ソニーの「ちちおや育休セミナー」って? 参加した2人が育休についてホンネでトーク
2022年4月から、改正育児・介護休業法が改正されるなど、今、注目が集まっている父親の育児休業・休暇(以降、育休)。ソニーグループ(以下、ソニー)では、2007年から独自の育児休暇制度を導入するなど、男性社員の育休取得を促すための取り組みに力を注いでいます。その一つが、育休取得者の体験談や制度の紹介などを行う「ちちおや育休セミナー」です。今回は、セミナーに参加した2人に登場いただき、育休について思うこと、仕事と育児の両立における理想と現実、そして両立を実現するためにソニーに期待することなどをホンネで語っていただきました。
- 橋本 賢治
- ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 車載事業部・車載センシング開発部
- 谷岡 美樹
- ソニー株式会社 モバイル・コミュニケーション事業本部・プロダクトマーケティング部
「ちちおや育休セミナー」に参加したことで、疑問や迷いが消えた
—先日開催された「ちちおや育休セミナー」に参加されたきっかけや動機を教えてください。
橋本:きっかけは、社内メールでの案内でした。実は、数ヵ月後に第一子が産まれるのですが、そもそも育休について何も知識がありませんでした。だから、まずは育休制度がどんなものなのかを知るために参加しました。
谷岡:私もメールでセミナーのことを知って、興味を持ちました。自分が将来子どもを育てることになったらどのような感じだろう、と。男性の育休取得者の話を聞いて、男性の育休取得がどういうものなのか、パートナーにも共有したいと思っていました。
橋本:そうなんですね。私も家族でどう育児をしていくのがベストなのかを探っていたので、セミナーで話を聞けば今後のパートナーとの話し合いも上手く進むかもしれないと思っていました。
—参加してみていかがでしたか。
橋本:実際に育休取得者の方の話を聞いたことで、漠然としていたイメージがより具体化されましたね。どのくらいの期間取得するのがベターなのか、細かい疑問も解消されてよかったです。
谷岡:私は、育休を取得した男性がまわりにあまりいなくて、実情を聞いたことがありませんでした。今回、セミナーで体験談を語ってくださった方と私のパートナーは同じ職種ということもあり、リアルな声を聞けて参考になりました。
—男性の育休について、課題や不安などを感じることはありますか。
橋本:私は転職して入社しましたが、前職の会社も男性が育休を取りにくい雰囲気はなかったです。そのため、課題を直接感じたことはないのですが、この“取りやすい雰囲気”が結構重要だと思っています。たとえ制度があっても、誰も取っている人がいなければ自分が前例をつくる人にならなければならないわけです。人によってはハードルが高いと感じられるかもしれませんね
谷岡:そうですよね。女性が育休を取るのは当たり前の雰囲気がありますが、男性の育休取得については、まだまだ共通認識として浸透していないように感じます。だからこそ、取得しやすい環境づくりが大事ですよね。また、里帰り出産やサポート体制が整っているかどうかなど、それぞれの状況も違ってくると思います。一人ひとりの状況に合わせて取れる制度や環境が整っているといいですよね。
橋本:学生時代には、“就職後はずっと働き続ける”というイメージを持っていましたが、就職してからは男性も普通に育休を取れる環境にいたこともあり、それは違うという意識が芽生えました。そういった男性育休への前向きな意識を持つことも大切だと思います。
谷岡:「取れないもの」だと思い込んでいると、大切な情報をシャットアウトしてしまう可能性もありますよね。男性だから取れないと思わず前向きに検討してみることが、育休を取りやすい環境づくりへの一歩になるかもしれませんね。
—ソニーの育休制度や環境についてはどう思いますか。
橋本:制度としては、国の法律による「育児休業」と、ソニーの制度として20日まで有給休暇が取得できる「育児休暇*」があることを知りました。どちらも選べるので、選択肢があっていいですよね。
谷岡:ソニーの育児休暇は20日間ですが、もっと少ない会社もあると聞いたことがあります。制度的にはソニーは進んでいる会社なのかもしれません。
橋本:上司も育休を取ったという話を聞いたことがあるので、ソニーは理解ある会社だと思います。
谷岡:私の部署は、コロナ禍以降は基本的にリモートワークが中心のワークスタイルになっています。こういう状況であれば、育休明けも仕事との両立がしやすいかもしれないですね。
※ソニーグループ株式会社を含む一部の会社の休暇制度です。制度内容は、グループ各社により違いがあります。
同じ温度感で一緒に子育てしていけるように
—セミナーに参加したことで、何か変化はありましたか。
橋本:育休を取ろうという意識が強くなりました。実は、上司に話すタイミングを迷っていたのですが、セミナー後、すぐ育休相談をしました。快く受け入れてもらい、安心しました。そのほか、パートナーに育休制度の話をし、育休に向けての今後のプランに落とし込んでいきましたね。
谷岡:すごい、即行動したんですね。私は、内容をパートナーに共有したところ、セミナーに登壇した方が自分と同じような職種だということを知り、育休を身近に感じてくれたようです。
—育休がテーマということで、お2人の子育て観についても教えてください。
橋本:私が育休を取りたいと思ったのは、家族で一緒に育てたいと思ったからです。子どもの成長を間近で見ていたいという想いもありますね。大学で情報学研究科に所属していたのですが、研究テーマが"人間の知的な情報処理"に関するものでした。人が見ているものや感性で感じている部分をいろいろな面から探求していくことに興味があり、子育てで成長過程を見るのがおもしろそうだと思いました。
谷岡:研究一筋ですね。
橋本:前職の同僚が、「子どもがライオンを見分けられるようになった」と話すのを聞いて、「あ、認識している。すごいな」と。あとは、子どもと一緒に過ごす時間を長く持ち、仲良くなりたいです。
谷岡:私も家族が同じ温度感で一緒に育てることができたらいいなと思っています。出産も子育ても、きっと初めてのことだらけで不安も出てくると思います。それを一緒に乗り越えられたら、心強いなと思います。
仕事でもプライベートでも選択肢が広がる、ソニーという会社
—コロナ禍でリモートワークも増えたと思いますが、今現在のワークスタイルについて教えてください。
橋本:私は、車載用のソフトウェア開発を行う部署で、自動運転の3要素である「認知・判断・操作」の中の「認知」にあたる技術開発を行っています。コロナ禍で転職し、入社以来ほぼ在宅勤務。通勤に使っていた時間を別のことに活用しながら働いている状況です。
谷岡:私はモバイルコミュニケーションズ事業本部でスマートフォンのマーケティング業務に携わっていて、主にWebサイトやSNSの運用などのデジタルマーケティング業務を担当しています。コロナ禍の昨年(2021年)の会社への出社は、数回でした。橋本さんと同じく、在宅勤務は通勤時間を自由に使える点がいいと思いますね。
—育休を取る側の準備も大切ですが、支えるチームの体制も重要ですよね。上司や同僚などのフォロー体制はどのように組まれていますか。
谷岡:昨年、同じチームの2人の先輩がほぼ同時に産休・育休に入られました。大好きな先輩たちの喜ばしい報告だったので、すごく嬉しかったのですが、3人体制だったので「私1人になったらどうしよう」と不安がよぎりました。すぐに、新しい人をアサインして組織を整えてもらい不安が消えました。上司がしっかり考え、サポートしてくれる体制がソニーにはあると思います。出産はハッピーなことなので、社員みんなで喜べる環境でよかったと思いましたね。
橋本:私は、最長、1ヵ月くらい育休を取りたいと思っていますが、上司に相談した後、チームリーダーにも伝え、休職時の体制について調整してもらいました。
谷岡:女性の場合、出産前から産休に入るので業務の引き継ぎなども計画的に進めやすいですが、男性の場合は出産後に育休を取ることが多いですよね。出産するタイミングは読めない場合が多いので、男性が育休取得をする場合は、引き継ぎをするタイミングも難しそう。
橋本:確かに。育休予定の1ヵ月前くらいから情報共有をどんどん進めながら、少しずつ私は引継ぎしていこうかな……。
谷岡:女性同士だと出産や育児について情報共有をし合う機会が多いですが、男性にもそういうノウハウが共有できる社内ネットワークみたいなものがあったらいいですよね。
橋本:そうですね!あとは経験者がいればいるほど、取りやすさもより高まると思うので、今回、まさに自分がソニーにとってその1人になれればと思っています
—家庭と仕事を両立させるために、工夫していることはありますか。
谷岡:私の部署は、基本的にプライベートを大事にする人が多いです。休暇をつなげて長期休暇を取る人も結構います。私も休みはしっかり取りたいタイプなので、常にどう効率よく仕事をするかという意識をもってスケジュール立てをしています。
橋本:私は複数の物事を同時進行するのが苦手で、1つのことに集中するタイプなので、これまで両立についてあまり考えていませんでした。でも、子どもが産まれたら、両立のためにメリハリを持って仕事に取り組みたいと思います。そして、育児の経験を仕事に活かしていきたいですね。
—最後に、ソニーという会社に期待することを聞かせてください。
橋本:さまざまなイベントやセミナーを社内で開催していることをもっと社内外に発信してもらえると嬉しいですね。今回の育休セミナーのように、すでに男性で育休を取っている人がいて身近に感じられると、育休をさらに取りやすくなりますよね。情報を得ることで、キャリアの選択肢がどんどん増えていくはずです。
谷岡:社内コミュニティが多種多様なセミナーを開催するなど、役立つ情報が豊富な点はソニーの魅力ですよね。またお互いをリスペクトできる風土が根付いているので、転職や異動の時も、ポジティブな気持ちで相手を送り出し・迎え入れることが自然です。こういう雰囲気がさらに広がることで、もっと魅力ある会社になっていくと思います。
日本では、男性の育休について「道半ば」というのが現状です。そのなかでも、ソニーでは、早くから育児と仕事の両立ができるよう、制度の整備や社内の環境づくりに取り組んできました。
男性・女性ともに育児休業・休暇100%取得を目指し、時代に合った子育てのスタイルをサポートしています。
一人ひとりが、仕事はもちろん、プライベートでも自分が描く未来をつくっていけるように。妊娠・出産・育児はもちろん、介護、病気の治療といった、さまざまなライフイベントと仕事を両立できるよう支援しています。