【わたしのOFF】1週間の休暇を取ってフランスの自転車イベントへ参加!オン・オフを充実させる秘訣とは?
ソニーグループ(以下、ソニー)で働く社員のプライベートの顔に迫る本企画。今回は、仕事のほか、社内横断プロジェクトであるDIVI@Sony*(以下、DIVI)に精力的に取り組みながら、趣味の自転車やトライアスロンをとことん楽しんでいる、ソニー株式会社のイメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部 商品技術センターに所属する、戸塚正明さんが登場。入社してすぐに1週間の有給休暇を取って挑んだ、4年に1度開かれるフランスのロードバイクイベントの話をはじめ、自転車に魅了された戸塚さんにオン・オフを充実させるための心構えやコツを聞きました。
*DIVI@Sony(ディビ アット ソニー)は、Diversity Initiative for Value Innovation at Sonyの略称です。ダイバーシティ&インクルージョン推進のために、社員目線で感じている課題を見つけ、社員自らが解決に向けて活動するための、国内ソニーグループを横断するプロジェクトです。
- 戸塚 正明
- ソニー株式会社 イメージングプロダクツ&ソリューションズ事業本部 商品技術センター
「自分の限界を試したい」 大学時代にハマった自転車でオフを満喫
ー趣味である自転車との出会いについて教えてください。自転車のどんなところに惹かれたのですか?
高校時代に陸上部で長距離走をしていましたが、怪我が多く、思うように成績が伸びないまま引退しました。大学では、競技志向が少ないながらも体力を生かせる部活を、と考えて入部したのがサイクリング部でした。テントや鍋を自転車にくくり付けて、みんなで全国各地をまわったりするうちに、自転車にハマりました。
長距離走もそうですが、「どこまで行けるか」と自分と闘いながら限界を試すのが好きなんです。それに、知らない地域や景色を見たいという好奇心を満たしてくれる。いろいろな欲求に応えてくれるのが、自分にとっては自転車なのかなと思います。
ー普段はどのように自転車を楽しんでいますか? オフの日の過ごし方についても教えてください。
晴れた休日には、早起きをして終日サイクリングを楽しむことが多いです。先日もパートナーと丹沢湖まで自転車で行き、ダムカレーを食べてきました。
自転車で走る以外では、仕事のことをなるべく考えずに家でのんびり過ごしたり、買い物に行ったりしています。実はサイクリングが縁で知り合ったパートナーは、つい予定を詰め込み過ぎる僕とは対照的で、おっとりした性格。つられて僕もゆったりと過ごす時間を大切にするようになって、よい影響を受けています。
ー自転車関係のコミュニティには所属していますか? コロナ禍のため、なかなかグループで集まりにくい時期ですが、どのように過ごしているのでしょう。
はい。地元のツーリング倶楽部やトライアスロンチームなどのコミュニティに所属しています。メンバーは、自転車歴や年齢もさまざまな人たちです。自分よりも速い人と走ると、装備やペース配分などで学ぶことも多いですし、知らない場所に連れて行ってもらえることは刺激にもなっていますね。
コロナ禍でしばらく活動ができませんでしたが、今は月1、2回ほどイベントを開催して、興味のある人が参加しているような状況です。所属しているのはすべて社外のコミュニティですが、もし社内でもコミュニティがあれば、ぜひ参加したいですね!
入社1年目の決断に迷いはなかった? 1週間の休暇を取って4年に1度のフランスのロードバイクイベントに参戦!
ー入社1年目でフランスのロードバイクイベントに参加したと伺いました。どんなイベントですか?
4年に1度、8月に開催される長距離のロードバイクイベント「パリ・ブレスト・パリ」(PBP)です。PBPは、1891年に誕生した世界最古のロードバイクイベントで、ブルべ(指定距離を制限時間内に完走して認定を受けられる長距離ロングライドイベント)の中でも最高峰とされるイベントです。イベントには世界中からたくさんのサイクリストが参加し、タイムや順位にこだわらず、ノーサポートで90時間という制限時間内にパリからブレストまでの往復約1,200kmの完走を目指します。
僕が参加した2019年のレースには、全世界から約6,700人が参加しました。ちょうど現地の学校の長期休暇の時期にあたるので、各地の小学校などに仮眠場所や食事処が設置され、そこを巡りながら走るんですよ。
ー1週間のまとまった休暇を取って参加された裏には、どのような思いがあったのでしょうか?
学生時代にたまたま立ち読みした雑誌でこのイベントのことを知ってから、ずっと参加したいと待ち望んでいました。当時から大学周辺で開催されていたブルべに参加するなど鍛錬を続け、いざ開催となったのが、ちょうど入社1年目の年だったんです。
参加を決めたものの本番が近づくと、「仕事を休んで、高いお金を払って、一体何のためにフランスまで行って自転車に乗るんだろう……」と、不安や虚無感を感じることもありました。でも、準備期間やこれまでのブルべで親交を深めた仲間のことを思い出し、初めてのヨーロッパで走る爽快感や異文化交流に想いをはせ、ポジティブなマインドで乗り越えました。
ー職場での仕事のスケジュール調整なども必要だったかと思いますが、誰にどのような相談をしましたか?
PBP開催3ヵ月前の5月に、当時の課長と1対1で話す面談がありました。PBPに出る気満々で約1週間の休暇取得の相談をしたところ、課長はニヤッと笑って「休むためにはどうしたらいいと思う?」と僕に質問したんです。もちろん休暇を取るのは問題ないけれど、そのためにどう準備すればいいかを、僕自身に考えてほしいということだと受け取りました。
その言葉を聞いてからは、上司やチューターに業務スケジュールを前倒しできるよう相談し、まわりの関係者にも根回しをしながら仕事を進めました。ちょうど新人研修に出す成果物の締め切り間近の多忙期でしたが、それも何とか休み前に片づけることができました。早め早めに仕事を終わらせた結果、帰国後にさらに完成度を高めることができ、 周りの先輩方からの成果物への評価も高かったです。
ー念願叶って参加したイベントでは、どんな体験をしましたか? 思い出に残っていることがあれば教えてください。
走行場所が田舎だったので、それまでフランスに抱いていた華やかな街のイメージとまったく違う、自然豊かな小麦畑や丘陵地帯が広がっていたのには驚きましたね。
小さな集落にも必ず教会があって、自分がロールプレイングゲームの主人公になったような気分になりました。それから、街ごとに応援の横断幕があったり、ボランティアでコーヒーやお菓子を配ってくれたりと、街行く人がみんな歓迎ムードなんですよ。走行していると街の人が「アレ(がんばれ)!」と声を掛けてくれて、すごく楽しかったです。
ー現地の空気を味わいながらの充実したレースになったんですね。レース結果については、いかがでしたか?
制限時間によっていくつかの部門に分かれているのですが、僕は90時間の部でエントリーして、89時間17分というギリギリのタイムでゴールしました。これは反省点なのですが、結果よりも楽しむことを優先して計画性なくレースを進めてしまったんです。結果、食べ過ぎてお腹を壊すなど、苦労しました。最後は根性でなんとか時間内にゴールしたという状態でしたね。
ーイベント参加に対して、職場の上司や同僚の反応はどうでしたか?
僕は結構シャイなので、イベントに参加することをまわりにあまり言わずに渡仏したんです。それでも上司や同僚が、参加者の現在地がネット上にマッピングされる、外部の人も見られるシステムをチェックしていて、職場に帰ってきたら、「戸塚君、フランスのこのへんにいたのが見えたよ」と声を掛けてもらえました。様子を見守っていてくれていたようで、うれしかったです。聞けば、動かない日は心配してくれたとのことでしたが、夜に僕が寝ていた時間帯だったと思います(笑)。それから、課内では僕のイベントの結果発表の機会も設けてくださって、あたたかい職場だと思いました。
ー2021年は、トライアスロンの大会にも参加されたそうですね。どんな大会だったんですか?
高校で陸上部、そして大学ではサイクリング部、さらに大学院ではランニングサークルにも入っていたことから、将来はトライアスロンに挑戦したいと思っていました。エントリーしたいくつかの大会がコロナ禍で中止になる中、参加できたのが2014年から開催されている「九十九里トライアスロン(99T)」。僕は、スイム1.9km、バイク91km、ラン21kmの競技を8時間以内で行う「ミドルディスタンス」にエントリーしました。
僕は実は水泳が苦手で、参加者543人中、スイムの成績は492位。得意な自転車(189位)とラン(24位)で何とか追い上げて、最終的には総合116位、年代別(25〜29歳)では10位につくことができました。僕のように苦手を他でカバーする人もいれば、全競技の成績がいいトップアスリートのような人たちもいておもしろかったですね。
ーその時も仕事のスケジュール調整などをされたのでしょうか?
この大会は日曜日に開催されるうえ、仕事も落ち着いていた時期だったのでPBPの時よりはゆとりがありましたね。ただ、大会翌日の月曜日は筋肉痛の可能性を考えて在宅勤務をできるように、事前調整しました。大会前は残業もほぼなかったので、職場でランニングが趣味の先輩や水泳が得意な後輩を誘って練習もしましたね。
終業後に先輩とみなとみらいの街を走ることもありましたが、まわりから「今から走るなんて、信じられない!」と、からかわれることにもすっかり慣れました(笑)。一人で練習となるとさぼりがちですが、仲間がいるとお互いに励まし合って練習できるからいいですよね。
いろいろな人や情報と交わりながら、自分を試して可能性を広げていきたい
ー戸塚さんにとって、プライベートの時間とはどのような時間でしょうか?
人生でやりたい、挑戦したいことに向き合える時間です。たとえば、サイクリングでは何時間も走り続けるので、考え込む時間が結構あります。これも自分と対話するためのいい時間になっていると感じますね。
ー自転車を通じて、自分の成長を感じるのはどんな点ですか?
あきらめない心と、つらいときに楽しさを見出す力が身につきました。長時間走れば、身体はボロボロです。でも、そこで歯を食いしばった経験は、「あの時がんばれたんだから、たぶんまだ行ける」という自信につながるし、日常のいろんな場面で生かされていると感じますね。
また、没頭できる趣味があることで、メリハリをつけて仕事をするようになりましたし、自転車の装備品のメカ構造を知ることで、仕事の引き出しも増えました。趣味に没頭しているときに仕事のアイデアが浮かぶことも、結構あるんですよ。逆に、部品の中身を設計する今の仕事で得た知識が自転車の機器構造を知るのに役立つなど、趣味に活かされることもあって、よい相互作用が生まれていると感じます。
ーダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン推進のために、社員自らが課題発見とその解決に取り組むグループ横断プロジェクトである、DIVIにも参加されているそうですね。
DIVIのメンバーの先輩から話を聞いて、ソニーでもそういう活動があることを初めて知りました。DIVIの説明会で若手社員のキャリアに関する活動もあることを聞いて興味を持ち、参加するようになりました。自転車もそうですが、僕にとってはDIVIへの参加も自分の限界を試し、可能性を広げるためのチャレンジのひとつだと捉えています。
ーDIVIでは、どのような活動をおこなっていますか?また、ご自身としてこれからDIVIでやっていきたいことはありますか?
育児、介護、外国人社員のコミュニティという3つの活動の柱がありますが、最近は若手社員の将来的な育休取得に関することにも力を入れはじめています。参加して1年たった今、取り組んでいきたいのは、いろんな人のキャリアや経験を紹介し合える場づくりです。会社で隣の席の人が何をやってきたのか、プライベートでどんなことをしているか、実は知らないという人も多いと思います。もったいないですよね。
僕のようにスポーツをやっている人もいれば、同じ部署にはYouTubeに趣味のキャンプ動画を投稿している先輩もいます。プライベートで蓄えてきたそれぞれの可能性を生かせたら、何か新しいものが生み出せるかもしれません。DIVIが、みんながやっていることを紹介する場になれば、会社への貢献につながるだろうと思っています。
ー「自分の限界を試して、可能性を広げていく」という視点が、戸塚さんには一貫してあるように感じます。オンもオフも充実させるために、意識して取り入れている工夫やルールがあれば教えてください。
仕事でもプライベートでも有限の時間の中で、やることを細分化してスケジュールを立てています。デジタルノートアプリに「何時までにこれを終わらせる」と目標を書いて、それを達成するように動いています。
時々、だらけてしまうこともありますが、落ち込むのではなく、休憩ができたとポジティブに捉える姿勢も大事にしています。
ーしっかりと仕事をして、オフもきちんと取るといったソニーの職場の雰囲気や企業文化については、どのように感じていますか?
オン・オフの両立に対する職場の理解はあると思います。男性社員で育児休暇を取る人も多いですし、自分の予定に合わせて有給休暇を取ることもできます。それに、誰かが好きなことに一生懸命取り組む姿をあたたかく見守ってくれる社内ムードもあります。DIVIの活動を通して、仕事もプライベートも充実できる職場であることをもっと多くの人に知ってもらいたいですね。
ー今後、プライベートと仕事において、やってみたいことがあれば教えてください。
プライベートでは、2022年春に結婚予定のパートナーと、いつか夫婦でPBP完走ができたらいいなと思っています。仕事では、いつか自分が設計に関わったカメラ製品を買いたいですね。でも、それが一番の望みというわけではなく、スマホやテレビなど他のエレクトロニクス製品の設計にも携わりたいし、DIVIの活動を機に人事系の仕事もおもしろそうだと思うようになりました。ソニーにはさまざまな事業や職種があるので、幅広い視野を持って自分の可能性と限界を試していきたいと思っています。
オン・オフともに、自分の“やりたい”を次々と叶えていく戸塚さん。そのベースには、「自分の限界を試してみたい」という旺盛な好奇心と粘り強さがありました。仕事とプライベートどちらもやりがいを持って取り組めるよう、ソニーでは両立の環境づくりにも力を入れています。誰にでも同じように流れる24時間365日という時間を使って、あなただったらどんなことに時間を使って、どんな挑戦をしていきますか?