1は「ガラス」と「金属」という異なる2つの素材でほぼ構成されていますが、シンプルであるがゆえに些細な色の違いも目立ちやすく、カラーマッチングには高い精度が求められました。しかし素材が違うということは、加色手法も違います。ガラスは印刷や塗装ですが、金属はアルマイト染色なので、どちらかの色がブレればその差分を埋める調整が必要になります。その作業にとても苦労しましたが、その分「オムニバランスデザイン」をストレートに表現できるクオリティになったと思います。

デザイナー 片山