SONY

人生の一瞬一瞬を 楽しく過ごせるように 貢献したい 人々の普段の 生活に 根ざした 体験価値 の創出 ソニーグループ R&Dセンターの研究者 森 麻紀のポートレート写真

R&Dメンバーを解き明かす

人の生活を豊かにし、
人を笑顔にする
AIやセンシング技術を用いた
未来のインタラクションを追求

森 麻紀

2010年入社
仕事内容:ヒューマンコンピュータインタラクションの研究
専門分野:ヒューマン インタラクション

現在の仕事内容は?

人と機器のインタラクションを
いかに洗練させていくか

人と機器のインタラクションと、そこに関わる技術は進化を続けています。ボタン操作のようなユーザーの明示的な入力に対して出力を返すようなかたちだけではなく、音声やジェスチャーのような自然なふるまいに近い入力に対し、出力を返すことも、一般的になっています。さらに今後、より高度化されたAIやロボティクスが生活空間へと実装されることで、ユーザーのより自然なふるまいを入力とし、機器が出力を返すようなインタラクションへと発展していくことが予想されています。私はそのような未来に向けて、人と機器のインタラクションをいかに心地よく進化させるかをテーマに研究活動を行っています。その進化形の一つとして構想しているのが、ユーザーが明示的に指示しなくても、機器自体が人の振る舞いを検知し、望むことを推定し、適応的な情報を提示する技術。例えば、ユーザーが朝起きてカーテンを開けて、天気を確認するように窓の外へ顔をむける動作を検出し、その日の天気を知らせるなど、新たなインタラクションを設計するために、AIやセンシング技術のみならず、人の認知・思考のメカニズムや行動特性なども研究対象にしながら検討を行っています。

学生時代に学会で研究成果を発表しているときの写真

なぜ今の研究分野に?

ヒューマンインタラクションは
人の笑顔につながるテクノロジー

大学の講義で、人が機器の界面であるユーザーインターフェースの分野に出会ったことが、現在の研究活動の原点となっています。工学的なアプローチだけではなく、「ユーザーの認知負荷を下げ、いかに心地よく使えるか」といった感性的なアプローチも重要視される点が、心理学にも興味を持っていた自分の嗜好に合致していました。現在の専門であるヒューマンインタラクションは、インタフェースよりも広義の研究を行います。また、今の自分につながる大切な経験の一つが、学生時代のカフェでのアルバイト。自分の接客でお客様が笑顔になってくれて、それを見た自分も笑顔になる。そんな体験が嬉しくて、「人をもっと笑顔にするにはどうすればいいのか」、人と人との接点をいかに温かいものにできるかを、よく考えていたように思います。そんな学生時代を経て、「テクノロジーで多くの人を笑顔にする研究がしたい」という思いが芽生えました。

ソニーを選んだ理由は?

感動体験をくれた会社で、
自分も新しい体験を生み出したい

ソニーは昔から身近な企業でした。学生の頃から音楽が好きで、ソニーのアーティストの楽曲を聞いていましたし、父親がくれたウォークマンが通学のお供でした。今となっては当たり前の事ですが、なんでもない通学の時間が、好きな音楽を聞ける時間になる体験に、当時はとても感動しました。そんな原体験もあり、就職活動のときには製品開発にも惹かれたのですが、体験価値そのものを研究し、全く新しいものを生み出したいという思いで、R&Dセンターを志望しました。現在所属している、ヒューマンインタラクションの研究開発チームは、心理学の専攻だった方や、デバイスエンジニア、デザイナーなど、バックグラウンドが様々な人が集まっています。各分野の専門家からユニークな視点で意見を持ち、議論を重ねていくことで、自分の想像以上のアイデアや研究成果に辿り着けることも多くあります。また、私には二人の子どもがいるのですが、突然の子どもの熱で業務開始が遅れたり早退したりすることもありますが、部署には子育て世代も多く周囲の方が理解してくださるので、仕事と家庭を両立した働き方ができることを、ありがたく思っています。

同僚と仕事をしているときの写真
子どもたちと遊んでいるときの写真

印象的だった仕事は?

新たなAR体験を
スマートフォンユーザーに届ける

数年前、スマートフォンカメラアプリケーションのユーザービリティ改善業務に携わっていたとき、「R&Dの技術を使って新しいカメラアプリを提案してほしい」というミッションを与えられました。そして、社内の技術を組み合わせて新しいAR(拡張現実)体験のプロトタイプを提案しました。顔認識技術や画像処理技術を使って、写真中の人の顔をデコレーションしたり、写っている人同士の顔を入れ替えたりして遊べるもので、実際に当時の製品に採用していただけました。自分の研究成果が、ソニーの製品を通じて多くのユーザーに届き、新たな体験や楽しみにつながった初めての経験だったので、とても感動しました。また当時、社内での技術デモを通いて、ソニーミュージック所属のアーティストにこの技術を紹介する機会がありました。エンタテインメントの世界と近い距離で仕事ができることも、ソニーならではの経験だと思います。

写真の人の顔をARでデコレーションした様子

この先の目標は?

日常生活に根ざした
テクノロジーを追求する

人々の普段の生活に根ざしたテクノロジーの創出を続けていきたいです。以前は、大勢の人が楽しめるエンタテインメントの実現を目指した研究をしていましたが、自分自身が家庭をもち、子育てをするようになってから志向が少し変わってきたように思います。例えば、2019年度の「チャレさぽ」に参加した時には、新たな育児アイテムとして、パーソナルサウンドゾーンを作ることができるスピーカーを用いて、ぬいぐるみを持っている人にだけ音が聞こえるというアイデア提案をし、賞をいただきました。テクノロジーの力で家族の時間をいかに楽しく豊かにできるかということに思考を巡らせることが増えたように思います。誰の人生も尊いものだからこそ、より多くの人がその一瞬一瞬を楽しく過ごせる世界を実現したい。ヒューマンインタラクションの分野を通じて、人々の気持ちに寄り添って、テクノロジーの力で日々感じている課題を解決し、生活を豊かにすることに貢献していきたいです。

オフィスでの森 麻紀の写真 オフィスでの森 麻紀の写真

研究開発におけるモットーは?

自分も人も笑顔にする
技術をつくる

人の笑顔に触れられることは、研究活動においても、日々の生活においても、大きなモチベーションとなります。私は、人を楽しませるアイデアや技術は、自分たちが楽しく仕事している現場から生まれると思っています。学生時代にカフェでアルバイトをしていたとき、お客様を笑顔にするために、いろいろと考えて仕事していたこと自体が私の喜びでもありました。そのときの思いが今も自分の根幹にあり、研究開発という仕事にとって最も重要なことだと考えています。

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