R&Dメンバーを解き明かす
2020年入社
仕事内容:AIを活用したオーディオ技術の研究開発
専門分野:AI,インテリジェント音楽制作
(Intelligent Music Production)
自分のルーツになったエピソードは?
私はいつも、音楽とエンジニアリングに情熱を持っています。特に、音とその即時性に対して強いこだわりがあります。美しく作られた音楽や自然の音でも、電車や機械から出るような人工的な音でも、音が私たちの知覚や意識に及ぼす力というものに、とにかく心惹かれるのです。これには、音楽好きでレコードコレクターだった父と、長年歌手をしていた兄がいる家族の下で育ったことが、影響していると思います。また、私が生まれ育った故郷の影響も大きいです。母国の「コロンビア」では、音楽とダンスが生活のあらゆる場面で文化として根付いています。私自身も10代でベースを習得して、数年間レゲエのバンドに参加していました。音響工学への関心が大きくなる一方、音楽一家に育ち、ボゴタの音楽シーンに触れる中で、音楽そのものに対する情熱もありました。そして、常に音楽や音に関わる仕事をしたいという思いが生まれ、さらに自分の得意分野である数学や問題解決力を生かした視点から、音楽や音に関わる分野で働きたいと考えていました。
この先の目標は?
音楽や映画に応用されるAIなどのテクノロジーは、クリエイターとオーディエンスのライフスタイルを変える可能性があると確信しています。私たちの研究成果でも、AIが音楽のポストプロダクションのプロセスを学習して、プロレベルのミックス音源を生成できることが検証できています。これは、インテリジェント音楽制作の分野では大きな成果だと思っています。AIが人間には遠く及ばないのが当たり前だった従来の技術を進化させることで、AIが煩雑なタスクのサポートや自動処理をすることで、クリエイターが自身の創造力を発揮することに専念できるような未来を実現したいと思っています。
また、私はプロジェクトリーダーとして、チームにインターンに来た学生のサポートもしています。学生と直接コミュニケーションをとれることが、とても楽しみです。私自身も科学コミュニティで活動することが好きで、世界的に有名な学会で論文を発表したり、チュートリアルやワークショップに参画したりすることもあるので、これからは、多くの学生に自信の経験を伝え、研究者になるサポートをしていきたいです。
日々の研究活動で大切にしている言葉は?
1つ目は研究関連の引用で、私のまさい研究活動を表している言葉です。私は生の音声、いわゆる音声波形を直接扱う仕事をしていますが、このように他の表現やモダリティ情報を使わずに仕事をするということは、学びたいことはいつもすべて音声・音の中にある、ということなのです。もう1つの言葉は、言葉や知性を超えて、音で伝えられるものがあるということです。例えば、雨の音を聴いたとき、日本語、英語、スペイン語、どんな言語を話す人でも、言われなくても「雨だ」と分かります。知っている。それは、私たちの知覚の中に、言葉や知性によらず音から直接理解できるものがあるということでもあり、人生のさまざまな局面で響く、なかなか深い意味を持つ言葉だと思います。