経験者採用で入社した女性マネジメント / リーダーにインタビュー
ソニーグループ(以下、ソニー)では、さまざまな属性、経験、専門性を持った人材がソニーの多様な事業の「場」に集まり、一人ひとりが発想や創造力を解放することで未来を共創し、そして、個人も企業も成長し続ける、そうした姿を目指したいと考えています。 今回は経験者採用で入社し、マネジメント職またはリーダー職で活躍する女性社員に、ソニーに転職したきっかけやキャリアの考え方、働きがいについて聞きました。
- 若木 裕美
- 廣瀬 有希
目の前の仕事に、決して不満があったわけじゃないけれど。
──まず、お二人の現在の仕事内容について簡単に教えていただけますか。
廣瀬:現在は、人事総務領域においてグループ各社にソリューションを提供するソニーピープルソリューションズ株式会社(以下、SPPS)に出向し、ソニーグループの3つの会社の経験者採用の企画・管理を担当しています。採用に関わる実務を遂行するリクルーター、オペレーションを行うコーディネーターと共に、各社の採用活動のサポートや、採用母集団形成と呼ばれる応募者獲得に向けた活動の企画・戦略立案と全体管理が主な業務です。
若木:私は自然言語処理や生成AIの研究開発を行う2つの部署で統括職を兼任していて、技術の応用先は異なりますが、どちらもAIや言語を中心とした技術開発を行っています。
──お二人とも経験者入社とのことですが、前職での仕事内容や、転職活動を始めたきっかけについて教えてください。
若木:大学院の博士課程を経て、現在までずっと自然言語処理という技術領域でキャリアを歩んでおり、前職の総合電機メーカーでも10年ほど自然言語処理の研究開発に携わっていました。自身の専門性を生かせる仕事で、職場の雰囲気も良かったのですが、会社の方向性が変わるタイミングで、別のキャリアを考えるようになりました。ただ「何がなんでも転職したい」といった強い思いはなく、もし上手くいかなければ、また働きながらゆっくりキャリアを考えよう、というのんびりした転職活動でした。
廣瀬:前職は大手インターネット企業の採用部でリクルーター業務や、採用ブランディングに携わり、組織のマネジメントもしていました。仕事としての充実感はあったのですが、30歳を超えたタイミングで自身のキャリアと向き合ったときに、もともと持っていた「海外で働いてみたい」という思いと、より自分が望むような環境で働きたいという気持ちが強くなり、ソニーに転職することを決めました。
次のキャリアを考えたら、ソニー以外は考えられなかった。
──転職先としてのソニーは、お二人にはどのように映っていたのでしょうか?
廣瀬:私の場合、先程お話した海外勤務のチャンスに加え、テレワークの活用が進んでいる会社を希望していました。ちょうど生活の拠点を郊外に移し、都心までの通勤には時間がかかるため、テレワークを柔軟に活用できることは重視する条件でした。個人的にはかなりわがままな条件だったと思いますが、その全てを満たしていたのがソニーでした。
──廣瀬さんが求める条件が、ソニーには全て揃っていたのですね。
廣瀬:さらに言うと、私が希望するキャリアについても最大限に汲んでくれたことも、入社の決め手になりました。主務の経験者採用に加えて、グローバル採用を担うチームを兼務させてもらい、現在は全編英語の定例会議にも参加しています。
──若木さんは、ソニーについてどのような印象を持っていましたか?
若木:ソニーで働く友人や知人も多かったため、以前から職場などの話をよく聞いていましたが、みんな生き生きと楽しそうに働いている印象がありました。また、柔軟にキャリア形成ができる印象もあって、新卒で入社、経験者で入社などの垣根のない自由な雰囲気の会社だと感じていました。
──具体的な業務、仕事内容に関してはいかがでしょう?
若木:自然言語処理の研究開発は変わりませんが、ソニーは一般コンスーマーのユーザーも多く、製品・サービスのラインナップを見ても技術活用の幅が広がりそうだと感じました。技術は「出口」がないと進化しませんが、ソニーにはその「出口」のチャンスがたくさんあることにワクワクした覚えがあります。会社の雰囲気や研究分野が合いそうで、それでいて今までとは違う新しいことができそうな会社はソニーだけだったので、結局他社はどこにも応募しませんでした。
ソニーでのキャリアの充実度は、◯◯点。
──さまざまな期待を抱いてソニーに入社して、実際のところどうでしょうか?入社後に感じたギャップなどはありましたか?
若木:ギャップを感じることはないです。さまざまなキャリアの機会があって、やればやるだけチャンスをもらえて、新卒から在籍する社員と経験者として入社した社員に差は全く感じません。個人的には転職することでキャリアの断絶が多少起こるのではないかと覚悟していたのですが、実際にはこれまでの専門性を活かせるキャリアに就け、また将来を見据えた育成の場もあるなど、心配することはありませんでした。
一方で、良い意味で予想を超えたこととしては、グローバルな視点や影響力です。かねてより「世界から注目される研究をしたい」と思っていましたが、海外の大学との共同研究を現在2箇所で推進し、自然言語処理のトップカンファレンスの一つであるACL2023(※)でOutstanding Paper Award(優秀論文賞)を受賞することができました。
※ACL2023についてはこちら
──廣瀬さんが感じたギャップは何かありましたか?
廣瀬:私も良い意味でのギャップがありました。経験者採用に関しては、今ソニーはさまざまな挑戦をしているところで、これがさらにグループ3社にまたがることもあり、大小さまざまな課題が山積しています。だからこそ、これまでの経験者採用の実務経験を活かした取り組みのチャンスが多くあると感じています。
──正直にお答えいただきたいのですが、ソニーでのキャリアの充実度に点数をつけるとしたら何点ですか?
廣瀬:95点でしょうか。
──高得点ですね。どのあたりが特に充実していると感じますか?
廣瀬:業務を進める上で個人に任される裁量の大きさは思っていた以上でした。ソニーには自分たちの仕事の価値を自分たちで高めていこうという意識があるメンバーが多く、それぞれの「やりたい」「こうすべき」という意見にも、上司をはじめ関係者がしっかりと耳を傾けて、サポートしてくれます。グローバル採用チームでの兼務もまさにその一つです。
満点から5点引いたのは、単純に私の語学力不足です。先程お話した英語での定例会議では、ネイティブレベルのスピーカーばかりの中で、まだどうしても翻訳ツールに頼ってしまったり、思うように自分の意見を発言できなかったりすることがあります。自身の語学力のレベルを向上できれば、もっとキャリアの幅を広げられると思っているので、そういう意味でマイナス5点です。
──若木さんはいかがでしょう?
若木:もし100点を超えてもいいのであれば、私は200点をつけたいです。ソニーに入社して、自分自身の想像をはるかに超えて成長できていると感じています。
一つは、経験者として入社後、早くからリーダー職やマネジメント職に就く機会を頂けたことです。さらに、マネジメント向けの研修も充実していて、幅広い知識の習得だけではなく、さまざまな経験をさせてもらったり、仲間もできました。そういった研修を通じて得た学びを、実際に自分なりに工夫を加えながらチームのつくり方などに活かしています。
もう一つは、グローバルでの活動です。先程お話しした共同研究などの機会もありますし、グローバル採用によって世界中からさまざまなスキルや個性を持った社員が集まっています。彼らと協力し、これからもっともっと良いチームを作っていけるのではないかと楽しみにしています。
ソニーに入社して、新しい自分と出会うことができた。
──あらためて、ソニーに入社して得られたものがあるとしたら、それは何でしょうか?
若木:「新しいことに怖じけず、前に踏み出す自分」だと思います。ソニーは変化の多い会社なので、チャンスはたくさんあります。自分の想像の中には決してなかったようなことも「やってみたら」と声を掛けてくれる仲間がいて、「難しい」「できない」と思って壁にぶつかると、周りがサポートしてくれます。そうしてなんとかやり抜くと、それが新たな自信につながります。
廣瀬:私は抽象的な表現ですが、「自己肯定感」でしょうか。入社して3カ月間の試用期間が終わったときに「ここが私の居場所だ」と素直に感じることができたことが、新しい気づきでした。新社会人のときに描いていたようなキャリアを歩めていないときも「仕事とはそういうものだ」とどこかで割り切り、自分の気持ちに蓋をしていたように思います。自分のキャリアの可能性が見えない中で、目の前の仕事も自分自身のことも全面的に肯定することができず、いつかまた転職するかもしれない、という感覚を持ち続けていましたが、そういったモヤモヤが今では全く無くなりました。私のありたい姿や希望するキャリアに、ソニーが正面から向き合ってくれたからこそ、得られた感覚だと思います。
──では最後に、今後ソニーでチャレンジしたいことを教えてください。
若木:世界から注目されるような、強い技術を生み出したいです。そして、その強い技術をソニーの製品やサービスに活かして、世界に感動を届けたいと思います。
廣瀬:経験者採用においても、ソニーのブランド力を強化したいと考えています。ソニーは日本を代表する企業として認知されていますが、経験者採用の面ではまだまだ伸びしろがあると感じています。他の企業で多種多様な経験を積んできた方々が、「今まで培ったスキルや経験を活かしてキャリアアップしたい」「新しい仕事にチャレンジしたい」と思ったときにちゃんとソニーを想起してもらえるように、採用活動を通じてソニーらしさを発信していきたいです。
編集部のDiscover
「ソニーに入社して得られたものは?」という質問へのお二人の回答、「新しいことに怖じけず、前に踏み出す自分」「自己肯定感」がとても印象に残りました。給与や役職(肩書)、希望の職種に就けることだけを転職の成功例と捉えてしまいがちですが、仕事との向き合い方を問い直し、新しい自分自身と出会うこともまた、良い転職と言えるのかもしれません。