ソニーが取り組むあらゆる子どもたちのための教育プロジェクト
「CurioStep with Sony(キュリオステップ)」では、小学生から高校生まで幅広い年代の子どもたちに向け、STEAM※をテーマとした教育プログラムを提供しています。インタビュアーである私自身、小学生の頃に通っていた実験教室に影響を受け、理系を志すようになりました。この経験から若年層に向けた理系キャリア教育に非常に関心を持つようになりました。そこで「CurioStep with Sony」の担当者である山本さんから、ソニーの教育プログラムにかける想いや、取り組み始めたきっかけについて聞いてみました。
※STEAM:科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、美術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字
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- 田村 みゆ
あらゆる子どもたちのための教育プログラム「CurioStep with Sony」
—まず現在ソニーが取り組んでいる「CurioStep with Sony」について教えてください。
「CurioStep with Sony」は2021年から開始したあらゆる子どもたちのための教育プログラムになります。子どもたちの好奇心を育むことを目的に、グローバルでさまざまな活動を行っています。日本では教育格差縮小に向け、貧困や家庭環境、地域の違いなどの理由から体験格差のある子どもたちにフォーカスした、「感動体験プログラム」なども展開しています。
—具体的にはどのような活動をされているのですか。
主にワークショップを開催しています。ワークショップでは、ソニーグループの社員に協力してもらい、プログラミングや音楽、科学工作、ソニー製品を分解するワークショップなどを行っています。またインクルジョン・ワークショップという、障がいの有無に関わらず、科学やものづくりの楽しさを体感してもらうワークショップも開催しています。コロナ禍以降は、オンラインでのワークショップや、、工作レシピ、ソニー音楽財団のコンサート動画、学習用のワークシートの公開等、いつでもどこでも楽しんでいただけるようなコンテンツを提供しています。
ソニーと教育の歩み
—本格的に教育プログラムに取り組まれているのですね。ソニーが教育プログラムに取り組み始めたきっかけはあるのでしょうか。
ソニー設立時の1946年まで遡るのですが、ソニーを設立した井深大さんが設立趣意書で創業の目的の1つとして、国民科学知識の実際的啓発を掲げました。この目的にならい、1959年に理科教育において優れた教育を目指している小学校を支援するため、「ソニー小学校理科教育振興基金」の贈呈を開始しました。
—創業者の井深さんの志から、ソニーは教育支援に取り組み始めたのですね。
戦後間もない日本において、「科学技術の振興こそが社会を立て直す」という強い信念を持ち、「国民全体が科学知識を高めていくために、子どもの頃から理科を好きになってもらいたい」という、井深さんが創業当時から抱いていた想いが、ソニーのDNAとして今も受け継がれているのかなと。
創業者から受け継がれた教育への想い
—創業時から教育支援に取り組まれていたとは意外でした。そこから「CurioStep with Sony」が登場するまでは、どのような経緯があったのでしょうか。
ソニーは創業時から教育支援活動に力を入れてきました。「CurioStep with Sony」以前は10年近く「ソニー・サイエンスプログラム」という名前で教育支援活動を続けていました。
—「ソニー・サイエンスプログラム」から「CurioStep with Sony」に生まれ変わったんですね。
昨今のSTEAM教育への注目度の高まりであったり、小学校でのプログラミングの必修化であったりと外部環境が大きく変化したことなどを受け、科学に特化した「ソニー・サイエンスプログラム」から、科学にとどまらず、プログラミングやエンタテインメント、アート等のソニーが持っている強みを生かしたプログラムの実施を目指し、「CurioStep with Sony」へとリブランディングしました。プログラムの名前も、ソニーが子どもたちを引っ張っていく存在ではなく、子どもたちの歩みに併走したいという想いで「with Sony」と、後ろにソニーの名前を持ってきました。
なぜソニーが教育に取り組んでいるのか
—ソニーが子どもたちに対する教育に尽力していることはよくわかりました。ではソニーは教育を通じてどのような社会を目指されているのでしょうか。
ソニーは、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」ことをPurpose(存在意義)として掲げています。そのためには、私たちが生きる地球や社会が健全であることが大前提だと考えています。豊かな未来をつくっていくために子どもたちの好奇心を育むきっかけをつくりたいと考えています。
—豊かな未来を築くために、未来の社会を担う子どもたちに教育の場を平等に与えるべきだという信念に基づき、教育に取り組まれているのですね。
その実現に向けては、科学をはじめとしたSTEAMの力が重要で、家庭環境や住んでいる地域、人種の違い、そういったものに関係なく未来を担っていくすべての子どもたちが平等に教育を受けられるということが必要だと考えています。だからこそ「CurioStep with Sony」ではあらゆる境遇の子どもたちに質の高い教育や体験を提供していきたいと思っています。
—最後に、このプログラムに関わる山本さんご自身の想いについても教えてください。
できるだけ早いタイミングでいろいろな経験をして、自分の好きだと思えることに出会ってほしいなと思っています。少しでも多くの機会を子どもたちに提供して、好奇心の種を蒔いていきたいですね。
〈編集部のDiscover〉
ソニーが子どもを対象とした教育プログラムに取り組んでいることを、この記事を通して初めて知った方もいるのではないでしょうか。特に最後の山本さんの教育プログラムにかける想いを聞き、私自身も小学生の頃にさまざまな分野の実験に取り組んだからこそ、今進んでいる道があるのだと実感しました。取材を通じて、子どもたちへの教育によって豊かな未来を築こうとするソニーの姿勢を知ることができました。