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「SSSの人と社風。多様な挑戦を重ねる社員、後押しするカルチャー」

Culture

ソニーグループのイメージング&センシング・ソリューション事業を担うソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)では、パートナー企業や顧客のソリューション開発、プロトタイプ開発、テスト支援等を目的にマイクロソフトと共に共同イノベーションラボ(以下、共同ラボ)を立ち上げました。山田さんは、入社3年という若手社員でありながら自ら手を挙げ共同ラボに参加、インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を用いたソリューションを提案するなど積極的に活躍の幅を広げています。その姿は上司である日比野さんにどのように映っているのか。お二人の関係性からソニーの人や社風を紐解きます。

ラボに関する詳細はこちら。ソニーグループポータル|マイクロソフト社と協業したイノベーションラボの取り組み:気候変動問題に対応するインテリジェントビルディング(sony.com)

山田 和樹
日比野 智一 
安部 優里香

ソリューションを提供するという新たな挑戦。マイクロソフト社との共同ラボでの活動とは。

—マイクロソフト社との共同ラボではどのような活動をされているのか気になります。

共同ラボは、AIデベロッパー、アプリケーションデベロッパー、システムインテグレーターなど、ソリューション実現の担い手となるさまざまなパートナーや顧客に向けて「AITRIOS™」の使用方法やソリューションを提供するトレーナーの役割を担っています。この「AITRIOS」とは、AIカメラなどを活用したソリューションを効率的に開発・導入することを支援するSSSのプラットフォームのことです。このプラットフォームを使うと、パートナー企業は、エッジからクラウドを含めたソリューションを容易に構築するためのさまざまな機能をワンストップで使うことができます。共同ラボの活動を世界各地に広げる動きもかかっており、つい先日には、欧州のイベントに出展しました。

小型なIMX500が組み込まれたAIカメラ。“撮られる“ストレスを与えないシンプルなデザインに加え、消費電力の削減にもつながるソリューション展開を実現。

—国内だけでなく海外にも開かれた取り組みなのですね。反応はいかがでしたか。

2020年5月に商品発表した世界初のAI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」は、小さなデバイスでありながらパワフルなAI処理が可能です。この点について「これすごいね、使いやすいね」という褒め言葉をもらえることが多く、純粋に嬉しかったです。毎日のように触れているとつい当然のことと思ってしまいますが、「IMX500」の可能性は無限にある、とやりがいを感じます。

インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」 画素チップとロジックチップを重ね合わせた積層構造を採用、さらに世界で初めてロジックチップAIによる画像解析処理の機能を搭載したイメージセンサー。 製品に関する詳細はこちら。ソニーグループポータル|ニュースリリース|世界初AI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサー2タイプを商品化(sony.com)

—より多くの国や地域で「IMX500」の魅力を伝えていっているのですね。日本と海外では、取り組み方にも差があるのでしょうか。

海外の立ち上げメンバーと話をする中で、スピード感の大切さを強く感じます。製品を通じてできること、つまり製品が持つ価値と、それによってどれほどの利益が出るのか、つまり顧客への利益を明確に示すことが重要視されます。日本国内に閉じていたものがだんだん世界にも広がる中で、インパクトや規模の大きさも実感しますね。

AIは決して特別なものではない。AIと日常とが近づく未来をつくりたい。

—社内外、さらには国内外と幅広く活躍される山田さんですが、そのモチベーションについて教えてください。

私自身「IMX500」がとても好きで、素敵なセンサーだと思っており、そのような製品の価値を伝えたいという想いが根底にあります。これまで私たちが取り組んできたのは、センサーのみを売るというビジネスでしたが、共同ラボで行う「AITRIOS」のプロジェクトは、パートナー企業に向けてセンサーの活用方法を提案することをミッションとしています。共同ラボで実際に私たちの製品を手に取るお客さんの反応を見られたり、「IMX500」を使うメリットや、そこから描ける未来について直接会話を通じて伝えられたりすることは、私たちエンジニアにとって貴重な機会です。また、「これを使って次は何ができるかな?」と、何気ない雑談から話が進んでいく瞬間にも楽しさを感じます。

—「IMX500」で描く未来とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

AIに対する特別なもの、難しいものというイメージをなくすことです。日常の中でこういうものがあったらいいなという場面でセンサーを活用できると良いと考えていて。例えば、カメラのセンサーで観葉植物の水やりのタイミングを判断することはできないか、という挑戦をしたこともあります。他社と協業して小中学生にも「IMX500」を触ってもらうなど、シチュエーションやターゲットを限定せずに誰もが自分がやってみたいことに使えるような身近な存在になると良いと思っています。

—私自身もお話を伺っていて、当初抱いていた専門的で特殊なイメージが少しずつ変化したように感じます。

社外の人のリアクションが見られる共同ラボでの活動は、AIが私たちの生活と近いものであることを伝えられると同時に、ユーザーの生の声を受け取ることができる場であるとも考えています。時には、「ここが使いにくい」という指摘や「こうなったらもっと良いよね」という意見をいただくこともあります。そのようなフィードバックをしっかりと拾ってその後の開発に生かし、日常の中にAIが当たり前のように浸透している未来をつくりたいですね。

ソニーがイメージセンサー領域で培った技術のもと生まれたAITRIOS。人数のカウントや在庫量の検知、空調調整や信号無視の検出など、あらゆるマーケットでの活用が期待されている。

一人ひとりの意思を全力で後押しする。それがソニーの組織風土。

—山田さんはそもそも、どのようなきっかけでプロジェクトに参加されたのでしょうか。

共同ラボの募集案内があった際に、「マイクロソフト社と一緒に仕事ができるんだ。楽しそうだな。」と思ったことがきっかけです。そこで、自分からやってみたいですと日比野さんに声をかけ、飛び込みました。

—山田さんからの申し出に対して、日比野さんはどのように感じられましたか。当時の心境を教えてください。

山田さんに限らず、社員の方からの申し出にはぜひ挑戦してもらいたいという話をします。ソニーには、自らやってみたいという人を強く後押しする社風が根付いていると感じますし、それによって成長してきたと思っているからです。まずは可能な限り進めてみてほしいので、私の方から多くを働きかけることはしませんが、個人の裁量については仕事があふれてしまわないよう、必要に応じて業務相談を受けるなどマネジメントとしてのサポートにも取り組んでいます。

—自ら積極的に活動の場を広げることが重要であり、その気持ちをみなさんが前向きに受け止める職場環境があるのですね。

はい、みんなで応援して、押し出すようにしています。自分が意思を持って取り組むことへの真剣さというものは、誰かに言われて取り組むことの何倍も強力だと思いますし、仮に失敗したとしても自分自身で必死にフィードバックを考えるはずです。社員に対しては、例えば1から10までを全て言うのではなく、途中まで伝えて残りは自分で考えてもらうことで取り組みの結果を考察し、さらなる成長の機会となるような方針をとっています。

—社員が失敗した際に、上司はどのようなコミュニケーションを取るのかも気になりました。

一歩踏み出して挑戦したからこそ、失敗があると思っています。まずはその挑戦を評価したうえで「気にするな」と声をかけ、失敗の本当の原因、すなわち真因を徹底的に考えられるようなアプローチをしています。

—日比野さんは、マイクロソフト社とのプロジェクトをどのようにとらえているのでしょうか。

非常に重要な活動だと思っています。SSSのイメージセンサーの提供価値をさらに高めるために、ハードウェアだけでなくソフトウェアも組み合わせ、ソリューションとして提供することが大切だと考えているからです。そのためにはこれまで以上にお客さんが抱える課題を理解することや、関係性を強めることが必要不可欠であり、共同ラボでの活動はこれらに繋がるものだととらえています。山田さんをはじめとした若手社員の柔軟で物怖じしない姿勢をポジティブに受け止めていますし、彼らのような若い世代が生み出すイノベーションに期待しています。

失敗も成功も分かち合う、まるで“大学の研究室”のような会社。

—お二人が所属するSSSという会社について教えてください。

何かを成し遂げたとき、特定の人ではなくチームや組織全体の成果として喜び合える社風があると思います。特に私たちの課は人数が多く、扱う領域も幅広いことから、全体の最適化・効率化を目的に、一緒にできる業務がないか、互いに補い合える部分はないかと積極的に情報共有を行っています。その一環として、山田さんからマイクロソフト社との共同ラボを案内してもらったり、30名ほどが参加して技術などを共有し合う定例を週に1度開いたりと、技術レベルのボトムアップに繋がるような活動も盛んです。自分の興味があることに対する仮説の設定と検証、その過程で得られる成功体験や失敗を周囲と分かち合うという意味では、大学の研究室とも近いものがあるのではないかと思います。

—社員に共通点などはあるのでしょうか。

「一対多のコミュニケ—ション能力」の高い人が多いように感じます。というのも、ソニーは多様な技術領域を扱っているため、さまざまなバックグラウンドを持つ社員がいます。同じことを伝えるにも、一人ひとりが持つ背景を理解しながら、それに応じてコミュニケーションの形をうまく変えながら業務を進めていくという点が共通していると思います。

—社員、そして就職を考えている読者の方々に期待していることを教えてください。

インプットとアウトプットの双方を高めることです。得た情報を基に、次なるアクションを自ら考え、いろいろな挑戦を続けてほしいと思います。失敗することもあるかもしれませんが、そこでの発見は必ず成功へのプロセスとなります。また、最初の数年間は将来のキャリアを構築するうえで非常に重要な期間です。若いうちから進んで活躍の幅を広げることで、多様なキャリアパスがあることを知るきっかけにもなりますし、ソニーにはそれを後押しする制度やカルチャーがあります。私たちマネジメントも、毎年の面談を通じてみなさんの意思を最大限反映したプランやアサインメントを考えるので、さまざまな経験を積み、やりたいことを発信していただければと思います。

<編集部のDiscover>
「AIを身近な存在にしたい」という熱い想いを持つ山田さん、若手社員に期待を込め、挑戦を後押しする日比野さん。お二人のお話からSSSの人、社風を感じ取ることができました。何気ないやりとりの中に見られた強い信頼関係こそが、自分の興味にまっすぐ、そして周囲を巻き込むコミュニケーションによって達成を目指す姿につながっているのだと感じました。


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