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クリエイターと 喜びに満ちた世界を 創っていきたい クリエイターを 手助けする ことなら できる ソニーグループ R&Dセンターの研究者 塚原 ツバサのポートレート写真

R&Dメンバーを解き明かす

人生という有限の時間の中で、
いかに豊かな経験・感動を届けるか

塚原 ツバサ

2007年入社 理工学研究科卒
仕事内容:エンタテインメント領域におけるシステム&サービスデザイン開発
専門分野:ヒューマンコンピュータインタラクション

自分のルーツになったエピソードは?

「人間の儚さ・尊さ」
「人はどう生きるべきか」
を考えた
幼少/学生時代

私は、いつも「人々に笑顔や感動を届けること」を考えているのですが、その原点は幼少期の体験にあるように思います。父がダムや橋などの防災インフラを設計する技術者だったので災害があると現場に急行していました。私も地震や津波、噴火などの災害現場の写真を見たり、父に連れられて現地に行ったりしていました。大自然の偉大さや恐ろしさや、災害を前にした際の人間の命の儚さや尊さを肌身で感じたことで、「人はどう生きるべきか」ということを強く意識するようになりました。そうした経験が「人類の英知はどこまで命を救えるか?」という興味につながり、大学では医療工学を専攻しました。さらに、医療に関わる技術を学ぶなかで、限りある時間をより豊かに過ごすことの大切さにも気づかされました。「自分が開発した製品やサービスで人々に笑顔や感動を届けたい」という思いが強くなり、ソニーのエンジニアとして働く選択をしました。

体験型ARプログラムの試用しているときの写真

なぜ今の研究分野に?

“人”を理解するインタラクション
研究の面白さ

入社当時は、化学・光学・物理の知識を活かして有機ELディスプレイ等のデバイス開発に従事しました。一方で、こういった基礎研究領域ではお客様の手に届くまでに10~15年かかるケースもあります。しだいに、開発した技術や製品を通じて人の心をゆさぶる“タッチポイント”となる部分、つまり、デバイスを使う「人」とそれを取り囲む環境自体を理解したいと考えるようになりました。そして、人と機器の界面を研究する「ヒューマンコンピュータインタラクション」を研究対象にするようになります。ヒューマンコンピュータインタラクションは、人に感動を届けるという軸で、エンタテインメントとも親和性の高い技術です。私自身も、サンマテオにあるソニーのゲーム事業の拠点やカルバーシティにある映画・音楽事業の拠点の一つに身を移し、研究成果の実用化に挑戦してきました。現在はインタラクション研究の延長であるCX(Customer Experience)、EX(Enterprise experience)を加味しながら、R&Dのエンジニアが開発した技術を映画や音楽などのビジネスの現場に導入するアプリケーション開発に取り組んでいます。

学生時代の塚原 ツバサの写真
学生時代の研究室の写真

R&Dセンターのスゴイところは?

自分が本気で「やりたい」と
チャレンジを
続ければ
誰かがサポートしてくれる

自分が本気で「これをやりたい」と伝え続けると、直属の上司だけでなく、他の職場の上司など様々なところからチャレンジを後押ししてくれる文化があります。印象的な出来事としては、研究成果の実用化に向けて「AR技術を最も難易度の高い国の文化やビジネスの中で試したい」と提案した時の事でした。様々な困難や制約もありましたが、一緒にサポートしてくれる上司や仲間もいて、最終的には「行ってこい」と送り出してもらえました。その恩返しというわけではありませんが、私が誰かに意見を求められたときは、できる限りサポートする姿勢でいます。世界トップレベルの頭脳や才能をもつ人々が集まっているので、技術やビジネスの最前線にスピーディーにアクセスできるチャネルがあることも、恵まれた環境にあると思います。現在の専門以外の技術について知りたい時も、その専門家から学ぶ機会が得られるので、入社後のキャリアの中で自身の専門性を広げる挑戦ができます

チームメンバーとミーティングをしているときの写真
映画「ゴーストバスターズ」をモチーフにした体験型ARプログラムの画像

印象的だった仕事は?

「新たなチャレンジをする際は、
失敗経験を持つ人に任せる方が
成功率は
高いに決まってる」

これまで経験したチャレンジの一つが、映画『ゴーストバスターズ』とのコラボレーションを通じた、体験型ARプログラムの開発です。ヘッドセットを装着したプレイヤーが現実の街に現れるゴーストを退治するゲームで、協力会社や著名な映画監督など多くの関係者のサポートで実現した大規模なプロジェクトでした。ARプログラムの体験においては「最高の体験だった」「現実と仮想の融合が実現した」などと非常に高い評価を得ました。一方で、「ビジネスが成立するか」という観点で、コストや故障率、ビジネスモデル面など、クリアすべき条件が想像よりもはるかに多くのあることを、身をもって知りました。この時、当時のトップマネジメントから「君はもっとビジネスを学びなさい」と新たなミッションを受けたことが、R&Dセンターとエンタテインメント事業の架け橋として働く現在の活動につながっています。技術を世に届ける責任の重さとともに、壁にぶつかった経験を後ろ向きに捉えるのではなく、新たな成長への原動力とするソニーの懐の深さを再認識した出来事でした。

この先の目標は?

人とテクノロジーの関係性を追求し、
喜びに満ちた世界へ

誰かが人生の幕を閉じるとき、「楽しい人生だった」と思ってもらえる人をひとりでも増やしたい。もしも私が関わったヒューマンコンピュータインタラクションの研究成果が少しでもその役に立てるなら、これほどうれしいことはありません。私には、音楽や映画やゲームをつくる才能やスキルはありませんが、それらを生み出すクリエイターを手助けすることならできる。これからも、さまざまな分野で培ってきた知識やスキルを生かしながら研究開発を通して彼らに新しい技術を提供し続け、人々の喜びに満ちた世界をともに創っていきたいと思っています。

赴任先のアメリカ・カルフォルニア州での塚原 ツバサの写真 赴任先のアメリカ・カルフォルニア州での塚原 ツバサの写真

「私を動かす言葉」

“Life is not about waiting for
the storm to pass …
it’s about learning to dance
in the rain”
(人生とは嵐が過ぎ去るのを待つことではない。雨の中でどう踊るかを学ぶことだ。)

これは、アメリカのシンガー・ソングライター、ヴィヴィアン・グリーンの言葉です。私たちが日々行う研究開発は正解が用意されているわけではないので、いつも必ずうまくいくとは限りません。多くの時間や労力を費やしても、さまざまな事情で実を結ばないことも時にはあります。そんなときはこの言葉を思い出して、これも人生を彩るひとつの演出とポジティブに捉え、そのなかで学んだ経験をまた次に生かせばいいじゃないかと、落ち込みそうになる自分を奮い立たせて気持ちを切り替えています。

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