【イベントレポート】ソニー社員が語る、データ利活用の最前線。
近年、注目を集めるDX(デジタルトランスフォーメーション)やデータ分析といったビジネスにおけるデータの利活用。2023年3月8日(水)に実施された社外向けイベント「ソニーグループのDXとデータ利活用」では5名のソニー社員が、ソニーグループが展開してきたDXビジネスの全体像と近年の具体的な事例について、データ分析とデータ利活用の両方の観点からお話ししました(当日のプログラムは下図のとおり)。
本記事ではイベント第1部のポイントをご紹介します。
- 小山 修一
- 橋本 洋平
基調講演(上野吉史)
データ分析を専門とする上野からはまず、ソニーグループの事業セグメント別の売上や営業利益といった数字データの共有がありました。こうした数字を見てもわかるようにソニーの事業は多角化しており、ユーザー体験を大切にするために、データも大きな意味を持つことがわかります。
また、リカーリングビジネスにおいてもデータ分析が重要となります。ユーザー体験を向上させるためにはユーザーと繋がり続けることが重要になりますが、それらの具体的事例は後半に紹介します。
フロー型ビジネスは良い製品を作って売るというB(Business)とT(Technology)で成り立っています。しかし、よりユーザーに近づくプロダクツやサービスにするためには、これに加えてユーザーと向き合うためのスキル、すなわちC(Creativity)を持って全体を構想していく必要があります。
クロスドメインで共創するDX Forumの活動と活動支えるデータ基盤(小山修一)
ソニーグループの特徴は多様な事業を有することですが、各事業が持つリソースを掛け合わせることで新たな価値を生み出すことができます。小山からは、データを活用してゲーマーの嗜好に合った音楽プレイリストを作成するゲームと音楽の連携や、ライブ会場でスタンプラリーイベントを実施することでライブとデジタルの連携を実現した共創事例とともに、共創を支える基盤としてグループ横断で利用しているデータ流通プラットフォームとグループ共通のGPUスーパーコンピューターをご紹介しました。
ソニーグループにはさまざまな事業を通じて得られるデータ、膨大なデータを管理するインフラとしてのコンピュートリソース、そして各事業会社の共創を支える組織体制(本社機能)があるからこそ、データによって価値を創出できるのです。
サウンド/グラフィックアプリケーションにおけるデータ分析(荻窪純一)
続いて荻窪からはアプリケーションへのデータ活用事例として、360立体音響技術を使ったSound AR™を楽しむためのアプリLocatone™と、スポーツの審判判定支援システムで知られるHawk-Eyeについてご紹介しました。
Locatone™はヘッドセットによって身体の向きや動き、位置情報をトラッキングし、インタラクティブな音楽体験(立体音響体験)を提供。ユーザー・ロケーション・クリエイターをつなぐデータ分析を行い、クリエイターやクライアントに対して新しい価値を創出しています。
Hawk-Eyeはテニスやサッカーなどにおけるボールの「イン・アウト」といった審判判定を支えている他、選手のパフォーマンスを分析したり、プレーをコンピューターグラフィックスで再現したり、ファンエンゲージメントに生かすなど、得られたデータから新しいサービスやコミュニティをつくり出しています。
Headphone Connect | サービスを使い続けてもらうためのデータ利活用(鈴木 潤一)
ヘッドホン連携アプリHeadphones Connectの開発に携わる鈴木からは、アプリを通じて個人向けサービスを提供することで、ソニーのヘッドホンを使い続けてもらうことを目的とした取り組みについてご紹介しました。データを使った取り組みは、「顧客価値への転換」「Growth Hack」「マーケティング活用」「データ基盤」と、大きく4つに分けられます。それぞれの取り組み内容を簡単にご説明します。
ソニーのデータクラウドと連携するためのアカウント登録をしていただくと、ヘッドホンの利用状況が可視化され、個人に最適化されたヘッドホンの設定切り替えが可能になります。次に、アプリから収集したデータをもとにユーザーの利用状況を観察して理解し、継続利用に寄与するアクションを決めて改善を実施します。さらに、収集したデータを用いて製品のマーケティングを実施し、お客様との関係を構築。このようにして得られたデータをソニーグループ横断で連携していくといったサイクルによって、グループ全体でデータマーケティングを強化しています。
モビリティサービスにおけるデータ分析と移動体験価値の追求(橋本洋平)
最後のプレゼンターとなった橋本からは、ソニーとタクシー会社がジ立ち上げたタクシー配車アプリ、S.RIDEにおける新たな移動体験の創出と磨き上げについてご紹介しました。「ビジネスをよりスマートに」をコンセプトに、タクシーヘビーユーザーに選ばれる配車アプリをめざして、ユーザーからのフィードバックをもとにデザイナー・エンジニア・企画が一体となって日々アプリを成長させています。
また、タクシー産業全体の変革や自動運転時代の到来に向けて、S.RIDEはPrecious・Productive・Personalといった3つのPによる移動体験の再定義を行いました。タクシーユーザーの利便性・効率性の重視から、よりパーソナライズされた快適な移動空間の創出へ。データと技術の掛け合わせを通じた、未来の社会実現に向けたビジョンが語られました。
イベント第2部では「座談会」として、参加者の皆さんからのご質にお答えしました。たくさんのご質問をいただき、大変盛り上がりました。
今回のようにソニーにおける事例をご紹介したり、ご質問にお答えする機会を、ぜひ今後も実施していきたいと考えています。イベント情報の告知や、ご経験とマッチするポジションの求人などでもご連絡させていただきますので、ぜひ以下のフォームから「キャリア登録」をお願いします。ご転職のご意向にかかわらず、気軽にご登録いただけますと幸いです。